現在、長野県の軽井沢に住む吉澤妙子さんは、子どもの教育のため、2020年3月に現在の住まいへ越した。もともと、テレビ局の美術部門で映像制作やグラフィック制作の仕事に就いていたが、「現在はそのスキルを活かせていない」という。最近は自分で制作した癒し系の動画をアップするYouTubeチャンネルをスタート。いい意味で「自分本位」な働き方を模索する吉澤さんに、これまでと現在の生活をうかがった。

*今回はオンラインで取材を行いました
*掲載しているお写真は、ご本人より提供いただきました

テレビ業界で美術制作を担当し、忙しくも充実した日々を送る

高校を卒業してアメリカに渡った吉澤さんは、ロサンゼルスで美術や3DCGを学んだあと、帰国してテレビの制作に携わるようになった。

「テレビ局の美術部門で、3DCG以外にも、ドラマの小道具や印刷物などを作っていました。例えば、ドラマで使う免許証やパスポート、『インターネットで調べものをする画面』など、制作物は多岐にわたります。携わっていた番組が、テレビ局の社長賞をいただいたこともありました」

クリエイティブで楽しい仕事だったが、スケジュールがきつく体力的にもハード。5年ほど経ち、別の仕事を考え始める。心機一転し輸入雑貨販売のECサイトを自ら立ち上げたが、売り上げがうまく立たずサイトは閉じることに。

「その後は派遣スタッフとして、インターネット放送の編集やエンコーディングに携わりました。社外活動としての部活が盛んな企業で、その活動が楽しかったですね。ランニング部で皇居の周りを走ったり、音楽部で趣味の音楽を作ったりして楽しんでいました」

その後も、沖縄へ移住してテレビコマーシャルの制作、横浜に引っ越してテレビアニメのエディターなど、クリエイティブ系のスキルを活かして仕事をしていた。

子どもの教育のために長野へ移住するも、やはり忙しく……

子どもができ、出産した後も忙しい日々を送っていた吉澤さん。ところが、家事や育児を自分ひとりで抱え込んでしまう。

「若いころから、無理をするのが当たり前のようになっていたんだと思います。『睡眠時間を削ればなんとかなる』という考えで、自分一人でできると思っていました。でも、毎日怒涛のように仕事、家事、育児の日々。心も体もボロボロでしたね」

そんな吉澤さんが軽井沢への移住を考えたのは、軽井沢に新しくできる学校がきっかけだった。幼稚園から中学校までを含むその学校を初めて知ったのは、開校の4年前。開校の時期を待って子どもとともに受験し、合格したので移住を決意したという。

「私自身が学校に通っていたころは、先生の言われるままに過ごして、表現の場もないことに疑問を持っていたんです。杓子定規のようなことに耐えられないと気が付いて、子どものためはもちろん、子どもを通して幼稚園や学校と関わる自分のためにも、自由な教育を実践しているところを選びたいと思いました」

夫婦でよく話し合い、夫は仕事を変えず、平日は神奈川県にある実家に泊まり、今まで通り会社に通うことにした。

吉澤さんは仕事を辞めたものの、引っ越しをはじめとして、新しい土地での基盤づくりや家事育児をひとりで担う。無理をしすぎたのか、あるときめまいで倒れてしまった。

「私が倒れたことで、やっと夫の目が覚めたんだと思います。真剣に会社とリモートワークの交渉をしてくれました。おかげでリモートワークができるようになり、家のことも頼めるようになりました。私はそれまで、家事や育児をこなせない自分を責めていましたが、『私が倒れたらこの家は立ち行かなくなる』と考え、今は無理をしないようになりました」

朝起きるのが苦手なため、夫に朝食を任せ、遅めに起きて子どもの送りだけを担当している。軽井沢の空気も手伝ってか、無理せずバランスを取れるようになってきた。

軽井沢で「やりたくないこと」が明確に

軽井沢での生活も落ち着き、そろそろ仕事に復帰しようと思うも、子育てをしながらこれまでのような仕事をするのは難しい。

「フルタイムなら、通える範囲にグラフィックの仕事はあります。でも、子育てを考えるとフルタイムでは働けません。パートタイムの仕事は、応募してもなかなか受からなくて……」

いくつか自宅でできる仕事もしてみたが、なかなかこれという仕事に出会えない。

「人に頼まれたものをただこなす、という仕事はしたくないんです。とはいえ、子育てもあるので、会社を興して事業を始める意気込みがあるわけでもない。でも、YouTubeやブログなど発信の方法はいくらでもあるし、それらを組み合わせれば学費の足しくらいにはなるんじゃないかと思って」

そこでスタートしたのがYouTube。海外でヒーリング系のチャンネルがヒットしているのを知り、動画制作のスキルを活かしてチャンネルを開設した。映像や音の素材のライセンスを購入し、それを組み合わせてオリジナルの動画を制作する。

「週に2本ほどアップしています。登録者数も着々と増え、最近はコメントもいただけるようになり、励みになっています。自分の作品を通じて、誰かの癒しになったり、落ち込んだ気分が少しでも上がったりしたら嬉しいですね」

「将来の目標のようなものはない」という吉澤さんだが、子どもと一緒に取り組むアート系の活動は続けていきたいという。美術館へ行ったり、制作をしたりするのは、生活の一部になっている。

「生活を大切にしつつ、これからは会社に合わせる仕事ではなく、もっと自分を大切にできる働き方を探していきたいです」

お気に入りの花瓶に花を飾って

お気に入りの花瓶は、しばらく飾っているだけだった。ところが、最近花を生けるようにしているという。

「とっておきを置いておくだけでなく、日常遣いしようと思って。自分をないがしろにして生きてきた気がしますが、楽しめるようにいつも花を飾ることにしました」お気に入りの花屋に行って、選ぶのも楽しい時間だ。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)

SPECIAL SITE
ABOUT

あなた「らしさ」を応援したいWorkstyle Makerリクルートスタッフィングが運営する
オンラインマガジンです。

JOB PICKUPお仕事ピックアップ

リクルートスタッフィングでは高時給・時短・紹介予定派遣など様々なスタイルの派遣求人をあつかっています

Workstyle Maker

『「らしさ」の数だけ、働き方がある社会』をつくるため、「Workstyle Maker」として働き方そのものを生み出せる企業になることを目指しています。