
Excelの困りごとを解決するこのコラム。
今回のテーマ:データ入力
「初歩的なことだと思い、周囲には聞きづらい…」そんな声が寄せられました。実は「データをわかりやすく表示しよう」と配慮したつもりが、かえって使いづらくなってしまうことも。今回は、データ入力時に陥りがちなNG例をご紹介します。
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その入力、本当に「あとから使える」状態ですか?
Excelでのデータ入力は一見単純に見えますが、実はとても重要な作業です。
「とりあえず入力しておけばOK」と思っていても、あとから集計・分析・検索しようとしたときに困ってしまう──そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなトラブルを未然に防ぐために、「やらないほうがいいこと」をデータ入力の観点から4つご紹介します。
1.ひとつのセルに複数の情報を入力しない
あるレストランの運営会社では次のような形式で売上の情報が入力されていました。しかしこれでは、あとから売上の集計を行うことができません。
このようなデータからは、日別・店舗別・予約種別ごとに売上の集計を出すことがよくあります。しかし上図のように入力されてしまっているデータからはそうした集計を出すことができません。
■POINT
D列に入っているのは、集計できる「数値」ではなく「190000/193000」などといった「文字列」です。
人間が見れば売上の数字とはわかるかも知れませんが、Excelの集計対象としてはこれでは使いものにならないのです。
▼集計できない形式- BEFORE
図を拡大する
▼正しい形式 – AFTER
図を拡大する
AFTERの図のように入力するのが正しい形式です。「1行1件」「1セル1データ」の形式で入力するのがデータ作成の基本です。
タイトル行は、一番上に。その次の行から1行1件のデータを入力していきます。
たとえば2行目なら「4/1の松尾店のランチ予約の売上は190000円」という1件の情報を1行で入力しています。
この形式で入力されていれば、あとから日別・店舗別・売上種別ごとの売上を集計することが可能になります。
2.同じデータが続くからといって「同上」や「〃」は厳禁
同じデータや値が続くからといって、次のB3セルように「同上」や「〃」などを入力することも厳禁です。
これでは、あとから店舗別の売上を集計しようと思っても「松尾店」の売上を正しく集計できなくなってしまいます。
3.数字に単位の文字列をつけてはいけない
次の図では、B5セルにSUM関数が入っているのに残業手当の合計数字が0になってしまっています。これはなぜでしょうか。
■POINT
これは、B列の残業手当額を入力するセルに、数字と一緒に「円」という文字列を入力してしまっているために、計算できない「文字列」になってしまっていることが原因です。
これが、「数字に単位の文字列をつけてはいけない」というルールの理由です。
単位の文字列をつけていない次のような入力であれば、問題なくSUM関数で合計を出すことができます。
▼正しい形式
図を拡大する
数字を入力する際に、丁寧に表示しようという思いから、単位も打ち込んでしまっているケースは非常によく見かけます。
あとから使えるデータとして残すために、数字は数字だけをセルに入力するようにしましょう。
4.文字列の前後にスペースが入り込まないように注意
次の例は、「B3セルに入力したSUMIFS関数がどうしてゼロになってしまうのか…」とお悩みの方からご相談いただいた事例です。
問題の原因はこの関数の第三引数で指定されているA3セルにあります。「家庭用」と入力されていますが、微妙に先頭にスペースが入ってしまっていますね。
これは、「売上高の内訳として家庭用と業務用があることをわかりやすく表示しよう」という配慮から、このA3セルとA4セルの先頭に半角のスペースを入力してしまった例です。
確かに見た目にはその目的は達成されています。しかし、このセルを参照する集計式の結果に、このように意図せぬ影響を与えてしまいます。
■POINT
このB3セルのSUMIFS関数が意図しているのは、「D列の値がA3セルの値と同じ値の行の、E列の数値を合計する」ということです。
つまり「D列が”家庭用”という文字列だったらE列の数値を合計する」ことを意図しているわけですが、A3セルには「家庭用」という文字列の前に半角スペースが入ってしまっています。
一方、D3セルの値は先頭の半角スペースがない「家庭用」という値で、このA3セルとD3セルの値は異なる値ということになってしまうのです。
このように、文字列の前後にスペースが入ってしまうと、それはスペースが入っていない値とは異なる値になってしまうため、「文字列の前後にスペースが入らないように注意」することが大切になります。
・・・
以上のようなポイントを守ることで、「あとから困らない・あとで活用しやすい」データを蓄積することができます。
以下の記事では、単位などの「文字列」を取り除く方法をご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
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