派遣で働くエンジニアのスキルアップを応援するサイト

PRODUCED BY RECRUIT

サクッとわかるITトレンド8月号:大人も自由研究!IoTでプログラミングを体験しよう

IT業界にいると「ちょっと気になる」そんな話題をサクッと解説する本連載。前回の「Pythonが人気の理由」はいかがでしたか。8月号のテーマは、「IoTでプログラミングを体験しよう」。夏と言えば自由研究!ということで、日々お忙しい皆さんも思わず挑戦してみたくなる、そんな手軽なIoT端末を増井敏克さんに教えていただきました。定番のRaspberry Piやトイドローンまで。お子さんと一緒にチャレンジするのも、また面白いかもしれません。

【筆者】
増井 敏克さん
増井技術士事務所代表。技術士(情報工学部門)。情報処理技術者試験にも多数合格。ビジネス数学検定1級。「ビジネス」×「数学」×「IT」を組み合わせ、コンピューターを「正しく」「効率よく」使うためのスキルアップ支援や、各種ソフトウェアの開発、データ分析などを行う。著書に『Pythonではじめるアルゴリズム入門』『IT用語図鑑[エンジニア編]』など。新刊に『図解まるわかり データサイエンスのしくみ』がある。(以上、翔泳社)

IoTを手軽に安価に試せる良い時代

パソコンはなんでもできる機械です。しかし、意外と難しいのがセンサーを接続してデータを取得すること。カメラを搭載するノートパソコンは増えましたが、温度センサーや光センサーなどを使おうとすると、一気にハードルが上がります。

そこで登場するのがIoTです。安価に使える機器が増え、手軽に試せる時代が来ています。夏休みの自由研究にIoT端末を使ったプログラミング体験はいかがですか?

IoTを自作するなら。定番の「Raspberry Pi」「Arduino」

センサーを接続して使うことを考えたとき、すぐに思いつくのはRaspberry PiやArduinoです。カードサイズの大きさで「ワンボードマイコン」と呼ばれる種類の機器で、基盤が剥き出しになっている見た目は似ています。
(参考)Rasberry Pi
(参考)Arduino

Raspberry Piはセンサーを接続できるだけでなく、Linuxを導入することで一般的なパソコンと同じように使えます。Webサーバーソフトを導入して自宅でのWebサーバーに使うこともできますし、Pythonなど使い慣れた言語を使ってセンサーを制御することも手軽にできます
一方のArduinoはOSがなく、プログラムから直接ハードウェアを制御できます。このため、モーターの制御などリアルタイム性が求められる処理には最適です。「Arduino IDE」という専用の開発環境が用意されており、設定から開発までの環境を速やかに構築できます。
(参考)Arduino IDE

▲https://www.raspberrypi.com/より

さらに手軽なものといえば「M5Stack」「M5Stick」

Raspberry PiやArduinoでは処理状況を確認するために外付けのディスプレイが必要で、入力するにはキーボードやマウスも必要です。もちろんサーバーとして使用するなら問題ないのですが、初心者が単体で使うのは不便です。そこで、単体で手軽に処理状況を確認したい場合は、M5StackやM5Stickが便利です。
標準で小さなディスプレイがついているだけでなく、ボタンやスピーカー、バッテリーを内蔵しています。このため、ボタンを押して制御して結果を画面に表示したい、という用途には最適です。単体で加速度センサーなども搭載しているため、特別なセンサーを追加しなくても、振動や角度の変化に合わせて処理を変えたい、といった制御もできます。
Arduinoと同様に「Arduino IDE」で開発できます。
(参考)M5Stack

もう少し安価に試したい場合は「micro:bit」

もう少し安価に試してみたい、という場合はmicro:bitがおすすめです。教育用の小型ボードで、縦に5個、横に5個並んだ、合計25個のLEDライトが搭載されています。さらに、ボタンやタッチセンサーがあり、指で触って操作できます。
Scratchを使ったブロック型のプログラミング言語が使えるため、プログラミング経験がなくても使えることが特徴です。バージョン2ではスピーカーも内蔵され、楽器のように遊ぶこともできます。もちろん、Arduino IDEで本格的なソースコードを書くことも可能です。
(参考)micro:bit

盛り上がること間違いなし?「トイドローン」

最近話題なのがドローンです。航空法の改正もあり、2022年6月20日からは重量が100g以上の機体について、登録が必須になりました。登録を申請し、付与された登録番号を機体に記載する必要があるのです。しかし、100g未満の機体であれば登録不要で使えます。そこで注目されているのが「トイドローン」です
たとえば、教育用として使われているトイドローンとして「Tello」があります。わずか84gの機体なので登録は不要ですし、スマートフォンのアプリから操縦できるだけでなく、Scratchのようなブロック型のプログラミング言語で操作できます。つまり、事前にプログラミングした通りに飛ばせるのです。
(参考)Tello

基本的には室内で飛ばすためのものですが、カメラ機能もありますし、宙返りや手のひらへの着陸など、楽しい機能も搭載しています。プログラミングができなくても、ラジコン感覚で楽しめるため、初心者には最適です。ルールを守って安全に使用してみてください。

▲https://www.ryzerobotics.com/jp/telloより

いかがでしたか?このようにパソコン以外でもプログラミングを楽しめる環境が整ってきています。いずれも数千円から1万円程度で十分楽しめますので、ぜひこの夏に試してみてください。

▼これまでのサクッとわかるITトレンド
Pythonはなぜこれほど人気なのか