サクッとわかるITトレンドでご紹介した「Amazon Q」。興味ある!という方も多かったのではないでしょうか。そこで、Amazon Qをさらに深掘り。Visual Studio CodeのプラグインとしてAmazon Qを使い、具体的にどのようなことができるのか事例を4つご紹介します。日本語に対応していないからなぁ…とお思いの方もぜひご覧ください。
Visual Studio Codeにインストール。その手順
2023年に発表され、2024年4月末に一般提供された生成AIアシスタントです。無料で手軽に使えるサービスとしてAWSが提供しています。「Amazon Q Business」「Amazon Q Developer」「Amazon Q in QuickSight」「Amazon Q in Connect」など複数のサービスで構成されています。
今回は、これらのサービスの中から、エンジニア向けの「Amazon Q Developer」を使い解説します。以下より、この記事内では「Amazon Q」と書いた場合は、この「Amazon Q Developer」を指すものとします。また、この記事では、テキストエディタのVisual Studio Code(以下、VS Code)のプラグインとしてAmazon Qを使う方法を解説します。VS CodeでAmazon Qを使うには、VS Codeをインストールしたうえで拡張機能をインストールします。このときに必要なのは「AWS Builder ID」という無料で取得できるアカウントだけで、AWSのアカウントは不要です。
インストールから設定までの手順を動画にしていますので、試してみてください。
たとえばSQLを生成してほしいとき
Check01 開発者向けの対話型AI
VS CodeにAmazon Qをインストールすると、画面左にAmazon Qのアイコンが表示されます。そして、これをクリックするとチャット画面が表示されます。この入力欄にチャットで質問などを入力すると、その質問に答えてくれます。
たとえば、SQLを生成してほしいときには、次のように文章で入力します。ここでは「Write the SQL to create table to store user information for login.」という文章を指定しています。
Amazon Qからの応答には、SQLが含まれています。そして、この画面には続きがあり、作成したテーブルが持つカラムの意味や役割、制約などを解説した文章があります。このように、ChatGPTなどの対話型AIと同様のことができ、プログラミングなどの分野に向いた結果が得られやすいことがわかります。
執筆時点では英語のみですが、今後日本語に対応するとより便利に使えるでしょう。
他人が書いたソースコード。処理内容がよくわからないとき
Check02 ソースコードの修正、最適化
対話型AIとして使うだけであればChatGPTなどで十分ですが、Amazon QはVS Codeなどで実行できる便利な機能を備えていることが特徴です。
たとえば、VS Code上でソースコードを選択して右クリックすると、「Amazon Q」というメニューが表示されます。この中には、「Explain」「Refactor」「Fix」「Optimize」などのサブメニューが並んでいます。
ここから「Explain」を選択すると、そのソースコードの処理内容を説明してくれます。たとえば、上記のようにソースコードを選択して「Explain」を押すと、次のように説明してくれました。
このような機能を使うと、他人が書いたソースコードでその処理内容がよくわからないときには、その処理内容を解説してくれます。また、「Optimize」を選ぶとソースコードを最適化するときの候補を表示してくれます。これを見て、どのように改善するとよいのかの判断材料として使えます。
入力候補を自動で提示してほしいとき
Check03 ソースコード中への自動サジェスト
チャットで指示を書くだけでなく、上記のようにコマンドを選ぶだけで、チャット欄に答えを返してくれます。しかし、ソースコードを書いているときにも支援してくれると助かります。
Amazon Qを導入すると、VS Codeでソースコードを入力するだけで自動的に続く内容をサジェストしてくれます。これは、以前の記事で解説したCodeWhispererのような機能です。たとえば、次のように動作します。
ソースコードの品質を確認してほしいとき
Check04 ソースコードのセキュリティスキャン
左側のアイコンや、ソースコード入力中以外にできることとして、画面下にある「Amazon Q」という部分が備える機能があります。たとえば、ソースコードのセキュリティスキャンがあります。これは、脆弱性のあるソースコードでよく使われる書き方など、ソースコードの品質をチェックしてくれる機能です。
何らかのプロジェクトをVS Codeで開いた状態で、画面下の「Amazon Q」を押すと表示されるメニューの中から「Run Project Scan」を実行すると、そのプロジェクト内のソースコードをスキャンし、セキュリティ上の問題がある部分を表示してくれます。
ソースコードの量が多いとそれなりに時間はかかりますが、脆弱性診断ツールを使った動的スキャンと組み合わせて、このような静的スキャンを組み合わせることで安全性の高いソースコードを記述できます。
まとめ
まだまだAIに関する技術は進化を続けているため、日々新しいツールも登場しています。今回解説したAmazon Qも、今後大きく変わる可能性があります。ぜひ最新のトレンドを追いかけながら、ぜひさまざまなツールを試してみてください。