幼少期を振り返ると、母にいろんな場所に連れて行ってもらった記憶があります。私の母は、私が物心ついた時から食器に絵を描く仕事をしており、その関連の展示会や美術館に行くことが多かったですね。そのせいか、私も自然と食器やインテリアに興味を持つようになりました。
学生になると、ある大手のインテリア雑貨ショップに惚れ込みました。お店に行くたびに「ここに住みたい!」って言っていたほどの大ファン。だから、就職活動では真っ先にその会社にエントリーしました。
念願叶って就職すると、最初の2年間の研修期間中は、ほとんどの時間、店舗で販売を経験。研修終了後も私は店舗勤務を継続し、最終的には店長を任されました。
店舗業務はとにかく多忙。日々の接客業務に加えて、季節ごとに本社から降りてくる販売戦略を元に、お店の立地や特性を生かした商品構成、売り場デザインを考え、実行していきます。あわせて従業員の採用、育成や収益アップのための施策立案も行い、毎日があっという間に過ぎていきましたね。
大好きなお店で働けるのは、たしかに幸せなこと。とくに新商品が出ると、テンションがあがりました。でも、ここで働くことが楽しいかと言われると、正直それを感じる余裕もない………。自分の中でギャップを感じていることに気づき、好きなことを仕事にする難しさを改めて考えさせられました。
一番身近な存在である母は、まさに好きなことを仕事にした人。小さいころは「1日中お絵描きをして、楽しそうでいいね」なんて思っていました。でも、好きなことを生業にし、しかも長く続けていくのってほんとうに難しい。たくさんの厳しい状況を母は乗り越えてきたんだろうなと、社会人になってようやく分かりました。