「知りたいな」と思うことがあったとき、あなたならどう行動するだろうか。現在、派遣スタッフとして働く松井さん(46)は、広告業界内での転職から広告が世に発信される一連の流れを学ぶなど、興味を持った分野は「仕事にすること」で学びを深めてきた。仕事を通じて自分の世界を広げてきた松井さんの経歴とは?

*オンラインで取材を行いました
*掲載している写真は、ご本人からご提供いただいたものです

働く場所が変わると、「仕事」の見え方が変わる

「興味を持ったらすぐ行動」を自分の「らしさ」だと話す松井さん。そのキャリアのスタートは広告会社。幼い頃からテレビが好きで、特にテレビのコマーシャルが大好きだったことから、広告映像を制作する現場で働いてみたいと就職活動を行った。

「広告映像の制作会社とはなかなかご縁がなくて、まずは同じ広告業界ということで新聞の広告枠を扱う広告会社で営業として働き始めました。いつかは制作側にと思いながら、コピーライターやCMプランナーの講座を受講していたら、そこで知り合った方から、小さな制作会社の採用募集が出ることを教えてもらい、そこに転職して1年ほどCM制作の現場を経験しました」

松井さんが働いていたのは、生まれ育った大阪の制作会社だったが、「この仕事を続けるなら、早めに東京に出てみたらどう?」と周囲からアドバイスを受けて転職活動を開始。東京の制作会社で無事採用が決まり、本格的にCM制作に携わっていくことになる。

「大阪にいた頃は制作進行担当で、制作スケジュールや予算やスタッフの管理などが主な業務だったのですが、例えば美術担当の方に劇中の小道具の準備をお願いする予算がないときには自分でホームセンターに探しに行ったり、作ったりすることもありました。一方で東京では予算規模が大きい上に、スピード感が求められる仕事を1人が同時に2、3本担当することが当たり前で、大人数のスタッフをたばねて進めることがほとんどでした。撮影期間も一週間以上かけ、見たこともないようなダイナミックな撮影機材を使うなど、とにかく規模が大きくて驚きの連続でしたね」

制作→代理店→メーカー広告部と“広告業界”を一周

「当時は、やりたい仕事をするためならプライベートな時間はなくてもいいと思っていましたが、やっぱり休息が十分でないと健康な精神、健康な肉体が保てず…。テレビを見る時間もほとんどなかったので、自分が制作に携わったCMがどんなふうにお茶の間に届いているのかを確認する余裕もありませんでした」

ほかの会社がどんなCMを作っているのか、どんなCMがトレンドなのかもわからず、何を目指して、何のために仕事をしているかを見失ってしまったという松井さん。

その後、制作会社を退職し、しばらく休養したあとに選んだのは、同じ広告業界。ただ次に選んだのは、広告主と制作会社やメディアをつなぐ役割の広告代理店だった。

「広告の仕事に別の形でかかわりたいと思い、テレビ以外の媒体にも携われる広告代理店で営業として働くことに。これまでは制作側で、代理店からの依頼に対応する立場でした。代理店で働いてみると、広告主とのやりとりや各所との調整など、発注の背景にある事情を理解できるようになりました。さらに、制作会社が納品したCM素材が、どのように放送局に送られて電波に乗るのかという仕組みも、代理店での仕事を通じて知ることができました」


▲なかなか行けなかった国内旅行も、今では少しずつ、いろんな場所を楽しめるように。

テレビCMだけでなく、ラジオ・雑誌・屋外広告など他の広告媒体についても学んだ松井さん。取引先である広告主も外資系企業、国内企業と、クライアントごとにこだわりやカラーが違うことがわかり、一歩引いたところから業界を見て見聞が広がった。

「メーカーの広告宣伝の部署も経験しました。代理店で働いていたころは、広告主からの細かい注文に苦労することも多いと感じていたのですが、自分が広告担当になってみると、上層部や他部署からさまざまな指示や指摘があることを実感しました。こうした事情に対応するため、代理店に多くの依頼をせざるを得ない背景があることがわかりました。当然かもしれませんが、それぞれのポジションに、それぞれの大変さがあるのですよね」

趣味のスポーツ観戦から世界的な大会の運営スタッフにトライ

松井さんの“らしさ”である「興味を持ったらすぐ行動」が大いに発揮されたのは、広告代理店で働いていた頃。

「次第に社内に外国籍の同僚が増えて、外国語を話せると仕事の幅が広がるのを目の当たりにしました。また、その頃に世界的なスポーツ大会が日本で開催されるのが決まり、運営側として大会を支えてみたいと思ったんです。それもあって英語力を鍛えたいと考えるようになりました」

松井さんが取った行動は「英会話スクールに通う」「留学する」ではなく、働きながら英語を身につけるという方法!

「広告代理店から外資系企業の英文事務に転職しました。ビジネスで英語を使う場面が増えたので、TOEICの勉強もするように。自分ひとりで勉強するとモチベーションを保つことが難しかったのですが、英語ができない同僚たちも同じように一生懸命勉強する人たちがいたので刺激をもらえました。勉強して覚えたビジネスメールの例文を実際に仕事でも使う場面があるので身につきやすかったです。TOEICは目標のスコアに到達し、海外と英語のメールやチャットで問題なくやりとりができるようになりました」


▲松井さんが描いたイラスト。「人の表情を描くのが難しくて、代わりにネコのキャラクターで気持ちを表現しています」

その英語力を持って、世界的なスポーツ大会のスタッフに応募。大会終了まで運営やスポンサー対応に従事した。

「もともとスポーツ観戦が趣味だったので、何かの形でかかわりたかったんですよね。代理店で働きながらのボランティア参加も考えましたが、せっかくなら仕事として運営に入りたくて。規模の大きな仕事なので、予想外の出来事もたくさんありましたが、かけがえのない体験になりましたし、企業や官公庁や自治体から出向してきた人も含めて、これまでの仕事では出会わないようなキャリアを持つ仲間と一緒に働けたのは貴重な経験です」


▲今も変わらずスポーツ観戦が趣味。特に野球観戦は、好きなドリンクを片手にリラックスして楽しむひととき。

見たことがない景色を見たくて、学び続ける

松井さんにしか成し遂げられないようなキャリアを築き、現在は派遣スタッフとして広告代理店の営業サポートの仕事に。これまでの経験を存分に活かして働いている。

「以前代理店にいたときとは、広告業界も大きく変わってきています。雑誌広告も紙だけでなくWebでの発信が主流になっていて、ブログスタイルの広告も増えています。新しいものをどんどん受け入れて、変化を恐れない人にとって魅力的な業界だと改めて感じます。自覚はなかったですが、私自身もそういうタイプなのかなと」


▲両親の移住がきっかけで実家となった北海道も「行ったことのない場所が多く、あちこち巡っています」と開拓中。

新しい学び、新しい経験に躊躇なく飛び込む松井さんの原動力とは?

「上京して優秀な方にたくさん出会ったり、さまざまな価値観にふれて世界を広げることができたことですかね。まだまだ知識が足りないし、視野ももっと広げたいと常に思っているので、新しいことを経験して、学んでいきたいです。広告業界をひととおり学んだ今は、別の働き方もしてみたくて。今後のライフプランを考えて、場所を選ばずフレキシブルに仕事ができるフリーランスを目指そうと、休日を活用してWebライティングの講座を受けています。プライベートでは最近になって国内旅行が趣味に。まだ見たことがない日本の景色をたくさん見たいんですよね」

「思いついたことメモ」がリフレッシュに


「母からプレゼントとしてもらった、書き心地にこだわった手帳とボールペン。ボールペンは私の故郷にある公園のイルミネーションをモチーフにした柄なんです」。手帳には、日記やスケジュールではなく、ふと思いついたこと、カフェなどで耳に入ってきた言葉などをイラストとともに書き留めている。

「“日記を書こう”と身構えると書けなくなるので。思いついたことをメモするというスタイルが自分に合っています。これを書くことが頭の休憩にもなっていますし、ふとしたときに違う場面でメモした内容が新しい気づきにつながることもあります」

ライター:古川 はる香(ふるかわ はるか)

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