派遣スタッフとして働く金田淳さん(50)の人生は、「旅とともにある」という。現在は東京で働き、契約が満了するたびに長期の旅へ出かける。そんな金田さんの働き方、旅の仕方、旅と仕事の共通点などを伺った。

*オンラインで取材を行いました
*掲載している写真は、ご本人からご提供いただいたものです

旅とともに歩む人生

金田さんが日本を拠点として暮らすようになったのは2011年から。それまでは、上海での留学、オーストラリアでのワーキングホリデー、上海での就職などを経験し、さらに、結婚と離婚、再婚を経て、現在は東京に居を構える。

日本に戻ってから派遣スタッフという働き方を知り、定期的に長期の旅をしたい自分にマッチした働き方だと感じたそう。

「基本的にはお仕事を一定期間やらせていただき、そのあとに長期の旅に出かけます。前回の旅はもっとも長く、3ヶ月間かけて世界一周しました。働いている間も、週末を利用したり、休みを取って1~2週間の旅行などはしています」

両親がアメリカの文化に憧れを持っており、小さな頃からアメリカへ旅行していた。現在はアメリカに限らず、英語圏や中国語圏への旅行が多い。

「大学ぐらいから友達と旅行するようになり、それから一人旅へと、少しずつスタイルが変わってきました。夫も一人旅が好きなのでそれぞれ好きなように旅をして、現地で落ち合います。母は亡くなりましたが、旅行が好きな父も合わせて3人で合流する場合もあります」

金田さんが夢中になる旅。どんな魅力を感じているのだろう。

「自分のホームグラウンドにいると楽ですが、その分何かが麻痺してきます。一歩外に出ると、自分の身は自分で守らなくてはならないし、自分が考えてる常識も通じない。普段は感じられないマイノリティの立場を知ることができます。高校生のときに海外に行き、外国人だからと空き缶を投げられたこともありました。極端な体験ですが、そのおかげで日本にいるときもマイノリティの方の立場になってものを考えられるのではないかと感じています」

旅によって学びを得られるのはもちろん、楽しいことも多い。

「知らなかった人と会うことで、知らなかった自分を発見できます。現在スペイン語を勉強していて、初めてスペイン語圏でホームステイをしました。若い頃の私なら、とにかく積極的に身振り手振りも交えて話しかけていたと思いますが、今回は自分が話せなくても、穏やかで楽しい時間を過ごせたのです。『50歳の私ってこんなに物静かなんだ』と新たな発見がありました」

仕事では通訳の仕事にチャレンジ

派遣先企業が職場となる“派遣スタッフという働き方”は、“旅に似ている”と言う金田さん。

「派遣先の職場は、自分にとって新しい環境であり、成長の機会にあふれた場所です。新しい場所で、チャレンジし続けられると、『楽な世界から出てもまだやっていける』という自信に繋がるのかもしれません。新しい業務を一から勉強して行くのは決して楽ではありませんが、自分が変化して成長したり、知らない人と少しずつ仲良くなったりと、新しい筋肉を鍛えるような喜びがあります」

最初のうちは「少しずつ成長できる喜び」が、契約期間を終えたときには「大きな達成感」がある。

特に、2025年5月から始めた今回の就業先では、通訳の仕事を任されている。これまでの仕事は翻訳がメインだったが、新しいチャレンジである通訳の学校に通い始めた。そのタイミングで現在の仕事に出会えたという。

「今までも、必要に応じて通訳業務をしてきましたが、あくまで我流でした。4月から通訳学校に通い始めてテクニックを学ぶにつれて、どんどん難しさが増したように思います。例えば、相手の方が1分で話したとすると、言語を変換し1分30秒以内には伝え終えるのが基本。そのためには、重要ではない部分を削ぎ落とし要約しなくてはならず、本当に難しい仕事だと感じます」

休日は学びと旅行に使う

英語と中国語を操る金田さんは、さらにほかの言語にもチャレンジ中。現在勉強中のスペイン語は、ネイティブの方とカフェで定期的におしゃべりをしているそう。また、手話の勉強も3年続けている。

「東日本大震災の約十年後に新聞の特集があり、障害のある方の避難生活を目にしました。心に響いたのが、耳が聞こえない方の経験です。サイレンの音や周囲の声が聞こえない状態で、当時はどんなに不安だっただろう、と胸が締め付けられました。私が手話でコミュニケーションできたら、いずれ何かの役に立つかもしれないと思ったのです」

休みの日は小旅行にも行く。友人と東京の島に行く機会が多いのだとか。旅行に行かない週末は、土日のどちらかで3時間ほどレンタルスペースを借り集中して通訳の勉強を進めている。

そんな金田さんの今後の目標は、60歳までにスムーズな同時通訳ができるようになること。また、プライベートでは、夫とともに実家のある愛知県に移住し、できればフリーランスのような働き方で、生計を立てて行きたいと考えている。

愛知県に移住しても、旅をして日々刺激を受ける日常は変えたくないと考えている金田さん。拠点を変えても、成長に貪欲な姿勢はきっと変わらないだろう。

朝の日課は16年間続けているヨガ


愛用品は、ヨガマットとフォームローラー。16年前に始めたヨガは生活の一部になっている。

「朝起きたあと、必ずヨガをして、体を整えています。体が凝っていると感じたときはフォームローラーでほぐします。これは朝に限らず、時間があるときに」

しっかりと体のメンテナンスをすることが、長く旅をする秘訣でもあるのかもしれない。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)

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