
現在、「紹介予定派遣」という制度を利用して働くKさん(29)。学生時代に簿記を学び、経理の仕事中心にキャリアを重ねてきたが、それぞれの職場で長く働き続けられなかったことが自信のなさに繋がっていた。その後、紹介予定派遣を通じて理想的な職場に出会い、現在は正社員を目指して働いている。そんなKさんに、これまでの葛藤や、苦しい時期の乗り越え方を聞いた。
*オンラインで取材を行いました
*掲載している写真は、ご本人からご提供いただいたものです
友人に教えてもらったのをきっかけに、紹介予定派遣を希望
昨年の10月から、現在の職場で働いているKさん。紹介予定派遣を知ったきっかけは、友人からの紹介だった。
「以前の職場で急に転職することになり、今後の働き方に迷っているとき、心配してくれた友人がごはんに誘ってくれたんです。その友人が勧めてくれたのが紹介予定派遣で、彼女自身も利用していました。いきなり正社員としてではなく、派遣スタッフとして働くので心理的負担が少ないと感じて、非常に魅力的に思えました。派遣スタッフとしてなら、業務の範囲もある程度限られていますし、様子を見ながら仕事に慣れることができます。心に余裕を持って働けるイメージが持てました」
Kさんはこれまで、派遣スタッフとして務めた経験はなかったが、紹介予定派遣の制度にチャレンジしてみた。結果、想像以上に自分に合っている職場に巡り会えたと感じている。
「もともと、学生時代に取った簿記の資格を活かせる職場で働きたいと思っていました。現在は経理を担当しており希望通りですし、スキルの向上も見込めます。加えて、同じ部署にいる皆さんが非常に尊敬できる方なんです。20代で入ったばかりの私にも意見を聞いてくれ、取り入れていただけます『人間ができている』というか……私もそういう人になりたい、と思えるような方ばかりです」
昼休みが近づくとランチの話で盛り上がるなど、明るくフランクな職場の雰囲気も気に入っている。
『3年は働きましょう』が難しかった
現在は充実した職場と仕事内容で満足しているが、今の環境に巡り合う前は、自分に合うと思える職場がなかなか見つからなかった。
「簿記や会計に携わる仕事を何社か経験していましたが、転職が多いのが悩みでした。よく『3年は働きましょう』と言われますが、3年続くことがなかなかなく……。『私は社会に合わせられないのではないか』と思ったこともありました。転職活動も内定がもらえそうな履歴書を作るといった、型にはめた書き方しかできなかったんです」
そんな中で自分主体の転職活動がしたいと、スポーツ選手の勧めていた方法を取り入れてみた。マインドマップに好きなことやその理由を次々と書いてくワークで、ポジティブなことで用紙を埋め尽くしていく。
「書いていく中で、大好きなアニメのことや、これまでに頑張ってきたこと、感動したことなどが出てきて、経理の仕事にこだわる理由もわかってきました。それまでは漠然と、資格を理由にしていましたが、本当は簿記が好きだったんです。数字を突き詰めて、ピタッと合ったときが本当に気持ちいい。パズルのピースが合うような感覚が好きなんだとわかりました」
サポート担当の助言で、スキル不足を認めて頑張ろうと思えた
加えて、今回の転職で紹介予定派遣を申し込んだリクルートスタッフィングのサポート担当にも、自分では気が付かなかった本音を引き出してもらえた。
「電話で何度も話を聞いてくれて、これまでの職場で負担に感じていた部分を素直に吐き出せました。一般的に、転職活動で志望動機を話すときには以前の職場の不満を漏らすのはマイナスイメージが付くからご法度と言われています。でも、本音の部分を聞いてくれたからこそ、『経理スキルの向上』『組織長を尊敬できる』など、自分が求める職場がわかったんです」
それまでは、ひとつの職場が長く続かない自分を責めたり、逆に自分のスキル不足を認められなかったりした。サポート担当との対話を通して、コロナ禍に契約終了となった原因を自分の能力不足と認めることができ、客観的に自分を見つめることに繋がった。
「スキル不足を認めるのが怖くて、逃げていたんだと思います。振り返って素直に認めてみたら、思ったほど怖くなかった。『それなら、もっと努力すればいい』と言ってもらえて、自分でもそう思えました。マイナスに捉えずに、今の職場でスキルアップを目指そうと素直に思え、頑張れている実感があります。サポート担当の方には本当に感謝しています」
プライベートも仕事も充実。将来は尊敬する方のような人材に
そんなKさんの趣味はアニメ。好きな作品や推しのキャラクターがいて、空いた時間には撮りためた動画を見たり、コンセプトカフェやイベントに足を運んだりする。ぬいぐるみやアクリルスタンドを持ち歩き、写真を撮るのも楽しみだ。アニメを通して癒されたり、歌の歌詞に生きる勇気をもらったりしている。
魅力的な職場と充実したプライベートについて晴れ晴れとした表情で話してくれたKさんだが、職場や働き方に悩んでいる知人は少なくないという。
「私もそうだったので、気持ちがわかります。だからこそ、派遣スタッフから始めて正社員になれる道もある、と知ってもらいたいです」
自分に嘘をつかず、素直に働いていきたいと語るKさんが目指しているのは正社員になること。将来的には、同じ部署にいる皆さんのように道を示せる人材になりたいと考えている。
ライター:栃尾 江美(とちお えみ)
紹介予定派遣とは?
紹介予定派遣とは、派遣スタッフとして一定の期間を就業したあと、派遣スタッフと派遣先企業の双方が合意すれば、あらためて社員として入社・就業する仕組みのことです。派遣期間中に職場や仕事を理解し、その企業が自分と合うかを実際に経験してから判断できるというメリットがあります。
■Kさんの営業担当より
Kさんはもともと、「経理の経験をもっと積みたい」という軸を持って就職活動をしていらっしゃいました。そのため、職場環境とのマッチ度合いが重要だと考え、就業開始当初は業務内容よりも職場環境に重きを置いたフォローを心がけていました。
そのような中で、Kさんからは「就業先に商業高校出身の方がいらして、とてもわかりやすく教えていただいている」「困ったことがあると皆さんが声をかけてくれて、とても助かっている」といったポジティブな話を聞くことができ、安心して見守ることができました。
■研修プログラムもご用意しています
面接対策や履歴書・職務経歴書の添削など、選考にあたってのサポートもご用意しています。ぜひご活用ください!