ブランクからの復職は誰しも勇気がいるもの。けれども、勇気を振り絞ったブランクからの一歩を踏み外してしまったら……。そのときの悔しい思いをモチベーションにして、派遣スタッフとして働く小林りょう子さんは、キャリアアップを継続。そして、ついに自分にとって納得のいく働き方にたどりついた。

*オンラインで取材を行いました
*掲載している写真は、ご本人からご提供いただいたものです

ブランクから正社員復帰のはずが……

出産をきっかけに外に出て働くことから離れていた小林さんだが、第一子の小学校入学を機にパートタイムで短時間の仕事を始めた。いくつかの業種を経験したのち、倉庫でのピッキング作業を数年間続けていたが、コロナ禍で状況が一変する。

「重労働ではありましたが、職場の人間関係も良好で、楽しく続けられていたんです。ところがコロナ禍で数ヶ月仕事ができなくなり、再開してからも自由にシフトに入れずで。いずれ体力的に続けるのが難しくなってしまうならこのタイミングにと、一念発起してフルタイムで働くことを決めました」

ご縁があったのは、出産前に就いていた業界と同じ、建設会社でのパート勤務の事務職。小林さんが建設業経理士2級の資格を持っていたこともあり、「いずれは正社員」として採用となった。

「コロナ禍で先行き不透明だったところ、本当にありがたいお声がけでした。でも、実際に働き出してみると、ブランクもあって思ったように仕事ができず、会社の役に立てないまま辞めることになってしまったんです。家庭以外で誰かの役に立ちたいという思いが打ち砕かれて、とても悔しかったですし、自分が全否定されたような気持ちで自尊心も傷つきました」

「事務職は自分に向いていない」とあきらめることも、「今はパート勤務が合っているかもしれない」と考え直すことも、選択肢にはあったはず。ところが小林さんはその悔しさをバネに、キャリアアップを目指すことを決心する。

「思い返してみたら、ブランク前からやりがいを感じられるような働き方をしてこなかったと思ったんです。自分が納得できるような働き方をして、いつか辞めてしまった会社の人たちに“私、今は頑張ってるんですよ”と胸を張って言えるようになりたかったんです」

小林さんが自分に欠けているスキルを身につける方法として選んだのが派遣で働くことだった。最初はコールセンターで一般事務の基本的なスキルを習得し、その後いくつかの仕事を経て、現在は建設機械メーカーで社内プロジェクトのサポートとしてフルタイム勤務している。

「スケジュール管理や会議の招集、会議室の手配などやることは多岐にわたっていて、社内システムやExcel、PowerPointなどパソコンでの作業も多いです。Excelに関してはスキルアップが必要だと思って、休日の空いた時間を使って講座に参加したり、オンライン研修『eラーニング:ELAN(エラン)』なども活用しました」

そのような努力も実り、時給も少しずつアップ。気がつくと、悔しい思いをした頃よりも時給が上がっていた。

「金額面だけでなく仕事内容としても、納得のいく働き方ができていると感じています。今なら胸を張って顔を合わせられます」

わが子にも見せたかった働く自分の背中

フルタイム勤務を始めた頃、ある程度手は離れていたといっても子育てもあり、日々の家事もあった。それでもスキルアップを続けてこられたのは、小林さんが負けん気の強い性格だからなのか。

「それはないですね。昔から人と競争するのは好きではなかったですし、むしろ“自分はやってもできない”とあきらめの気持ちのほうが強かったと思います。“悔しい”と思うようになったのは最近ですね。若い頃に到達できなかった場所にたどりつきたいとか、何かを成し遂げたいと考えるようになったんです」

小林さんの考え方が変わったのは、思春期に突入した子どもたちの存在も大きかった。

「思春期になると“ああしなさい”“こうしなさい”と言葉で伝えても響かない。子どもたちには社会人になったら意欲を持って働いてほしいという親の思いを伝えるには、親自身が意欲を持って働いている背中を見せるしかないですよね」

そして、まだ見ぬ場所に向かう小林さんの奮闘は、子どもだけでなく夫にも影響をもたらした。

「子どもが小さい頃の夫は、夜勤があったり、海外赴任をしたりで、私は今で言うワンオペでした。育児も家事も私に任せきりだったんですね。私が派遣スタッフとしてフルタイム勤務を始めてからは、私のほうが帰りも遅くなったので、“今度はあなたが家事をしてね”とお願いしました。何度も話し合いをして、今では夕飯担当は夫が変わってくれることも。最近はパンも作ってくれます」

登山とスキルの積み重ねに思わぬ共通点が!?

トレッキング、登山など山歩きが小林さんの最近の趣味。結婚前に職場の上司に連れて行ってもらって見た、福島県の景勝地・浄土平/一切経山の景色がずっと記憶に残っていたのだという。

「その後は全く山には登っていなかったのですが、コロナ禍のときに北アルプスなど山の風景動画を観て、こんなにきれいな風景が日本にあるんだと思ったらいてもたってもいられなくなって。最初はひとりで登っていましたが、最近になって山友達ができました。一緒に山に行くだけでなく、お互いの人生について話すような仲です。それぞれの紆余曲折を聞いていると、話が尽きないですね」

自分が設定したゴールに向かって地道に歩みを進めていく山歩きは、小林さんの仕事への取り組み方と通じるものがあるように感じる。

「それはあるかもしれません。登山だと頂上にたどりつくまでに樹林帯という樹木が密集した森のようなエリアを歩くことがあるのですが、それが苦痛だという人も多いんです。私はマイナスイオンを吸い込みながら歩くのが心地よいので、その時間も楽しくて。目標に向かってコツコツと地道にやっていくのが私に向いているやり方なのでしょうね」

コツコツと努力を積み重ねる時間を楽しめてしまう小林さんは、今も新たな目標に向かって、歩みを進めている。

「年齢とともに記憶力など衰えていくと思いますが、仕事でやりたいことは多いのに、自分のスキルが追いついていないのがふがいなくて。業務を自動化できるアプリを活用できたらなと思い、ITについては勉強しているところです。あとは今の職場が英語をよく使うので、TOEICも受けています。新しいことを覚えるのがアンチエイジングにつながっていく感覚も。派遣という働き方を選んでいる以上スキルアップは必要ですし、スキルアップしたぶん時給に反映されることがあるのも派遣の醍醐味ですよね。今後も次なる目標に向かってコツコツやっていきます!」

趣味の登山を支える精鋭たち

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趣味の登山グッズ。「登山靴はこれが2足目。北アルプスの岩場を登るときにも歩ける靴を、というポイントで店員の方に選んでもらいました。長時間登山をしてもひざや股関節の痛みが出なくなりました」登山グッズは軽量化の傾向があるそうで「リュックも大きさの割にすごく軽くて便利です。日帰りでも、山小屋に1泊するような行程でもこれひとつで出かけています」

ライター:古川 はる香(ふるかわ はるか)

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