やりがいが感じられ、居心地もいい職種・職場を求め続け、なかなか見つからず悩む人は少なくないはず。派遣スタッフとして働く、大島令子さん(42)もそのひとりだった。双子を育てる母親でもあり、子育てとの両立に奮闘しながら働き続けることで、「これだ!」と思う職務にようやく出会った。

*オンラインで取材を行いました
*掲載している写真は、ご本人からご提供いただいたものです

職場でのつらい経験もすべては自分の糧に

小学校6年生の双子の女の子を育てながら、派遣スタッフとして週5日朝9時半から18時まで働く大島さん。現在は人材派遣の企業で事務職として就業している。社会人になってからいろいろな職場、職種を経験してきた大島さんだが、今の環境はとても働きやすく、仕事の内容にもやりがいが。

「今の仕事内容は、仕事を探していて登録を希望される方に、登録に必要な内容をお聞きして事務手続きを行ったうえで、どんな仕事を希望しているか30分程度ヒアリングをするというものです。私が“働きやすい”と感じるのは、人間関係の良さもありますし、理不尽な注意を受けることがないのが大きいです。注意を受けたとしても理由がわかるし、自分でも“ここは直したほうがいい”と納得できるものなので。仕事内容も、人の役に立っているのが実感でき、価値や効果が見えやすいのもやりがいになっています」

大島さんが「いい職場、仕事」と感じる基準や価値観は、これまでのキャリアから培われたもの。ライフイベントや環境の変化だけでなく、職場や仕事内容との不一致もあり、数々の仕事を経験してきた。

「大学卒業後に就いた営業職が向いていなくて……。会社の方針とも合わず、人間関係での苦労もあって1年半ほどで退職したんです。そのあとに“営業のように、こちらから顧客を探しに行く仕事ではなく、向こうから来てくれる仕事をしよう”と考え、英語を使う仕事がしたかったのもあり、空港のインフォメーションセンターで働くようになりました」

次々に舞い込む不思議な落とし物や電話応対を楽しみながら続けていたが、結婚を機に退職。ほどなく双子を出産してからは育児に専念し、幼稚園入園のタイミングで再就職する。

「次のお仕事は、顧客からの電話を受けるカスタマーサポートでした。電話を受ける業務の中で、誰のためになるのかわからないような注意を受けることがあり、何のための仕事なのかわからなくなってしまったんです」


▲子どもたちが選んでくれた花束

次に始めたデータ入力の仕事では、漢字の旧字体と新字体など一文字一文字細かく確認するのが自分には合わないと判明。続いて選んだ人事補助のお仕事では職場の人間関係に悩み、同僚から厳しく叱責されて心が折れてしまう。そしてようやく出会ったのが現在の仕事。遠回りをしたようにも思えるが後悔はない。

「今に至るまでつらい経験もありましたが、自分で責任を持って選んできたので後悔はひとつもありません。理不尽なことを言われて嫌な思いをしたのも、“同じ思いを人にさせない”という学びになっていますし、すべて自分の糧になっています」

太陽のような笑顔で語る大島さんの様子に、その言葉通りすべてをプラスに変換するエネルギーがあるのを感じる。

仕事の存在が多忙な子育てのリフレッシュに

自分に本当に合う職場、職種探しを続ける一方で、双子を育てる母親でもある大島さん。仕事と育児の両立にはかなり苦労していたのでは?

「仕事が終わってから子どもたちに夕飯を食べさせてから寝かせるまでのドタバタ、2人が立て続けに熱を出すなど、大変なこともありましたけど、その都度なんとかやってきたような感じですかね。育児していた方は同じだと思うんですけど、一番大変だった頃は記憶になくて(笑)。職場での苦労はあっても、仕事に行くことがリフレッシュになるんです。朝、大騒ぎしながら子どもたちを幼稚園に送り届けて職場に着くと、子どもは関係のない自分の世界がある。そして夕方になったら仕事を終えてお迎えに向かう。その切り替えが私にとっては重要でした」

大島さんが早くから仕事復帰を望んでいたのは「双子なので何事も2倍お金がかかる」という理由も。おむつや衣類などの育児グッズも2倍、お世話の手も2倍必要な乳幼児期だったが、小学生になってからは双子であることの良さも強く感じている。

「小学生になると学校から持ち帰るおたよりや持ち物の管理などの負担が、未就学の頃より増えます。よく“おたよりを全く見せてくれない”という話も聞きますが、うちの場合は姉か妹、どちらかが出すと、もうひとりが“私も!”と出してきてくれるんですよ(笑)。気遣いができてやさしい姉と、マイペースでクールな妹と、かなり性格も違いますが、2人で助け合っているのがわかります。私が仕事で忙しいのもわかってくれているので、最近は“みそ汁のみそといてくれる人~!”と声をかけると、競い合ってやってくれています」

現在お子さんたちは小6に。働きながらの中学受験サポートにも挑戦している。塾の送迎やスケジュール管理、勉強をみるなど子どもひとりでもかなりの負荷がかかるところ、大島さんはもちろん双子2人をサポート!

「よく驚かれるのですが、姉妹で別々の塾に通っていて、塾に行く日がバラバラなんです。妹の塾のお迎えがある日は、仕事から戻って10分で姉の夕飯の支度をして飛び出しています。2人とも塾がない日は、夕飯を食べながら子どもたちに隣で復習させて、“お母さん、ここわかんない!”と言われたら助けに行くと夕飯が冷めているような生活です(笑)。大変ではありますけど、1年だけと思えばなんとか頑張れます」

多忙な日々を乗り越えられているのは、やはり仕事が充実しているから。

「ずっと“人の役に立つ仕事がしたい”と思ってきたのですが、どんな人の役に立ちたいのか自分の中でもはっきりしていなくて。今の仕事をしていて“社内の人の役に立ちたいんだ”というのが見えてきました。私がヒアリングを丁寧にすることで、引き継いでくれる社員の方の役に立てる。それがわかるのでやりがいも感じられます。よりよい仕事をするためにも、どんな言い回しや言葉かけをすると、いいヒアリングができるか、レベルアップしていけるように日々研究を続けています」

室内家庭菜園で、家族の会話が広がった

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「無理をしない家庭菜園」を実践中。水耕栽培で育てられるトマトの苗とミニひまわりの苗を購入し、リビングで育ててみたのがスタートに。「外で育てると水やりなども忘れてしまいそうですが、室内ならいつも目にするのでお世話しやすいので私にもできるかなと。想像以上に実がなって楽しかったので、今はいちごを育てています」。生活の中でいつも目にする場所にあることで「花のつぼみがついたね!」「実ができたね!」と植物について家族で話が広がることも。

ライター:古川 はる香(ふるかわ はるか)

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