
「嫌な人間関係」「やらなくてはいけないこと」で頭がいっぱいで、将来のことや、本当にやりたいことを考える余裕のない人は多いのではないだろうか。そんなときに効果的なのは「ノートに書きだす」こと。今回のらしさオフラインは、自身もノート術を活用して夢をかなえてきたという大嶋祥誉さんが講師となり、ワーク満載のプログラムでさまざまなノートの取り方をレクチャーしてくれた。

ノートに書きだすだけで頭の整理ができる
コンサルティングファーム出身の大嶋さんだが、当時は優秀な同期に囲まれ、何をしていいのかわからなかったという。ところが、ノート術との出会いが大嶋さんの人生を変えたのだとか。
「書籍を11冊ほど出版させていただいたほか、コーチングや講師などのお仕事もしていますが、すべてがノート術で実現したと言っても過言ではないくらいです」
自信のない自分から、イキイキとした自分へと変わった経緯を説明した。
参加者の実施した最初のワークは、隣の人と自己紹介をすること。「名前」と「今の状態」をお互いに話す。「寒い」「落ち込んでいる」などでもいいそう。それから、今日のらしさオフラインで「得たいこと」を話す。その後時間を取り、今度はそれぞれが自分の話したことを書きだしてもらった。
「書いてみると、自分の思っていることが明確になっていきませんか。書くだけで頭の整理が始まるんです」
大嶋さんはさまざまなノートを活用しており、自身で実際に使っているものを見せながら説明する。大嶋さんがよく使う「ノート術」には、さまざまな種類があるのだとか。
・クリアリングノート
・問題解決ノート
・デイリーノート
・振り返りノート
・夢ノート
今回は上記5種類のノート術を、参加者に体験してもらった。
まずは嫌なことを吐き出してゼロの状態にリセット
自己紹介の次にするのは「ゼロリセットワーク」。最初に実施するのはクリアリングといい、ノートではなくA4の紙を使って、とにかく嫌なことやモヤモヤしたことを書いていく。人に読まれたら困ることや、自分の汚い気持ちでも、気にせずどんどん吐き出す。なぜなら、それは破いたり捨てたり、燃やしてしまうから。
「『こんなひどいことを書く私ってとんでもない!』などと気にしないことが大切。人に見せるものではないんだから、汚いものは自分の中に溜めずに出した方がいい。おすすめは、燃やすこと。火の扱いや、火災報知器には注意していただきたいのですが、安全な場所で燃やしたら、嘘みたいにスッキリします。燃やすのが難しければ、細かく破いてビニール袋などに密閉して捨ててください」
ワークでも、書いた後は各自がビリビリに破いたあと、回収した。「まとめて、責任を持って捨てる」のだという。これは、何度もやるといいそう。2回目には同じことを書いてもいいが、1回目でスッキリするからなのか、別の想いが現れてくることが少なくない。何クールか実施して、自分をニュートラルにすることが大切だ。参加者には、2回実施してもらった。
「みなさん、顔つきが変わってきました」
モヤモヤすることを書いたのに、楽しそうに破く姿が印象的だ。
賢者になったつもりで自分にアドバイス
次のワークは「問題解決ノート」。これは、ノートを見開き、または1ページに線を引いて左右で使う。一番上にテーマを記載し、左側に「気になっていること」を箇条書きでどんどん書いていく。
気になっていることが書けたら、体を動かす。大嶋さんのおすすめは、親指を下にして手のひらを外側に向け、腕を大きく回すこと。胸が開いてスッキリした気持ちになるという。
「次に、自分が賢い人や憧れの人になったつもりで『賢い私なら、悩んでいる私にどんな解決策やアドバイスを示すだろう?』ということをポジティブに書いていきましょう」
右側に賢い自分が思う「解決策」や「アドバイス」をどんどん書いていく。書いた後に、問題の内容ではなく、書いたことによる気づきをシェアしたところ「偉い人になったつもりで指摘するだけで、次に進む方向性がわかってきた」「目を背けていたことに、やはり向き合わなくてはいけないんだとわかった」といった意見があった。
「お手軽なので、セルフコーチングとしてやってみてください。先ほどのモヤモヤを消す『クリアリング』の後にやるということが大事です。ニュートラルになってからやってくださいね」
夢ノートで今年の夢をかなえよう
他に紹介したのは「デイリーノート」と「振り返りノート」。書く内容は、それぞれ以下の通り。
デイリーノート
・今の気分
・今日のゴール(なっていたい状態)
・そのために何をする?(ToDoリスト)
それぞれ、箇条書きで書いていく。「1日がこう終了したらいいな」という、ポジティブな状態を書くようにする。絵を描いたり、シールを貼るのもおすすめだとか。
振り返りノート
・今の気分
・今日感謝したいこと
・今日のツイていること
・今日の達成したこと、やったこと
「今の気分」はひとことでOK。そのほかには、最低5個ずつ書くのがお勧め。夜はポジティブに終わってほしいことから、いいことをたくさん書くのがポイントだ。良い状態で眠りに付くと、目覚めがよくなる。
最後に紹介するのは「夢ノート」。その簡単バージョンとして、今年の夢をかなえるノートを作っていく。
「2019年<名前>の10大ニュース」と見出しに書き、<名前>の部分には自分の名前を書こう。
「私なら『今年出した本が100万部売れる』『ビジネス大賞を取った』などでしょうか。すべて過去形で書いてください。『○○のブランドバッグを購入した』でもいいんです。数字や場所は具体的に書いてください」
最後に、「すべてかなっちゃった。すごいニュースでした。ありがとうございました」と書き、署名をする。かなえるためには、ときどき見返すと効果的。さらに、これを応用して、月ごとに10大ニュースを作成してもいいのだとか。
ノートは単にメモを取ったり、考えをまとめるためだけではない。ひと工夫することで、気持ちをリセットしたり、なりたい自分を実現するためのツールともなり得る。ぜひ実際に書いてみて、持ち歩いたり、いつも見返したりしてみよう。
カメラマン:坂脇 卓也(さかわき たくや)