私が携わる重度身体障がい者向け在宅ワーク事業は、リクルートスタッフィングの特例子会社であるリクルートスタッフィングクラフツ(以下、クラフツ)が2021年6月に立ち上げたもの。クラフツは、約12年にわたって障がい者雇用を推進してきましたが、これまでは主に知的障がいのある方向けの紙すき製品やコーヒー豆の製造事業が中心でした。
そんな中、就労意欲はあるものの、通勤が困難という理由だけで働くことができない重度身体障がい者の方がたくさんいらっしゃることを知りました。そのような方にも就業機会をできるだけ多くの方に提供したいという想いから、事業化が決まりました。
2022年9月現在、19歳から63歳まで総勢26名のメンバーが、全国のご自宅を職場にして活躍してくださっています。メンバーの約半数は体幹機能性障がいのある方で、難病指定されている筋ジストロフィー症や脊髄小脳変性症の方、肺疾患を患い酸素ボンベが手放せない方などもいらっしゃいます。今まで働くことをあきらめていた方や事務職未経験のメンバーが多いのも、この事業の特徴かもしれません。
私たちは「働きたいと思っている一人でも多くの方に、機会とチャレンジの場を提供していきたい」という想いでこの事業をスタートさせました。初めての仕事、業務に戸惑われることもありますが、不安に寄り添い、一歩ずつ前進していこうと常々メンバーへも話をしています。生まれつきの障がいがある方だと、どうしてもコミュニケーションの相手が家族や施設の方だけに限定されがち。ですが、私たちやスタッフ同士の交流を持ったことで「働くって楽しい!」と言っていただけることもあり、そういった小さな変化を感じたときは胸躍るような喜びがあります。