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マイクロソフトのAI「Copilot」×Excel IF関数編:空白セルの処理

マイクロソフトのAI「Copilot(コパイロット)」のできることをお届けする本連載。今回のテーマは、ExcelのIF関数です。日々Excelを使いこなしている方も、しばらく触れていない方も、作業効率をぐっと上げる“指示のコツ”をチェックしていきませんか。

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▼Copilot基本的な使い方はこちら

Copilot×Excel IF関数編
INDEX

  • はじめに
    『空白セルの処理』あなたなら、どうやって書きますか?
  • Copilotに書かせると…
  • Excelのちょっと便利な基本操作
 
■はじめに
『空白セルの処理』あなたなら、どうやって書きますか?

Excelを利用していれば、必ず知っておくべき関数のひとつが「IF」関数です。

IF関数は、指定した条件(論理式)に基づいて異なる値を返すために使用します。IF関数の基本構文は次のとおりです。

=IF(論理式, 値が真の場合, 値が偽の場合)

知っている人にとっては非常にかんたん、知らない人にとっては「ん?」という構文です。

ここでは例として、以下のような請求書が存在したとします。


Excelで請求書を作成した。金額は普通に個数×単価で算出している。

この請求書では、C列×D列を単にE列に算出すればよいという数式になりますが、単純な掛け算(E10セルに「=C10*D10」をオートフィル)では、品名がない(つまり個数や単価がない)場合でも「0」が表示されており、ちょっと格好の悪い請求書ができ上がっています。

では、この請求書において、「品名」がない場合に計算をしない(金額を「0」にしない)にはどうすればよいか・・・そこで、IF関数の登場です。

つまり、

『もし[IF]、品名の記述がない場合には[論理式]、計算をしないで空白にする[値が真の場合])、それ以外は計算する[値が偽の場合]』

と書けばよいのです。

Copilotに書かせると…

さて、Excelの関数に詳しい人なら、先の「品名がない場合」という数式は簡単に書けるかもしれません。しかし、Excelが苦手な人は「品名の記述がない場合には[真]、その他は[偽]」や「計算をしないで空白にする」を書くのはちょっと頭をひねる必要があります。

また、構文を知っていても、いざ記述するとなると意外とうまくいかず、トライ&エラーを繰り返さなければならないこともあるでしょう。

このような数式作成における面倒を避けたい場合には、Copilotを活用します。

Copilotのプロンプトに「自分が何をしたいか」を入力すれば、かんたんに数式を作成することができます。

Copilot
Copilotには、Microsoft 365 Copilotなどの有料サブスクリプションが存在するが、本稿が解説するのは「無料のCopilot」であり、つまり誰でも契約なしで使えるCopilotを示す。ちなみにCopilotはMicrosoftアカウントさえ用意すれば、Mac(macOS)、Chromebook(Chrome OS)のほか、スマートフォンでも利用可能だ。

今回の請求書の例に従えば、

『「金額(E10)」は「個数×単価(C10×D10)」としてほしい、ただし「品名(B10)」に記述がない場合には、「金額(E10)」を空白にしてほしい』

と記述すればよいのです。

Copilotを起動して、次のようにプロンプトに入力して「Enter」を押します。

---
ExcelでC10セルとD10セルを掛けた値をE10セルに入れてください。ただし、D10セルが空白の場合には、E10セルを空白にしてください。
---


プロンプトを入力。なお、今回は「Excelの数式」を作るのが目的であるため、プロンプトには必ず「Excelで~」と記述することが大切だ。

すると、Copilotは「関数入りの数式」を作成してくれるので、数式の「コピー」をクリックします。

Excelの該当セル(先の請求書であれば「E10」)に「Ctrl」+「V」で数式をペーストすれば、該当行の作業は完了です。他の行に適用したい場合には、オートフィルで数式をコピーします。


Copilotがすぐに目的の数式を回答してくれる。「コピー」ボタンが存在する場合には、「コピー」をクリック(表示されない場合には数式を選択して「Ctrl」+「C」)。なお、AIは確率モデルを使用している関係上、同じ質問をしても同じ回答を示すとは限らないため、画面の通りの数式や表示にならないこともある。


該当セルに先にCopilotが導き出した数式を「Ctrl」+「V」でペースト。


数式を入力したセルの右下をマウスホバーし、「+」が表示されたら、そのままドラッグして、数式を適用したいセルまでコピーする。


AIを活用して『商品がある場合には「金額を計算」、商品がない場合にはブランク表示』を無事実現できた。

いかがでしょう。

これで、「品名がない場合は計算せずに空白を表示する」という「IF」関数を使った数式による目的の請求書がかんたんに作成することができました。

ちなみに、「IF」関数のほか、今回は「ISBLANK」関数が出てきましたが(「ISBLANK」関数を使わない回答を示すこともある)、この数式は全般的にどのような動作をするのでしょうか?

このような説明が必要な場合にも、Copilotで解決できます。

先のプロンプトに続けて「説明してほしい」と聞いてしまいましょう。

---
この数式の動作を詳しく説明してください。
---


数式の動作の説明を求めれば、Copilotは「それぞれの関数や引数が、どの場面でどのような動作をするか」を解説してくれる。これもAIの強みだ。

・・・すごすぎませんか?

IF関数の書き方も、ISBLANK関数の存在も知らなくても、何も表示しないには「""」という記述が必要なことを知らなくても、Copilotであればかんたんに数式を作成することができるのです。

関数を知らなくても数式を書くことができ、そして関数や引数の動作の詳細まで教えてもらうこともできるため、いわゆるリカレント教育(仕事に役立つスキルの学びなおし)にも活用できてしまうのがCopilotなのです。

注意
CopilotはAIであるため、必ずしも正しい回答を示すとは限らない。また、AIが「確率モデル」を使用して応答を生成するため、同じ質問をしても同じ回答を示すとも限らない。本稿でいえば、Copilotは数式が異なる回答を示すこともある。
 

Excelのちょっと便利な基本操作

一般的な操作で数式を作る方法も解説します。基本操作も押さえてこそ、Copilotの活用の幅が広がります。

■関数のヘルプ

関数の意味や使用例などを確認したい場合には、関数を入力したのちに「F1」を押します。
例えば、「IF」関数であれば、数式として「=IF」と入力したのち、「F1」を押せばヘルプとして「IF関数」の意味や使い方を確認できます。


数式を入力するセルで「=IF」と入力して、「F1」を押す。ヘルプとして「IF関数」を詳しく知ることができる。

■関数の引数名とカッコの挿入

Excelでは、関数を入力したのちにショートカットキー「Ctrl」+「Shift」+「A」を入力すれば、「引数として何を入力すればよいか」が表示できます。
例えば、「IF」関数であれば、数式として「=IF」と入力したのち、「Ctrl」+「Shift」+「A」を入力します。「IF」関数におけるカッコやカンマの挿入、引数名などをアシストしてもらうことができます。


数式を入力するセルで「=IF」と入力して、「Ctrl」+「Shift」+「A」を入力。「=IF(論理式,値が真の場合,値が偽の場合)」と表示することができ、各所を編集すれば数式を完成させることができる。

■「関数の挿入」を活用する

数式においてどの関数を使えばよいのかも思いつかない、という場合には、「関数の挿入」を活用するのも手です。
例として、「もし~」という条件分岐を関数でどのようにかけばよいかを探りたければ、数式を入力するセルで「Shift」+「F3」を入力します。
すると、「関数の挿入」ダイアログが表示されるので、「関数の検索」に「何をしたいのか」、例に従えば「もし」とそのまま入力して、「検索開始」をクリックします。すると「関数名」に「IF」表示されるので、「IF」を選択した状態で「OK」をクリックします。
「関数の引数」ダイアログが表示されたら「論理式」「値が真の場合」「値が偽の場合」をそれぞれ入力すれば、「もし~」を完成させることができます。


「Shift」+「F3」で「関数の挿入」ダイアログを表示。「関数の検索」でここでは目的となる「もし」と入力して、「検索開始」クリック。「関数名」に「IF」が表示されたら選択して、「OK」をクリックする。


「論理式」「値が真の場合」「値が偽の場合」をそれぞれ入力すれば、数式を完成させることができる。

いかがでしたでしょうか。

Excelにおいて関数入りの数式を作る方法や知る方法はいくつかありますが、Copilotであれば関数や引数を記述するのが苦手な人でも数式を作成できる、また数式を知ることができる点が強みです。

Excelで悩んだら自分の頭をひねって考えてみるのもよいですが、無料のCopilot(co-pilot、副操縦士)を活用して解決するのも立派な一つの手段なのです。

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▼これまでの「Copilotなにできる?」
誰でも無料で利用できるAI「Copilot」の基本的な使い方

筆者 橋本 和則さん
Microsoft MVP(Windows and Devices for IT)を18年連続受賞。Surface MVPでもある。ビジネスの現場に即したパソコンの解説を得意とし、Windowsの操作・カスタマイズ・ネットワークなどをわかりやすく個性的に解説した著書が多い。著書は80冊以上に及ぶ。『安心して働くためのパソコン仕事術』『Windows 11完全ガイド』(SBクリエイティブ)『帰宅が早い人がやっている パソコン仕事 最強の習慣112』『先輩がやさしく教えるセキュリティの知識と実務』(翔泳社)など。

※本記事に記載されている会社名、製品名はそれぞれ各社の商標および登録商標です。
※本稿に記載されている情報は2025年3月時点のものです。