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イベントレポート

障がい者と企業のベストな出会いをサポート!
リクルートスタッフィング・LITALICO合同企業面接会

株式会社リクルートスタッフィング

2017年10月25日 株式会社リクルートスタッフィング

2018年、障がい者雇用のルールが変わる。

これまで雇用が義務づけられていたのは身体障がい者と知的障がい者のみだったが、2018年4月の「改正障害者雇用促進法」施行にともない、精神障がい者の雇用も新たに義務化されることになった。それと時を同じくして、障がい者の法定雇用率(全従業員のうち決められた割合以上の障がい者を雇用するという義務)は、民間企業で現状の2.0%から2.2%へ引き上げ。さらに2021年4月までには、2.3%へ引き上げられることが決まっている。

障がい者雇用に対する企業の意識が高まるなか、リクルートスタッフィングは2017年9月、障がい者向け合同企業面接会を開催した。

障がい者の就業チャンスを増やす、新しい試み

主催したのは、障がい者の人材紹介・人材派遣を行う当社の『アビリティスタッフィング』。合同面接会はこれまでにも何度か実施しているが、今回は参加企業数が過去の2倍、20社にのぼった。業種もIT・金融・不動産・流通・サービス・学校法人など実にさまざま。

「今回は初の試みとして、全国60ヶ所以上で障がい者向け就労移行支援を行っている株式会社LITALICOとの共催で実施しました」

そう語るのは、アビリティスタッフィングの染野弓美子マネジャー。長年リクルートスタッフィングで人材派遣事業に携わり、3年前からアビリティスタッフィングで障がい者の就業促進に尽力している。

「今回参加いただいている求職者の方々は、当社の業務サポートセンターに勤務している従業員や、LITALICOワークス等の就労移行支援事業所に通っている方が中心です。みなさん就職に向けて意欲が高まっている方々なので、企業ご担当者も実際にお会いになって、手ごたえを感じておられたようです。
当社は『Workstyle Maker』として、一人ひとりが『らしく』働ける社会づくりを目指しています。今回のイベントも、すぐにでも働ける求職者と障がい者雇用に積極的な企業とが1対1でお話しできる場を提供することで、両者にとってベストな形での就業促進につなげたい——そんな思いから開催しました」

障がい者雇用のポイントは、『安心』『安定』

面接会は、約40名の求職者の熱気と緊張感に包まれてスタート。染野の挨拶のあと、企業20社の採用担当者がひとりずつ前に出て、簡単な自社紹介を行った。事業内容、募集職種、勤務地をはじめ、現在活躍している障がい者の人数や、働きやすいインフラが整っていることをアピールする企業も。

障がいがある求職者は、どんな判断軸で就職先を探しているのだろうか。

「『安心』『安定』をイメージできる企業を選ばれる方が多い傾向にあります。まずは、入社後に任される仕事が具体的であること。障がいの内容によりますが、たとえば対人恐怖の特性のある場合ですと、電話対応などの突発的な仕事が苦手なケースが多いです。障がい者雇用では『オープンポジション』の求人が多い関係で任せる仕事内容が漠然としていることが多いので、単に『事務』などではなく、データ入力、データチェック、書類のファイリングといったように業務を細分化して提示することが重要です。
また、入社後長く働けるイメージがもてるかどうかもポイント。仮に最初はアルバイト雇用だったとしても、数年後に正社員として働けるというキャリアパスが確立されていたり、過去に実績があったりすると、求職者の方に『安心』『安定』を感じてもらいやすくなります」(染野)

簡単な自社紹介のあとは、各企業のブースに求職者が訪問し、企業担当者2〜4名ほどと求職者数名でグループ面接を実施。7分ごとに求職者がブースを移動し、20社すべてと面接するという流れだ。

「まずは、ご自身の障がいについて教えていただけますか?」。最初にそう質問していたのは、クリエイティブ業界の企業。具体的にどんな症状で、どんな働き方がベストか、一人ひとりに丁寧にヒアリングする。障がいをオープンにし、よりよい働き方を一緒に考えていくことで、働く側にとっても企業側にとっても有益な雇用を実現したいという意識の表れだ。

人事担当者の参加がほとんどを占めるなか、社長自ら出席しているIT企業もあった。採用への情熱を示すように、社長も人事もみな赤いネクタイを締めている。求職者一人ひとりに前職や得意分野を尋ね、「みなさんの経験を活かす力になりたい」と力強く語るこの企業のブースは、時折笑いも起こるアットホームな雰囲気に包まれていた。

直接話すことで広がる、求職者と企業の選択肢

グループ面接を終えたら、いよいよ応募タイム。求職者は選考を受けたいと思った企業に『応募シート』を提出し、その場で個別面接を行う。いわば一次面接のような位置づけだ。

応募を終えた方数名に、率直な感想を聞いてみた。

「身近なサービスを提供している会社がたくさんあり、事業や仕事の内容に興味をもてました。私が希望しているのは一般事務。気になる会社があれば何社でも応募できると聞いたので、4社応募させていただきました」(女性/就労移行支援事業所LITALICOワークス所属)

「こういった催しには何度か参加していますが、今回は社数が多いのがよかったです。応募したのは1社。勤務地が自宅から通いやすいのと、人事の方が親身になってくださった点に惹かれました。私は中卒で大検を取ったり、他にもいろんな資格を取得したりしているのですが、それを評価していただいたことも嬉しかったです」(男性/アビリティスタッフィング登録)

「担当者の方の人柄から社風がうかがえて、働いてみたいと感じた会社がいくつかありました。特に印象的だったのは、担当者ご自身がご病気だったというエピソード。柔軟な働き方への理解があり、安心感がありました。通勤の訓練のために自宅から近すぎない立地の会社を希望しているので、その点もふまえて応募先を決めました」(女性/就労移行支援事業所LITALICOワークス所属)

求人票やWebサイトの情報だけで就職先を決めるのは難しい。同様に、書類だけで求職者の特性や人間性を見極めるのもまた困難だ。直接コミュニケーションをとることで互いに新たな発見ができ、選択肢が広がる。それは、よりよい障がい者雇用を実現するための着実で大きな一歩になるに違いない。

社会で生きる一人ひとりが「らしく」働ける社会を創りたい

全国60ヶ所以上で障がいのある方向け就労移行支援事業所を運営し、2016年度940名の就職実績をもつLITALICOのスタッフ小田原氏 は、今回のイベントについてこう語る。

「企業もいい人を採用したい。それは障がいのある方に限らずどの雇用でも同じです。いい人かどうか、つまり個人を知るためには、面接で直接話すのがいちばん効果的。
ただ、マッチングした方が入社後に体調を崩してしまうといったケースもあるので、企業側も不安なんです。その点、今回の求職者は、当社をはじめとした就労移行支援機関を通じて長く安心して働くことを目標にトレーニングをされている方がメインでしたので、企業側の安心も大きかったのではないでしょうか」

就労移行支援の目的は、就職が決まることがゴールではない。就労訓練を通じて自分の働き方と向き合うこともまた、大切な目的なのだという。

「就労移行に通うことは、自己分析のいい機会でもあります。自分にはどんな働き方が合っていて、どんな課題を抱えているのか。それをしっかり把握して、自信をもって企業に伝えられる方は、就労移行支援を受けているという事実以上に、企業へのPRになると思います」

今回のイベントは個別面接をもって終了だが、今後も各企業で引き続き選考が行われる。就職が決まる求職者も出てくるだろう 。改正障害者雇用促進法の施行、そして法定雇用率の引き上げを目前に控えた今こそ、企業も求職者も「働く」ということのあり方を改めて考えるべきタイミング。社会で生きる一人ひとりが「らしく」働ける世の中を創っていく必要があるのだ。

ニュースリリース・取材に関するお問い合わせ

TEL:03-6636-8997 (広報室:今澤)

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