派遣会社との定期的なコミュニケーションで実現した安定就業|株式会社ヘリオス

派遣会社との定期的なコミュニケーションで実現した安定就業|株式会社ヘリオス

派遣先企業は派遣スタッフに安定して就業してもらうために、日々の勤怠を管理し、就業状態を把握しておく必要があります。しかし、派遣スタッフの人数が増え、複数の部署で派遣スタッフの受入れをはじめると、個々の派遣スタッフの就業状況を適切に把握することが難しくなるのではないでしょうか。そこで今回は、社内での派遣スタッフの数が増加していくなか、派遣会社の営業担当や社内の現場管理者と効果的なコミュニケーションをとることで、複数の視点から派遣スタッフの就業管理をおこない、安定就業を促進されている株式会社ヘリオスの添田様に伺いました。

専門領域における即戦力として派遣スタッフを活用することで、社員は更なる事業展開の加速化に集中

iPSC再生医薬品を活用し、世界中の患者さんに治癒と希望を届けることをビジョンに掲げている株式会社ヘリオス。2011年の創業以来、再生医療への社会的ニーズの高まりも受け、とくに研究所での人員増加をされています。そのなかで、派遣スタッフの活用についておうかがいしました。

社名「株式会社ヘリオス」はHelios(ギリシャ神話の太陽の神)とHeal(癒す、治す)の二つの言葉から構成され、難治性疾患治療の新たな希望の光と、疾患に侵された患者さまを癒していきたいという願いが込められている

現在の派遣スタッフの仕事内容を教えていただけますか?
当社では、再生医療を活用した医薬品の研究開発を行っています。「『生きる』を増やす。爆発的に。」をミッションに掲げ、不治の病と言われる病気に対して、新しい治療法を確立し世界中の患者さんに治癒と希望を届けることをめざしています。事業所は、東京にある管理部門(本社機能)と神戸にある研究所の2つに分かれており、全体の2割にあたる約30名の方が派遣スタッフです。さまざまな部署で就業いただいていますが、基本的に、事業開発を含む経営企画、プロジェクト推進、営業・マーケティング、研究、開発、生産、品質管理そして、管理部門である法務、財務経理、コーポレートコミュニケーション、人事総務といった組織構成において、社員はそれぞれの専門領域において、より加速化すべく事業推進を担い、派遣スタッフの方には比較的定型的な専門業務を依頼し、事業推進を支えていただいています。たとえば現在では、研究部での細胞培養、試薬・培地の調製、管理部門での法務部における様々な契約のレビュー、財務経理部における支払い業務・会計サポート、人事総務でのオフィス管理業務など、多くの部署でご活躍いただいています 。

細胞医薬品・再生医療等製品の上市を目指し、さらに研究開発部門が活発化している背景から神戸研究所の体制強化を行っており、派遣スタッフの方の割合も年々増えています。

新卒採用での人員補強ではなく派遣受入を選んだ理由はどのような部分でしょうか?
即戦力として活躍いただける点が一番大きいです。たとえば給与計算の業務に関して、就業開始当初から給与計算のベースを理解・経験をしている派遣スタッフの方は当社の就業規則や給与規程を理解いただいた後、実務としてすぐに業務をキャッチアップしていただけます。研究部門においても、細胞培養をメインとして業務に従事しながら医薬品開発の際に遵守しなければならない薬事法の知識を自然と学ばれたり、またご自身がお持ちの専門領域を活かしさらなる成長を遂げてくださったりする方もおられます。
そのような派遣スタッフの方のおかげで、結果的に社員はそれぞれの専門領域において事業展開の加速化に注力できることにメリットを感じています。

派遣会社との「振り返り」で派遣スタッフを多角的に理解する

定期的に行う派遣元との打ち合わせの場を、さまざまな角度から派遣スタッフを理解する場と捉えているそうです。どのような意識で何をお話ししているのかおうかがいしました。

派遣会社とのコミュニケーションはどのタイミングでとっていますか?
「振り返り」というかたちで、3ヵ月に1度程度お話しさせていただいています。派遣スタッフの方の管理は現場担当者に任せておりますので、人事の立場として現場からヒアリングをし、派遣会社の担当者にお伝えしています。

「振り返り」では、どのような内容を話されていますか?
「振り返り」は、当社から見えている派遣スタッフの方と派遣会社から見えている状況をすり合わせる場と考えているため、定量的なことだけではなく、定性的な情報もお伝えするようにしています。そのため、現場からは、「普段評価しているものの、伝えられていないことはないですか」「さらなるパフォーマンス向上のために期待していることは何ですか」というような質問を投げかけながら、スタンスやチームワーク力などの観点でもヒアリングし「派遣スタッフの方がモチベートされるようなフィードバック」を現場から集めるよう意識しています。

派遣会社と定性的な話までされるのはなぜでしょうか?
会社として、また人事として、派遣スタッフの方々の専門領域をもとに100%の力を発揮していただきたいと考えているからです。派遣スタッフの方に関しては、派遣先・派遣元から多角的にみて一人ひとりを理解したいと思っています。リクルートスタッフィングの担当者には「伝える必要がない情報はないと思っているので、すべてお伝えしています」と言っていただいており、同じ思いで情報共有をさせていただいています。

派遣会社とのコミュニケーションはどの程度行っていますか?
定期的に時間を決めているものは3ヵ月に一度程度のミーティングですが、それ以外にも相談事項や共有した方がいいと思う変化などは都度当社から連絡しますし、派遣会社の方からも連絡をいただきます。双方の目的は、派遣スタッフの方が安定的に安心してパフォーマンスを発揮していただくことなので、営業の方からも懸念事項があった時に伝えないという選択肢はないですと言っていただいています。情報を共有した上でより良い方向に進む道筋を二社間で考えていくという連携を取らせていただいています。

複数の視点からヒアリングし良いところを見つける

人事が派遣スタッフの業務や活躍を知るためには、現場からの情報が重要です。派遣スタッフのフィードバックをていねいに行うことで、指揮命令をする社員の方のマネジメント意識にも変化が見え始めてきているそうです。どのように情報収集をされているのかお聞きしました。

2011年2月に創業し、2015年6月には東証マザーズに上場。会社の規模は年々大きくなっている

派遣スタッフの受け入れをしている現場管理者との情報連携はどのように行っていますか?
就業部署とのコミュニケーションは、日頃から現場と同じ目線でニーズや困っていることを拾うようにしておりますが、コミュニケーションのとり方には気を配っており、「これは文面でやり取りした方が分かりやすいな」「これは誤解を与えないためにも電話やミーティングで丁寧にコミュニケーションをとった方が良いかも」と状況に応じ、メールや電話等を使い分けています。就業部署との情報連携は時としてスムーズにいかないこともありましたが、細やかに行うことで派遣スタッフの方の働きやすさ、ひいては派遣スタッフの方の専門性や特性を業務において最大限に発揮していただくことに繋がりますので、現場管理者にはその重要性を認識してもらっています。

就業部署との連携において、意識されているポイントはありますか?
もちろんすべてではありませんが、派遣会社から「振り返り」で得た情報をなるべくポジティブにフィードバックし、指揮命令者に派遣スタッフのマネジメントをしていることを自覚してもらうようにしています。誰でも、相手から前向きなフィードバックをもらえたら嬉しいですし、もっと頑張ろう!という気持ちが湧きますよね。指揮命令者が派遣スタッフの方の人柄や特性を知り、派遣会社が持ち合わせている情報も含め一人ひとりを多角的に理解していれば、声の掛け方や言葉遣いまでも調整することができ、結果的に当社マネジメントのレベルを引き上げ、生産性の向上につながると思っています。

単に仕事が遂行されればいいということではなく業務に対してのスタンスを称えることなどで起こる効果を就業部署でも感じることができているのではないでしょうか。

派遣会社との「振り返り」のための現場ヒアリングにおいて、大切にしていることを教えてください。
先の質問でお話ししたように、「派遣スタッフの方がモチベートされるようなフィードバック」を現場から集めること心がけています。その方が、派遣スタッフと現場で「お互いを尊重できる良い関係」を構築する好循環が生まれるように思うからです。
また、基本的に派遣スタッフの方へのフィードバックは指揮命令者から直接得ますが、中には指揮命令者自らチームメンバーに声をかけ複数のフィードバックを集約して教えてくれる例もあります。
派遣スタッフの方の業務は指揮命令の社員だけが接点を持っているものではないため、このように複数の社員からフィードバックを集めそれぞれの立場における意見や評価を聞くことで、派遣スタッフの方へより多角的な「振り返り」を行うことができ、派遣スタッフの方がさらに力を発揮するためにどうすればよいか派遣会社と相談できていると思っています。

社内には8つのValueが書かれており、年に2回、Valueを最も体現した社員や派遣スタッフを表彰する

他にも社員や派遣スタッフを定性的に評価できる場はありますか?
ヘリオスでは、上期と下期の年2回、「Value Star」という制度を設けています。人事を介して「○○さんのこんな仕事がよかった」「こんなスタンスに感動した」といった手紙を送りあい、最も当社のValueを体現していた社員や派遣スタッフの方へ「Value Star」として表彰し、その功績やスタンスを称えます。直近では、2020年下期に派遣スタッフの方が受賞されました。業務内容は、機器の点検や管理といった 専門性が求められる業務であり、当社の実験を進めていくためには必要不可欠で、「患者さんのために」という思いからご自身の力を100%発揮されている働きぶりが受賞理由でした。上司・部下、雇用形態に関係なく、日頃の感謝の気持ちを伝え、讃え合うので、その内容からも多角的に個々の活躍を知ることができます。

人事の方の役割はどのように考えられていますか?
事業推進の加速化をはかるべく、『経営の戦略パートナー 』『 従業員のサポーター 』『 経営と従業員をつなぐ橋渡し役』 として、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源価値を最大化するため、人事総務部は「存在を認められ、期待されるHRGA (Human Resources and General Affairs)」をビジョン としています。
こと派遣採用という観点では、派遣スタッフの方それぞれの背景や気持ちを理解・尊重し、「当社で就業して良かったな」と思ってもらえるように日々行動しています。そのため、双方信頼感をもって就業してもらうためには人事が現場と派遣会社・派遣スタッフの方たちの潤滑油となることが必要です。

具体的には、現場だけでは解決できない問題が発生した場合人事へ相談してもらい、現場から情報を得ながら派遣会社へ連携していきます。人事では派遣会社とのコミュニケーションを定期的に行っていますので、派遣スタッフの方の人柄や状態を踏まえてどう対応していくべきか、どのように伝えたらいいかといった具体的なアクションを提案することもあります。なかには社内の情報だけでは方向性が定まらないこともあるので、そのような時には派遣会社に連絡しヒアリングやすり合わせを行い、一緒に伴走してもらうこともあります。

専門性や業務適性を幅広い範囲から見極め、多様な働き方を受け入れていきたい

働き方が多様性を見せるなかでの派遣ニーズの変化と今後の展望に関してお聞きしました。

派遣ニーズに関して感じている変化はありますか?
法務の案件で専門性を求めるポジションがありました。業務内容的に人選に苦戦するだろうと思っていたのですが、担って頂きたい業務内容から就業部署の組織長との確認のうえで、勤務形態や勤務時間は弾力的に 相談可能、という条件で人選をお願いしたところ、すぐに人選完了の連絡をいただきました。今後は居住地や時間の制約を柔軟に緩和していくことで、さまざまな働き方のニーズに応えていかなければと感じた案件でした。

今後の展望をお聞かせください。
働き方のバリエーションも増えていくので、専門性や業務適正をより幅広い層から見極めていくことになると思っています。雇用形態に関しても業務委託なども含め、多様なチャネルを検討していきたいと思っています。

まとめ

派遣スタッフの業務や人柄を多角的に判断し、会社の一員として尊重しマネジメントをおこなうことがより会社の貢献に繋がると考えコミュニケーションを大切にされている添田様。きっかけは、ご自身のマネジメント下にあった派遣スタッフの方が、体調不良により契約を満了せずに就業を終えられてしまったことだったそうです。良い所がたくさんあったのに、適切なマネジメントができなかったことが今でも心残りだと話されていました。派遣スタッフにも一人ひとり、考えやビジョンがあります。そのことに寄り添い理解をしていくことで、この会社で働いてよかったと思えることを目指したいという添田様の思いを感じました。限られた人員の中で生産性・効率性を求めていく社会だからこそ、その人のキャリアを真剣に考えていきたいという思いをもつ企業が今後は選ばれていくのかもしれません。

リクルートスタッフィングの【ふりかえり10項目】


リクルートスタッフィングでは、派遣スタッフのモチベーションUP・パフォーマンスUPを目的とした就業振り返り&フィードバックを実施しています。
【ふりかえり10項目】を設定し、派遣スタッフへのヒアリング後、派遣先企業様へフィードバックをおこない、スタッフへの評価や期待などを質問させていただいています。

ふりかえり10項目は、「仕事へのスタンス」「業務遂行能力」「チームワーク力」の3つの大項目に分類されており、派遣スタッフ個々人の強みやより期待したいことを確認するベースとなっています。

この10項目を、派遣先企業のご担当者様との振り返りに利用させていただくことはもちろん、派遣先企業内における現場管理者へのヒアリングなどにも活用いただいております。

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