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イベントレポート

「日本企業で働きたい!」外国人留学生が“夢”と“自分らしさ”を実現するための『Japaning ゼミ』を開催

株式会社リクルートスタッフィング

2017年11月24日 株式会社リクルートスタッフィング

近年、日本では外国人留学生が増え続けている。独立行政法人日本学生支援機構の調査では、昨年末に日本に留学する外国人留学生は約24万人に達した(前年比約3万人増)。日本政府は、2020年を目途に留学生の受け入れを30万人以上まで増やす「留学生30万人計画」を推進しており、日本企業も人手不足の解消や、自社の海外展開の人材確保のために優秀な外国人留学生を採用しようとする動きが活発化している。しかし一方で、外国人留学生の約65%が日本企業への就職を希望しているものの、日本における就職活動の慣習や言語が壁になり、実際に内定をもらえるのはわずか3割に留まっているという(経済産業省調査より)。

このように、日本企業の人材不足と外国人留学生の就職活動のミスマッチが社会課題となる中、リクルートスタッフィングでは、2015年に外国人留学生の派遣サービス『Japaning(ジャパニン)』を開始。そして2017年9月、日本で就職活動を行う留学生たちへ「就職活動のポイント」や「成功のコツ」などのアドバイスを行う“日本ではたらく”を学ぶセミナー『Japaning ゼミ』を開催した。

<Japaning とは>

2015年からリクルートスタッフィングが始めた外国人留学生の派遣サービス。大きな夢を持って日本を留学先に選んだものの、アルバイトがしたくても情報不足や習慣の壁に阻まれ、理想の仕事に就けないことがある外国人留学生たち。一方、訪日外国人の増加によるスタッフの語学力不足や慢性的な労働力不足という課題を抱えている日本の販売・サービス業の現場。この二つの課題に着目し、リクルートスタッフィングは、外国人留学生に向けて多様な就業機会の創出を目指して『Japaning』を開始。法律上週28時間(休暇中は40時間)まてと労働時間の上限がある留学生のために労働時間管理システムを提供し、クリアな労働市場の形成を目指す。留学生からは「飲食店やコンビニでは経験できない高度な日本語を学べる」「日本企業の雰囲気に直接触れることができる」、企業側からは「語学対応のできる人員を配置できた」「外国人材の活用を安心してスタートすることができた。」「優秀な人材を確保できる」などの声が寄せられている。

外国人留学生の壁になる「日本の商習慣」…乗り越えるには実際に仕事の現場で学ぶことが近道である

今回初めて開催された『Japaning ゼミ』の特徴は、『Japaning』の派遣スタッフとして働き、日本企業から内定を獲得した外国人留学生を中心にゲストとして迎え、“リアルな体験談”が中心になっていることだ。1テーブルあたり6〜7人の留学生が着席し、グループワークや座談会を中心に、就職活動に役立つ情報を実戦的に学べるように構成されている。

『Japaning』の責任者であるリクルートスタッフィング・塩澤は「留学生の就職に関する現状について」こう語る。

「日本で就職を希望する約65%の留学生のうち、実際に就職できているのは半数の約3割程度。つまり残り半分の留学生は希望しても就職できていません。原因はさまざまなものがありますが、『日本語能力の不足』『日本企業で働く場合のルールを知らない』など、『留学生側の理解不足』ということが挙げられています。」

では、留学生たちは具体的にどのようにこの問題を解消したらよいのだろうか?

「就職活動経験のある630人の留学生に対して行われた調査によると、『ビジネスに関する日本語やマナーはどうやって身につけたか』という項目に対し、日本語に関しては『学校の授業』という回答がもっとも多く、続いて『アルバイトや派遣の仕事』。一方ビジネスマナーに関しては『アルバイトや派遣の仕事など、就業経験を積むことで学んだ』が第1位でした。この結果から、日本企業が求める日本語力やビジネスマナーを理解するには、学校ではなく実際の就業経験を通して身につけるのがよいと思っています」(塩澤)

留学生の最初のハードルは「エントリーシート」。模擬エントリーシートで就職活動を疑似体験

日本での就職活動で押さえておきたいポイントが説明された際に、特に留学生が驚きを示していたのが「エントリーシート」だ。日本ならではの就職活動の慣習でもあるエントリーシートの存在を初めて知り、戸惑っている留学生も多かったようだ。イベントでは、参加者に「模擬エントリーシート」が配られ、「学生時代がんばったこと/取り組んだこと」をテーマに日本語で記入。学生時代の経験について「どんな状況で」「どんな課題があって」「どんなことを考えて行動したか」「それによってどんな成果が得られたか」を細かく記入していくというワークショップだ。

留学生たちは苦戦しながらも日本語で記入し、中には用紙びっしりに記入する人も。全員がエントリーシートを書き終えると、今度はペアを組んで1分間ずつ書いたことを日本語で発表。発表を終えた留学生からは「時間が足りなかった。短時間で自分の考えをまとめるのは難しい」「自己分析の重要性を感じた」「自分の話を他人に話すのがうまくできなかった」とエントリーシート作成の難しさと事前準備の重要性に気づく学生が多かった。

このワークショップを担当した『Japaning』担当の浅田は、

「外国人留学生にとって、エントリーシートを日本語で書くのはとても難しいと感じることが多いようです。まずは、アルバイトの経験、趣味、授業・ゼミ、スポーツなどなんでもいいので思いつくままに日本語で自由に書いてみることが重要。そして、それをきちんと相手に伝えるために自己分析をして事前に自分の言葉で言いたいことを整理しておくことが、エントリーシートならびに就職活動に成功へのポイントです」

と参加者にアドバイスをしていた。

就職活動は日本人学生との競争 日本人学生との競争…テクニックだけではなくポジティブシンキングも大切

続いて行われた『Japaning』での就業経験のある内定者7名による「就職活動のすゝめトーク」では、「内定を取るために頑張ったこと」や「これから就活をする人へのひと言」などリアルな体験談をもとにトークセッションが行われた。

内定を取るために重要だったことで一番多かったのは、「同期との情報交換」。「就職活動の情報はインターネットで調べても欲しい情報がなかなか出て来ないことが多い。そのため、周りの学生とのリアルな情報交換が重要になります」と後輩にアドバイス。また「業界を徹底的に分析すれば、対策がわかるので効率のよい就職活動ができる」と日本の就活生でもなかなか手が回らないことがある「業界分析」を挙げるハイレベルな内定者もいて、参加者は熱心に耳を傾けていた。

一方で、テクニック面だけではなく「自信を失うな」というメンタル面でのアドバイスも。内定者の一人は、「就職活動は日本人学生との競争。語学力や学歴などがハードルになって負けてしまうことも多く、何度も挫折しそうになりました。しかし、悪いことのあとには必ずよいことがあります。就職活動で苦労しても一生懸命がんばれば必ず結果が伴います。これから日本で就職活動を行うみなさんには、自分に自信を持って就職活動をして欲しい」と熱く語っていた。

就職活動は日本人学生にとっても精神的に負担がかかる人生の分岐点。外国人留学生にとっては、同様もしくはそれ以上にメンタル面で前向きに取り組むことが重要なようだ。それを裏付けるかのように、留学生内定者の「好きな日本語」は、「七転び八起」や「(自分の)軸を整える」などの心の支えになるような言葉を挙げる内定者もおり、中には松下幸之助の「道をひらく」などの言葉も飛び出し、会場を沸かせていた。

次から次へとな質問が続出。内定者と留学生の「ぶっちゃけ座談会」

『Japaning ゼミ』の最終コンテンツは、登壇した内定者が参加者のテーブルに加わってトークをする「ぶっちゃけ座談会」。座談会は1回10分で、まず登壇者が2分間自己紹介、自身の内定までの経緯を説明。そしてその後は質疑応答。ある内定者は「インターンシップで30社エントリーし、25社落ちた」という話を披露し、リアルな日本での就職活動の苦労話に留学生からは驚きの声があがっていた。

質疑応答の時間になると、留学生が内定者に「留学生を積極的に受け入れている会社の情報はどこで手に入れるのか?」「外資系企業では日本語より英語が重要視されるのか?」「面接に受かるポイントは? 日本語力はどの程度求められるか?」等、次々と質問を浴びせかけ、会場は活発な議論で盛り上がっていた。中には「面接のときにイジワルな質問があったらどうしたらよいか?」という日本の就職活動でよく聞く「圧迫面接」に関する質問も。これに対し、内定者は「模範的な完璧な答えより、正直な答えが大切ですね」と回答し、就職活動という試練を乗り越えて精神的にも逞しくなっている様子が伺えた。

参加者との座談会を終えた内定者は、下記のように感想を語ってくれた。

「参加者のみなさんの質問もハイレベルで、意識も高くて驚きました。日本で就職活動を行う外国人留学生はみんな同じことで困っているようです。インターンシップは本選考とどういう関係があるのかとか、面接でどう答えたら受かるのかとか。外国人は就職に関する情報が日本人よりも圧倒的に少ないので、私は経験者としてできるだけみなさんに役立つ情報を教えてあげられたらと思います」

『Japaning』を通じて、企業と外国人留学生のギャップを埋めていきたい

最後に、今回の責任者である塩澤が『Japanin ゼミ』を振り返ってこう語った。

「僕らから情報やノウハウを伝えるのもよいのですが、何よりも留学生同士が交流を持つ場を作れたということが一番よかったと思いました。私たちのサービスは留学生と企業のマッチングで、主に販売系の仕事を留学生に紹介してきました。これまでもビジネスマナーのレクチャーなどは行っていたのですが、日々のコミュニケーションを通じて、最終的に学校を卒業して日本の企業に就職したいと考えている留学生がとても多いことを実感したのです。また、年々登録者から就職に関して相談を受ける機会も増えてきて、それなら一度イベントを開いてみよう、と。それで今回の開催に至りました。参加者は予想よりも多かったです。関心が高いというか、皆どうしたらよいか迷っていますし、どこで情報を得れるかも分からないんですよね。登録者の話を聞くと、やはり大学時代に働いて得た知識や経験がダイレクトに就職につながっていくようです。ただ、在学期間の仕事であっても、企業は高いレベルの日本語力やマナーを働く側に求めます。そのため、留学生と企業との間にギャップができてしまう。私たちはサービスを通じてそうしたギャップを埋められたらいいな、と考えています。具体的には販売系の仕事以外に、オフィスワークや電話応対など、仕事のバリエーションを増やしていく。これによってよりレベルの高い語学力やマナーを身につけることができます。実際、最近では貿易業務のサポートや携帯ショップでサービスの案内、塾の受付や受講者の管理業務など私たちが提供する仕事の幅も広がっています。そうした仕事を通じて学生のみなさんのスキルアップや充実した留学生生活を送るお役に立てたらな、と考えています」

今回の「Japaning ゼミ」は、日本で就職活動を始める留学生にとって、不安を解消したり、情報を手に入れたり、様々な点で貴重な機会となったようだ。今後、人口が減少し、ますます外国人留学生の若いチカラが必要となる日本。日本で働きたいと考える留学生が、希望の会社に入り、好きな仕事で「らしく」活躍する社会を実現していく必要がある。

ニュースリリース・取材に関するお問い合わせ

TEL:03-6636-8997 (広報室)

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