派遣スタッフとしてさまざまな会社で経理事務を経験してきた大塚由佳さん(45)。経理を学んだことはなかったが、数字や書類をきちんと整える確かな仕事ぶりから、「絶対に経理に向いている」と抜擢され、実務で業務を身につけていった。目の障がいを抱えながら達成感をもって働いている大塚さんの日々を聞いた。

*オンラインで取材を行いました
*掲載しているお写真は、ご本人よりご提供いただきました

向いていると言われ見つかった経理という天職

「私、きっちりしているタイプなんです。これと言われたら、それ以上のことをやりたい。また、自分の中で細かくスケジュールを立てて進め、期日には絶対に間に合うようにします」と言う大塚さん。

家族や友人からは、そんなに何でもきっちりしすぎてつらくはないの、と聞かれることもある。けれど「ちゃきちゃきと進めていくことに、とても達成感があるんです」とほほ笑む。

仕事では「数字がぴったり合ったときや、数値目標を達成できたときに、ああ、経理は私の天職だなと思います」と今でこそ言う大塚さんだが、最初のうちは苦労もした。当時の勤務先から「向いていそうだから手伝ってくれないか」と言われ、経理事務を全くの初心者から始め、しかもそのときに所属していた会社が外資系だったからだ。

初めての業務内容と英語という環境は、大塚さんも「さすがにつらかったです」というほど大変だったが、中学生に戻った気持ちで辞書を引いたり翻訳サイトを活用して、英語の専門用語を使った決算業務を見事に乗り切った。

その経験をきっかけとして経理や簿記のことを勉強し、実務を通じて学んでいくうちに、「経理はとても自分らしい仕事だ」と次第に確信するようになっていった。キャリアの初期に、天職と思える仕事への適性を気づかせてくれた当時の勤務先には、今でも感謝しているという。

人に言われて気づいた自分の仕事上の長所

現在の就業先では、経理事務全般を担っている大塚さん。だんだんと、周囲にお願いごとをされたり、何かを尋ねられることが増えてきたという。

「今、就業先に新しい経費精算システムが入ったのですが、私が使い方を一番わかっていると言われていて、さまざまな社員から問い合わせがくるんですよ。そしてついには、社内の運用チームにも加わることになりました」

人に頼られることの多い大塚さんだが、今回、「私の私らしさって何だろう」と、周囲の人に聞いてみたときに、自分では気づいていない答えが多くあった。それは「人のお世話が好き」「いつも先回りして行動する」だった。

「実は自分ではそう思っていなかったので、言われたときに驚きました。私は、仕事をお願いされたときに、こうしてほしいんだろうなという最終の形を思い描き、それに向かって進めていくようにしているんです。それが自然に先回りにすることになっているのかもしれませんし、人に聞かれたことはとことん教えてしまうかもしれません」

その存在感は「お母さんみたいに頼りになる」と同僚から言われるほどで、大塚さんもそう言われることがうれしいと教えてくれた。

目の障がいを抱えながら就業先の理解で時間差勤務

現在、大塚さんは、他の社員より1時間早く出社して業務を開始している。それは、網膜色素変性症という病気を患っているからだ。この病気は周囲が暗くなると見えにくくなるため、定時よりも早く退社している。

「3年前の人間ドックで病気がわかったんです。もともとテニスやゴルフをやっていたこともあるくらいスポーツが好きなのですが、しばらく前からテレビで卓球やバレーボールを見ているときに、なんだか球が見えにくいなと思っていました」

老眼かな、と気にしていなかったが、日常生活に支障が出るまでに症状が進んだ。そして人間ドックで異常がわかり、大学病院で網膜色素変性症と診断されたという。

症状は、少しずつ視野が狭くなっていき、光がまぶしく、夕方以降や暗いところで見えにくくなるというもの。現在のところ、確固とした治療法がないとされている指定難病だ。今は年に1回の経過観察のときのみ病院に行っている。

「就業先には、早く出社してその分早く帰らせてもらったり、目が疲れるだろうから1時間に1回は散歩をしてきていいと言われています。理解してもらえて本当に助かっています」と大塚さん。

この病気では、将来失明する人もいるし、ずっとこのまま過ごしていける人もいるという。

「先のことがわからないので不安ではありますが、今できること、やりたいことを精いっぱいやるしかないと思っています」

現在、大塚さんは「サポート制度」を利用しながら就業しています。
「サポート制度」の詳細はこちらから

「ちゃんと見てくれている」大きな存在

大塚さんが最近感じているのは、「ちゃんと見てくれている人はいる」ということだ。理由は、今の就業先で本当に尊敬できる女性に出会えたことが大きい。少し年上のその社員のことを、大塚さんは「仕事面でも人格においても全部すごいな、と思える方に出会えたのは、これまでのキャリアの中で初めてです」と教えてくれた。

「仕事をとてもわかりやすく教えてくれますし、病気にもさりげなく配慮してくれる。そして何よりも、私を信頼して、仕事を任せてくださるんです」

「大塚さんはどんどん吸収して、どんどん成長しているね。やってほしいことをすぐにわかってくれるし、本当に頼もしい」と言われることが、やる気につながっているという。

きっちりと、そして周囲に頼られながら真摯に仕事に取り組む大塚さんだが、尊敬できるその方の前では、ほっと一息つけることもあるようだ。

晩酌と甥っ子との遊びでパワーチャージのルーティン

キャリアの早い段階から天職と思える業務に出会い、障がいを抱えながらも職場の理解に恵まれ、やりがいある仕事を続けている大塚さん。「これまで仕事に行きたくないと思ったことはないんです。家にいると、何をしていいかわからないくらい」と言う。

そんな大塚さんには、日々を元気に過ごすための欠かせないルーティンがある。それは晩酌と甥っ子の存在だ。

「家に帰ったらすぐにお風呂に入って、家族と一緒に夕食をしながら晩酌をするのが、何よりも楽しみなんですよ。焼酎が好きですね。おいしいスパークリングワインも大好きです」

また、週末は妹の家に泊まりに行って、家事を手伝ったり甥っ子と遊ぶことも欠かさない。「一緒に目一杯遊んで、ぐっすり寝れば、また月曜日からがんばろう!と思えるんです」

オンとオフをもっと充実させるためのアイテム

大塚さんの愛用品はオンとオフをしっかり支えるもの。ひとつはパソコン用画面拡大ルーペ。A4ほどもある大きなサイズで、支えるための専用台もついている。就業先と自宅に同じものが置いてある。画面の細かい文字を見るのが楽になるそうだ。

もうひとつは、自宅で心のお守り代わりに使っている、特殊な繊維を使用して作られたリラックス用ブランケット。頭からすっぽりかぶって使うものだそうだが、作業中に肩からかけてストール代わりにしたり、寝るときのシーツとしていつも愛用中。

ライター:池田 美樹(いけだ みき)

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