今は大阪で暮らす中村香さん(41)。夫のテレワークで「どこに住んでもいい」状況になり、埼玉から大阪へと引っ越した。中村さんは2019年に突然の脳梗塞で入院と手術をし、それまで以上に「やりたいことをすぐにやる」を心がけるようになったそう。デザインのスキルを活かした仕事や、趣味の節約旅行、株式投資など、充実した日々とそこに至る考え方などを聞いた。

*今回はオンラインで取材を行いました
*掲載しているお写真は、ご本人より提供いただきました

突然脳梗塞になり、入院。少しの後遺症もあった

社会人になってからデザインの勉強を始め、Webデザインやマーケティングなどを中心としてさまざまな仕事に携わっていた中村さん。2015年ごろから服飾雑貨などを扱うネットショッピングを開設し、子育てをしながら、3年半ほどやりくりしていた。

「子どもの運動会の代休の日のことです。子どもとその友だち、ママ友とで、遊びに行く予定があったのですが、朝ろれつがまわらないことに気が付いたんです。夫に連絡すると早く病院に行ったほうがいい、と言われ、近くの内科に。そこで大きい病院を勧められ、会社から帰ってきた夫に送ってもらいました。検査したとたん『動かないで』と言われて、即入院です」

検査結果は、12mmほどの脳動脈瘤ができているというもの。5mm以上で手術を検討するというから、その大きさがうかがえる。一度退院してから、2019年の年末に、コイル塞栓術という手術を受けた。血液の溜まっている脳動脈瘤が破裂しないように、その中をコイルで埋める手術だ。

手術をしても脳梗塞の後遺症があり、味覚が鈍くなったり、身体の左側がしびれていたりした。字を書こうとすると、思った字が書けない。ろれつもうまくまわらない期間が長く続いた。

「開設していたネットショッピングはちょうどモール自体がサイトリニューアルのタイミングだったので辞めることに。自分の体が思うように動かないので『これじゃ仕事ができない』とショックでしたね。でも、ゆっくりと少しずつよくなっていきました」

今も前ほどは字が上手く書けないなど少しの不自由はあるが、「まだできる、と思ったときに動いたほうがいい」と中村さん。それまで以上に、やりたいと思ったことはすぐに挑戦するようになったという。

テレワークをきっかけに、大阪へ移住

コロナウイルスの影響で、夫の会社が完全リモートワークに。全国どこに住んでもよく、出社の必要があれば会社が交通費を負担してくれるという制度もできた。そのころ埼玉に住んでいたが「大阪に住んでみたかった」という夫の意向を聞き「それもいいね」と検討し始めた。

「私は埼玉で月に数日ほど仕事をしていたのですが、会社に相談すると完全テレワークにしてもいい、ということに。小学校に通う長男が賛成しませんでしたが、以前の大阪旅行が楽しかったこともあり、『期限付きなら』と了解してもらいました」

大阪の住まいは、子育てしやすい街を探した。家賃や駐車場の相場だけでなく、「校舎内に給食室がある」「洋式のトイレがある」「住む場所から近い」などの条件で学校を探し、埼玉で通っていた習い事もそのままできるような環境を選んだ。

「移住先の学校はパワフルな子どもが多く、最初は息子たちもなかなか馴染めませんでした。ところが、半年経った最近は、放課後に友だちと遊びに行くようにもなりました」

中村さん自身は、引き続き埼玉の会社のリモートワークをしつつ、「せっかくだから」と京都の仕事も月に数回始めることにした。派遣会社に紹介してもらった仕事で、ショッピングモールのPOPやチラシ作成などのデザインの仕事と、専門機器操作の手伝いなどを担当する。

埼玉での暮らしのように近くに友だちがいるわけではないが、もともとの友だちとSNSでつながっており、日々の些細な報告もしあっているので寂しくはないそう。大阪で驚いた話、趣味の旅行の話など、やり取りは尽きない。

「働きたい」のは、人の役に立つことが喜びだから

大きな病気を経験しても「働きたい!」と感じた中村さんにとって、働くことはどんな意味があるのだろうか。

「人に必要とされるのが好きです。以前上司から『中村さんが来てくれて本当に良かった』と言われたことがあり、とても嬉しかったんです。自分の成長も楽しみなので、いつも何かに挑戦し続けて、今後何か新しくやりたいことが見つかったときに戦える状態を準備しておきたい。デザインも、自分一人でやっている分には楽しいだけですが、誰かのためになると、喜んでもらえたり、報酬をいただけたりと、得るものがたくさんあります」

そんな中村さんの趣味は、節約旅行や株式投資。埼玉よりも大阪に近い場所なら、今のうちにたくさん行っておきたいのだという。

中村さんが旅費担当で、行きたい場所をリストアップし、お得な旅になるよう試行錯誤。奈良のお寺や鳥取の砂丘、岐阜や滋賀のお城など家族とともに毎月のように楽しんでいる。

また、老後はのんびり過ごしたいため、今のうちから老後の資金づくりにと、株式投資で資産を運用しているとのこと。「働けるうちにたくさん働いて、今のうちから老後の準備もしています。人はいつ働けなくなるか、わかりませんから」

大阪に来てから買った机に観葉植物を置いて

iPadにSonyのBluetoothイヤホンを接続して、勉強したり絵を描いたり、動画や漫画を見たりするのが楽しいひととき。「机の上だけでなく、リビングでくつろいだり、家事をするときにも動画を流しています。レトロな雰囲気の机も気に入っていて、観葉植物を置いて癒されています」

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)

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