先を見越した準備でカスタマーサポートの在宅勤務を実現|GO株式会社

先を見越した準備でカスタマーサポートの在宅勤務を実現|GO株式会社

新型コロナウイルスの影響で私たちの働き方は大きく変化をしました。政府は在宅勤務者の割合を70%にする目標を掲げ、実際に各企業の工夫や推進により在宅勤務者は増加しています。一方で、派遣スタッフの働き方として在宅勤務の導入をすることは、制度や設備面の障壁が考えられます。今回は、NO.1(※)タクシーアプリ『GO』を運営するGO株式会社の人事担当 嶋田公実子さんに、カスタマーサポート業務における派遣スタッフの在宅勤務導入の経緯とポイントをおうかがいしました。

※App Annie調べ|タクシー配車関連アプリにおける日本国内ダウンロード数(iOS/Google Play合算値) 調査期間:2020年10月1日〜2021年9月30日

AWSの活用でカスタマーサポートも在宅勤務に

営業やカスタマーサポートなど顧客との電話対応を要する業務は、ハード面の準備などから一般的に在宅勤務が難しいと言われています。どのようなことを克服して実現に至ったのかお聞きしました。


今回お話を伺ったGO株式会社の人事担当 嶋田公実子さん

カスタマーサポートのお仕事内容を教えていただけますか?
弊社のメイン事業は、タクシーアプリの運営です。そのため、タクシー会社、アプリを利用する一般ユーザー、双方から日々さまざまなお問い合わせをいただきます。カスタマーサポートはサービスを利用している個人や法人のお客様ヘの対応を電話とメールでおこなっています。そのうち、28名の方は派遣スタッフです。

いつ頃からカスタマーサポート業務も在宅勤務に切り替えられたのでしょうか?
準備は以前より進めていましたが、2020年4月の緊急事態宣言の際、社員と同時に派遣スタッフも在宅勤務に切り替えました。

在宅勤務に切り替えられるうえで難しいと感じたことはありましたか?
カスタマーサポート業務を自宅で行っていただくうえで、検討しなければならないことは多数ありましたが大きな課題は2点ありました。ひとつは「自宅で顧客対応するための設備(電話・パソコン、ネット環境など)」、そして「業務状況の管理」です。

顧客対応用電話の貸与もされたのでしょうか?
スマートフォンの貸与はせずAWS(Amazon Web Services)が提供しているAmazon Connectを導入することにしました。Amazon Connectは、コンタクトセンター向けのクラウドプラットフォームで、パソコンで受電や架電が可能になります。弊社では派遣スタッフの就業開始時にノートパソコンの貸与を全員におこなっているためAmazon Connectの導入でカスタマーサポート業務の在宅勤務は実現に大きく前進しました。
準備段階で在宅勤務を試験導入していた期間があるのですが、その期間にIPアドレス制限によって社外で使用ができないシステムの洗い出しなど、細かな設定の見直しができていたこともスムーズに在宅勤務に切替できた要因の一つです。

定量的な業務管理により在宅勤務で生産性向上

在宅勤務の環境下では、派遣スタッフの業務を視覚的に管理することができません。しかし、オフィスに出社していたときよりも、細かい管理ができるようになったといいます。


「移動で人を幸せに。」ストレスのない、やさしい未来を目指すGO株式会社のミッション

在宅勤務の場合の出退勤管理はどのようにされていますか?
コミュニケーションツールのSlackを活用しています。Slackのワークフロー機能を利用し出退勤時間を報告してもらいます。報告した時間はGoogle社が提供している表計算ソフトのスプレッドシートに連携でき、管理者がスプレッドシートを確認することで勤怠報告のないスタッフが一覧で分かるので、すぐにフォローができる仕組みになっています。

業務管理の観点ではいかがでしょうか?
目の前で業務状況が見えなくなった分、出社していた頃よりも数字での管理を細かくするようになりました。例えば、1時間当たりの受電件数・メール件数など数値化できるものはできるだけ数値化し確認しています。定量的に業務を管理する事で、生産性は以前よりも高まっていると感じます。

数字では見えないような対応の質の部分は、どのように確認されているのでしょうか?
対応件数が多くても、お客様への対応が粗雑であってはよくありません。Amazon Connectでは管理者がメンバーの対話内容を聞くことができます。適宜電話内容を確認しスタッフにフィードバックをすることで、質の担保を心がけています。カスタマーサポートという業務においてコミュニケーション力は重要な項目です。数値化できる定量的側面と、対応の適切さという定性的側面の2つの観点を持つようにしています。

出社は導入研修の期間のみ。コロナ収束後も在宅勤務を継続予定

電話やメール対応を派遣スタッフの方が開始するための導入研修や日々の対応の中での相談体制に関してお伺いしました。


研修後は基本的には在宅勤務だが、気分転換のために出社することもできる

派遣スタッフの立ち上がり支援はどのようにされていますか?
初期の導入研修は出社をしていただいています。期間は配属により異なりますが、入社後3日~1カ月程度です。その後は基本的に在宅勤務ですが、「たまには環境を変えたい」などのご希望があれば、出社しての業務も可能です。ただし、デスクの数などに限りがあるため、重ならないよう調整しています。

在宅勤務中のサポートはどのようにされていますか?
日々のコミュニケーションは勤怠報告にも利用しているSlackが中心です。何かあればすぐに相談や確認ができます。その他にも、社員と派遣スタッフの間で『1on1(1対1コミュニケーション)』を月に1回は必ずおこなうようにしています。業務中や公の場ではなかなか相談できないことなどを、このタイミングで確認するようにしています。

在宅勤務になったことにより採用におけるプラスの効果はありましたか?
時代背景もあり、在宅勤務ができるからこの会社で働きたいという方は増えてきているように思います。
ただ、自宅のネット環境は重要なため、固定回線が引いてあることや通信速度の一定の数値をクリアしていることは条件とさせていただいています。また、ノイズが気にならない静かな環境であるかも大切な指標としています。

今後も基本的に在宅勤務の体制を続けられる予定ですか?
はい。ただし、「やはり定期的に対面でのコミュニケーションを取りたい」という話もあり、コロナ収束後は月に一度出社の日を設けるといったことも考えています。

コロナ禍前から緊急時の対策として在宅勤務の準備を進めていた

新型コロナウイルスの影響で在宅勤務を政府が推奨するなか、急な促進に対応できない企業も多くありましたが、GO株式会社ではスムーズな移行が可能であったそうです。

カスタマーサポート業務在宅勤務の体制を、新型コロナウイルス流行に伴う在宅勤務の社会ニーズに対応するのは大変だったのではないでしょうか?
タクシーアプリは台風や地震などの災害時でも利用はあります。社員や派遣スタッフが出社できないからという理由でお問合せ対応を止める訳にはいきません。緊急時でも運用を継続する方法は、新型コロナウイルスの流行前から検討していました。そのため、緊急事態宣言後、社員も派遣スタッフもスムーズに在宅に切替えることができました。

現状の先を見越して準備をされていたということですね
弊社は、JapanTaxi株式会社と、DeNAのタクシーアプリ『MOV』や次世代AIドラレコサービス『DRIVE CHART』などが事業統合して、2020年4月に誕生した企業ということもあり、ものごとを複数の視点で見ながらスピード感をもって決断していく社風があるのかもしれません。現在タクシーアプリは競合も多く戦国時代ともいえる状況です。その中で業界トップシェアの信頼をいただいていることからもサービスへの追及は今後もしっかりしていきたいと思っています。

まとめ

多様な方が利用するタクシーアプリのカスタマーサポートには日々多くの問合せがあります。『利用している個人・法人が困った時にはいつでも対応できるようにしたい』という企業の思いが、カスタマーサポート業務の在宅勤務の実現につながったようです。今後も、自然災害だけではなく、いつ想定外の緊急事態に見舞われるかわかりません。常に先を見通し、お客様の為に何ができるのかを考え、体制を進化させていくことが選ばれる企業の1つの要素になるのでしょう

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