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【イベントレポート】「人を行動に導く」効果的なプレゼンのテクニックを学ぼう

株式会社リクルートスタッフィングが運営するITSTAFFINGでは、弊社に派遣登録いただいている皆さまのスキル向上を支援するイベントを、定期的に開催しています。2018年2月23日のイベントでは「直感に刺さるプレゼンテーション」を開催。

大手玩具メーカーでヒット商品のマーケティングを手掛けた後、映像配信会社やゲーム会社などを経て、プレゼンテーションの専門会社を設立し、プレゼンテーションの研修やコンサルティングを行う望月正吾さんに、効果的なプレゼンテーションのテクニックについて紹介していただきました。

【講 師】望月正吾さん

■今回のイベントのポイント

・プレゼンテーションはコミュニケーション
・ビジュアルには図解とイメージがある
・タイトルスライドはプレゼンの顔
・聞き手を動かす話し方のポイント


【講 師】望月正吾さん
▲【講 師】望月正吾さん
PreZenDou LLC.代表。玩具メーカータカラ(現タカラトミー)にて、マーケティング部門を担当。タカラトミー合併後は、映像配信ベンチャーCOO、ゲーム会社を経て2011年プレゼンテーションの専門会社PreZenDou LLC.を設立。プレゼンテーション研修、制作、コンペ、個人指導と業務コンサルを行う。専門はプレゼンテーション&コンセプトメイキング。コミュニケーション戦略、新規事業プランニング、商品&サービス企画を得意としている。著書に『直感に刺さるプレゼンテーション』(技術評論社)『最速で最高に魅せるPowerPointプロフェッショナルテクニック』(技術評論社)がある。

プレゼンテーションはコミュニケーション

長年、玩具メーカーのマーケティング部門で活躍し、さまざまなプレゼンを手掛け、その後、いくつかの企業を経て、現在は独立し、各種プレゼンのコンサルなどを手掛けている望月さん。今回のセミナーでは、その豊富な経験をもとに「心を揺さぶり、行動してもらうビジュアルプレゼンテーションの原理とテクニック」を、事例を交えながら紹介してくれました。

望月さんのミッションは「世の中から退屈なプレゼンを無くそう」というもの。なんだかワクワクします。

まず、最初に示されたスライドは「禁煙促進」を呼び掛けたもの。そのスライドには、喫煙者の肺がん発生率が高いことがズラズラと「説明」されていて、どこかで一度は見たような、というもの。

このスライドについて望月さんは「言っていることは正しいし、理解もできる。でも、これではタバコをやめさせることはできない」と断言します。

「プレゼンの目的は行動してもらうこと。行動してもらえなければプレゼンは失敗です。残念なことに人は理解しただけでは行動してくれません」(望月さん)

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▲行動してもらえなければプレゼンは失敗。そのためには「感情的アプローチが有効」と訴える望月さん。

プレゼンにおいては聞き手にも次のような階層構造があり、それを図にして紹介してくれました。ピラミッド状の図の下から順に、

・雑音(寝ているのと同じ)
・認知(何か話しているなぁ、程度)
・理解(なるほど、わかった→論理的に正しい)
・共感(自分もそう思う→意思決定は不要)
・行動(やってみよう→意思決定が必要~ビジネスプレゼン)

となっています。そして、頂上に近い共感と行動の2つには「感情的アプローチが有効」だと望月さんはいいます。

では、その感情的アプローチを行うにはどうすれば良いのでしょうか。

ビジュアルには図解とイメージがある

プレゼンテーションで感情的アプローチをするには、ビジュアルで伝えることが重要。ビジュアルには図解とイメージの2種類があり、図解は論理的、イメージは感情的であるという、それぞれの効果を紹介してくれました。

さらに、「理解できないイメージは混乱を招くだけです」といい、失敗例となる1枚のスライドを示してくれました。

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そこには人の横顔の写真がイメージとして使われているのですが、その鼻の部分が画像修正をほどこされており、ニョキっと長く前に突き出ています。ここからイメージするのは「傲慢」(天狗)か、あるいは「嘘つき」(ピノキオ)か、人によって受け取る印象が異なるという例だそうです。

「いかにして言葉とイメージをシンクロさせるのかが重要です。イメージを使いこなすには、慣れやコツが必要なので、いろいろと試してみるとよいでしょう」(望月さん)

タイトルスライドはプレゼンの顔

プレゼンスライドと企画提案書は全く別のもの、「プレゼンスライドは魅せるための資料」「企画提案書は読んでもらうための資料」だそうです。いずれの場合も、大切なのはタイトルスライドだそうです。

構成立案やスライド制作で力尽きて、タイトルスライドには文字だけ入れて名前を書くという人が多いけれど「タイトルスライドで『聞きたい』と思わせられなければ、それは負けプレゼンです」(望月さん)とのこと。

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▲企画提案書もプレゼンスライドも、タイトルを見て「読む気にさせる/聞く気にさせる」ものでなければダメ。ただし、中身の作り方は企画提案書とプレゼンスライドで、それぞれ異なる。

ただ単に「〇〇のご提案」と書くのではなく、「現在の状況に対する問いかけの言葉」や「提案を実行した後に訪れる明るい未来」、「解決すべき課題を放置しておくと起きる悲惨な未来」など、シンプルかつ聞きたくなるものを、パターン別に事例と共に紹介してくれました。

聞き手を動かす話し方のポイント

最後は話し方について。展示会のブースで説明をするナレーターは、話し方はとても上手ですが、自分が興味を持つテーマでない限り、なかなか足を止めて聞き入ろうとは思いません。それは「自分の言葉で話していないから」だそうです。同様の理由で、プレゼンにおいて、読み原稿を持つ、話す内容を丸暗記する、プロっぽく話そうとするというのもダメだとのこと。

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▲読み原稿はいらない。普段から話している「自分の言葉」で話すことが伝わるプレゼンの秘訣。

「スライドを真剣に作っていると、いつの間にか話せるようになっています。会話するのに原稿を見て話さないでしょう。それと同じです。だから読み原稿は必要ありません。」(望月さん)

もし原稿なしでは話すことができないのであれば、それは構成かストーリーが間違っているかもしれない、と疑うべきだそうです。また「1スライド1メッセージ」「箇条書きのメモは手元に置いておいても良い」「普段の言葉で話す」など、コツを教えくれました。

とても中身の濃い1時間半のイベントでしたが、最後に望月さんは参加者に向け、「プレゼンテーションを楽しんでいただきたい」というメッセージで締めくくってくれました。

今回のイベントでは、反面教師となる残念な事例と、望月さんのテクニックを用いた洗練された事例とを見比べることができ、プレゼンをより良くするためのポイントがよく分かりました。自分でプレゼンする機会があれば、ぜひ試してみたいものです。

そして、そんな自分を客観視したときに、「あ、このイベント自体が『行動させるプレゼン』だったのか」と気づかされた方は、望月さんのプレゼンの凄さが分かったことでしょう。