Excelの困りごとを解決するこのコラム。今回は「折れ線や棒グラフ。どのグラフを作るといい?」について。Excelに関する質問も募集中です。抽選で、マンガで読むExcelの教科書をプレゼント。詳細は記事の最後に。
折れ線や棒グラフ。どのグラフを作るといい?
グラフを使ってわかりやすい資料を作りたい。だけど、どんなグラフを作成したらいいのかわからない。
Excelで数字資料を作る際に、このようなお悩みをお持ちの方はとても多いのが現実です。
棒グラフや折れ線グラフなどがあるのはわかる。だけど、そのどれを使ったらいいのか迷って、資料作成に時間がかかってしまう…。
上のお悩みもよく聞きます。
数字で説明される状態を「視覚的にわかりやすく」するためにグラフは使われます。それぞれのケースでどんなグラフを作ればいいのか。それを判断するための基本がわかればもうこわくありません。
加えて、グラフの作成をスムーズに進めるには手順があります。
1 整理する:グラフを使って何を説明したい?
2 決める:目的に応じたグラフの種類はどれ?
3 用意する:グラフの元になる『データソース』
↓
グラフ完成
ひとつずつ、具体的に見ていきましょう。
1 整理する:グラフを使って何を説明したい?
企業が数字を見る基本は「推移」「比較」「構成比」の3つです。
・推移
時とともにどのように変化していってるのか
・比較
他社に比べて自社の売上は大きいのか小さいのか
・構成比
自社売上の内訳はどのような構成比になっているのか
など
売上や経費、または従業員数や在庫、顧客数など。これらの資料を作成する機会が企業の現場では実に多くなります。その目的に応じて、適切な種類のグラフを作る必要がでてきます。
2 決める:目的に応じたグラフの種類はどれ?
では、5つのグラフと用途を見てみましょう。
■推移と比較を表現する場合
「棒グラフ」と「折れ線グラフ」
例えば「売上の経年推移を説明したい」としましょう。これを言い換えると、売上の「推移」であり、または、期間ごとの「大小比較」とも言えます。このような「推移」や「比較」を表現するために使われるのが「棒グラフ」と「折れ線グラフ」です。
次の2つのグラフは、どちらも売上が右肩上がりで上昇していることがよくわかります。
▲棒グラフ
▲折れ線グラフ
Check
どちらを使えばいい?
棒グラフ
・ひとつの対象の要素の推移を表現する場合
・プレゼンテーションなどでの視覚的なインパクトを与えたい場合
→棒グラフは、数字を積み重ねた結果としての「量」や「大きさ」のイメージを表現できる
折れ線グラフ
・複数の対象の要素の推移を表現する場合
→折れ線グラフは、点で数字の変化を表現できる
▲A社とB社の売上推移を比較した折れ線グラフ
Check
棒グラフは、さらに種類がある
棒グラフは大きくわけて「縦棒グラフ」「横棒グラフ」の2種類があります。加えて、それぞれに「100%積み上げ棒グラフ」「積み上げ棒グラフ」もあります。「積み上げ棒グラフ」は、数字の内訳を表現するのに適しています。
▲積み上げ棒グラフ
「縦棒グラフ」と「横棒グラフ」の使い分け
項目の文字数が長い場合などには「横棒グラフ」のほうがスマートに。
▲横棒グラフ
▲縦棒グラフ
■内訳の構成比を表現する場合
「円グラフ」
数字の「内訳」や「構成比」を表すのに多用されるのが円グラフです。円グラフは、構成比が大きいものから順に時計回りに配置するのが基本です。
上図のように、データソースも降順に並べ替えてあります。
Check
「円グラフ」よりも「棒グラフ」が適切な場合も
構成比の「推移」や「比較」を表現する場合は、円グラフよりも、棒グラフの一種である「100%積み上げ棒グラフ」のほうが表現しやすくなります。
■2つの数字の相関を表現する場合
「散布図」
「散布図」は、「2つの数字の相関関係」を調べるのに使われます。相関関係とは、一方が増減すると、もう一方も連動して変化する関係です。例えば、以下のようなことです。
・アポイントの獲得数と売上は比例するのか
・気温が高い日はビールがたくさん売れるのか
・サイトへのアクセス数と売上は関係あるのか
など
グラフ上に散りばめられた点がどのような状態になっているかを観察し、次の基準で2つの数字に相関関係がある・ないと推測します。
相関関係がない
正の相関関係がある
「横軸の数字が大きいものは、縦軸の数字も大きくなる」という傾向
▲例「夏の平均気温が高いほうがビールの売れ行きも上がる」など
負の相関関係がある
「横軸の数字が大きいほど、縦軸の数字が小さくなっていく」という反比例的な傾向
▲例「社内での会議に要する総時間が長ければ長いほど、売上は小さくなっていく」など
■3つの数字の関連を表現する場合
「バブルチャート」
上の「散布図」はグラフ上に点を散りばめただけでしたが、その各点にさらに「大きさ」を持たせることによって「3つの数字の関連」を表せるのが「バブルチャート」です。
次のバブルチャートは、各営業マンの「アポイント獲得数」「売上成績」「平均受注単価」の3つを表した例です。
▲「アポイント獲得数が少なくても売上成績が高い社員は平均受注単価が大きい」という情報が読み取れる
3 用意する:グラフの元になる『データソース』
このように、用途と目的に応じて作るグラフの種類を決めたら、次はグラフの元となる「データソース」を用意します。
上の図は、ある会社の第1期から第5期までの売上表と、それをデータソースにして作ったグラフです。データソースを元にグラフを作成する手順は、次の2ステップです。
1 データソースである範囲を選択する(ここではA2:F3)。
2 「挿入」タブの「グラフ」から作りたいグラフ種類のアイコンをクリックする。
また、「系列名」「系列値」「軸ラベル」を意識してデータソースを用意すると、グラフ作成がスムーズになります。
Check
「系列名」「系列値」「軸ラベル」はどこ?
もう一度、先ほどの図を見てみましょう。
データソースA2:F3は、次の「系列名」「系列値」「軸ラベル」の3つのパートからから成り立っており、それぞれ次の範囲に該当します。
・系列名 A3
・系列値 B3:F3
・軸ラベル B2:F2
グラフの「凡例」を表示させた状態が下の図です(赤枠部分)。
それぞれが、グラフのどこに、どのように反映されるかを確認しましょう。
系列名
この凡例に出てくる項目のことを「系列名」と呼ぶ。その名称にはデータソースのA3セルが「系列名」の値に使われている。
軸ラベル
グラフの横軸目盛りに出てくる「第1期」「第2期」などの部分を「横(項目)軸」と呼ぶ。データソースのB2:F2が「軸ラベル」の範囲の値に使われている。
系列値
B3:F3の「系列値」の値が棒グラフとして表されている。
Check
改めて「系列名」「系列値」「軸ラベル」がデータソースのどこにあたるかを確認したい場合
[データソースの選択]画面から確認できます。
[データソースの選択]画面を表示させるには、グラフを右クリック→メニューから[データの選択]を選択します。
系列名と系列値
左に[凡例項目(系列)]という欄がある。ここに出てくる項目を「系列名」と呼び、これらが凡例に出てくる「系列名」に使われる。さらに、[編集]ボタンをクリックすると、「系列名」と「系列値」にどの範囲が使われているか確認することができる。
軸ラベル
右に[横(項目)軸ラベル]という欄がある。その中に並んでいる項目をまとめて「軸ラベル」と呼ぶ。同じく[編集]ボタンをクリックすると、「軸ラベル」にはどの範囲が使われているか確認することができる。
データソースを用意するときのポイントは、「系列名」「系列値」「軸ラベル」を意識することです。正しいデータソースを用意することで、イメージどおりのグラフをスムーズに作ることが可能になります。
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