現在広告代理店の事務として就業している派遣スタッフの平林春奈さん(38)。「サンバがライフワーク。生きている喜びであり、仕事よりも大切です」と笑顔で言い切る。毎年開催されている浅草サンバカーニバルに、「G.R.E.S.仲見世バルバロス」のメンバーとして出場し、3年連続優勝。熱く語るサンバとは、そもそもどこで出会ったのだろうか。

始まりはカポエイラだった

2005年ごろ、日本中が格闘技ブームの熱に浮かされていた。「自分も何かやりたい」と思った平林さん。けれど、痛いのは嫌…と、女性でも始めやすい格闘技はないかと探したところ、女性誌でブラジルの格闘技・カポエイラが紹介されているのを発見。さっそく体験してみたら面白くて、すぐにハマった。

ハマったらとことん。本場で修行してみたいと思い、2008年、ブラジルへ飛ぶ。

「当時勤めていた職場では1カ月間の休暇を取ることが認められなかったので、思い切って辞めちゃいました」と笑う。

ブラジルでは滞在中、ほぼ毎日カポエイラ漬け。と同時に、街中で当たり前のようにサンバが踊られている光景を目の当たりにした。音楽が鳴ると、皆が踊る。日常の中にサンバがある――。それはまさしくカルチャーショックだった。

実は、それまでもサンバに触れていた平林さん。けれどそれは、あくまでカポエイラの延長として。もっと本格的にサンバを踊りたい!サンバを教えられるようになりたい!そう思った平林さんは、帰国後、老舗サンバチーム「仲見世バルバロス」の門を叩いたのだった。

5年以内にトップクラスへ

「仲見世バルバロス」は、毎年開催されている浅草サンバカーニバルでの最多優勝数を誇っている、日本随一のチームだ。ここに決めたのは、その年の浅草サンバカーニバルを見たときに、優勝こそ逃したものの、クオリティが高く、クリエイティブに賭ける想いの強さを感じたからだという。

入るのは簡単だけど、ダンサーのトップクラス(パシスタ)になれるのはほんのひと握り。チーム内のオーディションに合格しないといけない。

「わたしはいま、トップクラス予備軍くらい。サッカーのW杯に例えると、日本代表として現地入りするけどベンチにいるって感じかな」

自身のレベルによって、ショーでの立ち位置が変わる。パシスタになれば、目立つ位置で踊ることができるのだ。

「5年以内にパシスタに入れるよう、いまは頑張って技術を磨いています」

ただ、ただ楽しい。それが「サンバ」

サンバの練習は、ダンスチームと楽器チーム、総勢60~70名での全体練習が月2日、個人でのダンス練習が週1日。主に休日か平日の夜に行なわれる。

加えて、ショーの前にはリハーサルが入るなど、何かと忙しい。

「サンバを始めてみたら、1年通して結構忙しいことに驚きました。定時に仕事が終わる派遣スタッフという働き方は、こういうときにすごく助かりますね」

忙しい、けれど、まったく苦にはならない。それはただ単純に、楽しいから。

「もう底抜けに楽しいんです。サンバをしていると、日々の生活で辛いことがあったとしてもすべて忘れられるんですよ。現地の人もそうなんじゃないかな。ブラジルは国が貧しくて犯罪も多くて、きっと生きているだけで大変。その大変さをサンバをすることで生きる喜びに変えているんじゃないでしょうか」

いずれは日本トップダンサーとしてリオへ!

趣味で始めたサンバは、いつしか、かけがえのないものになっていた。

「サンバを踊っていると、自然とすごくいい笑顔になれるんです。本当に楽しくて、その気持ちが自然と自分の内側から溢れ出て、笑顔としてあらわれるって感じ。それって、ただ日常生活を過ごしているだけでは絶対に体験できないことだと思うんですよね」

サンバの話になった途端、笑顔になる平林さん。聞いているだけで、どれだけ楽しいのか伝わってくる。年齢関係なく、身体が動く限り一生続けられるサンバは、まさにライフワークだ。

「いずれは、日本の中でもトップダンサーになりたいんです。そして、本場リオデジャネイロのカーニバルにダンサーとして出場したい!」

トップダンサーとして楽しそうに踊る平林さんの数年後の姿が、浮かんでくるようだ。

どれもサンバに欠かせないもの

アイシャドウのパレットはサンバダンサー必携。「これだけあれば、どの衣装にも対応できます」。ちなみに、一番使う色は仲見世バルバロスのチームカラーである青だそう。

化粧ポーチにはショーで使うメイク道具とアクセサリーが入っている。サンバのときは目元を強調したメイクになるので、アイラインとつけまつげは欠かせない。

衣装は、同チームの現役ダンサーに「派手めに、青とオレンジで」お願いして作ってもらったもの。想像以上に素晴らしい仕上がりで、大のお気に入り。

ライター:小山 典子(こやま のりこ)
カメラマン:福永 仲秋(ふくなが なかあき)
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