今回の動画では、ITサービスマネジメントのフレームワークとして世界中で利用されているITIL(R)の基本、それを理解するためのITサービスマネジメントの考え方について、初心者にもわかりやすく解説していただきました。
改めて考える「サービス」とは
サービスとは一体どのようなものを指すのか。普段あらたまって考えたことはありませんが、ITIL(R)では、きちんと定義されています。単に値下げ販売をすればサービスになるのでしょうか? そうではないことを、最上さんは、ある八百屋のエピソードを通じて解説してくださいました。

では、ITIL(R)が定めるサービスの定義は、どのようなものなのでしょうか。

サービスは、顧客にとって価値があること。もう一つのポイントは、顧客が成果を得られる=価値があることなのだそうです。

八百屋の例では、もう一山トマトを付けるというサービスが、A子さんにとっては、食べきれそうもないものを重たい思いをしながら持って帰らせるという点で、コストやリスクを顧客に負わせているため、価値の高いサービスとは言えません。
改めて考える、「マネジメント」とは?
続いてマネジメントについてです。マネジメントというものも、普段は漠然と考えていましたが、ITIL(R)ではきちんと定義されているそうです。まずはマネジメントの位置づけを紹介してくださいました。

上図のそれぞれを見ていきます。まず、定義においては、次の3つを決めることが大切なのだそうです。
目的とは「何のためにするのか」すなわち行動の根拠。目標は「どこを目指すのか」ということ
目標を達成するために「何をするのか」、つまり実施すべきこと
サービスの品質向上のために「何を測るのか」ということ
これらの定義を測定することにより、現状を見える化し、計画通りに実施できているか、立てた目標に達成しているかといったことを判断していきます。
そして、定義から外れていた場合に軌道修正をするのがコントロールです。マネジメントは、目標を達成したら、さらなる目標を決め、進化しつづけること。そのためにはコントロールしなければなりません。
マネジメントには成熟度の指標あり、レベル0からレベル5まで6段階あります。

あらゆる業務で活用する2大マネジメント
世の中には数多くのマネジメント手法が存在しますが、その中でもあらゆる業種・業務の中で活躍する2大マネジメントがあります。それがプロジェクトマネジメントとサービスマネジメントです。
そもそも、プロジェクトとサービスの違いはどのようなものでしょうか?

それぞれの具体例を旅館の新しいサービスのエピソードを例に説明してくださいました。ある旅館で次のようなサービスを考案しています。

サービス戦略が決定した後は、具体的な作業に移ります。

例えば、このような作業はサービスではなくプロジェクトと言えます。

このように、プロジェクトとサービスは普段の業務の中に混在していることが珍しくないということでした。
ITサービスマネジメントの3つのP
続いて、ITサービスマネジメントを成功させるために必要とされる3つのPについて。それは次のようなものだそうです。
・Product(製品/ツール/技術)
・People(人材)
最近ではPartner(パートナー)を加え、4つのPが提言されているそうですが、本動画では基本となる3つのP を紹介してくださいました。
普段、プロセスという言葉を分かったつもりで使っていますが、具体的にはどういうものなのでしょうか。

図のように、プロセスとは仕事の流れをきちんと決めることと言え、プロセスの導入により、サービス提供に関わるあらゆるメンバーが同じように活動すること(プロセスの標準化)がとても重要になります。そして、アウトプットデータを蓄積、分析することでさらなる改善に役立てること、ここまでできて初めて「マネジメントができる」と言えるのだそうです。
ITIL(R)では、何をどのように管理するべきかと、そのためのプロセスの例が紹介されているとのことです。例えばその一つとして次のインシデント管理プロセスがあります。

このプロセスでは、インシデント発生から終了までの時間を計り、それを短くしていく、優先順位を付けて高いものから解決していく、そして初期診断で答えが見つからない場合、次にすることは自分で詳しく調べることではなく、エスカレーションするかどうかを判断することなどが求められるとのことです。
このとき、判断基準は自分で調べるのと、エスカレーションするのとで、どちらが早く解決するかということだそうです。なるほど!と思った方や過去に発生したインシデントを思い出した方も多いのではないでしょうか。
マネジメントを効率的に、抜けが無く、より効果的に実現するためにツールを活用することが重要だそうです。
プロセスの実施もツールの活用も、そして高付加価値のサービス提供もすべては人が命。つまりPeople(人材)が大切になってきます。役割と責任を決め、プロセスやツールについて、また、技術、コミュニケーション、マネジメント、顧客の事業などについての教育を行っていくのだそうです。
ITIL(R)の概要と価値
ここまでサービスやマネジメントといった概念について学んできましたが、最後はITIL(R)の概要についてです。ITIL(R)の1つ前のバージョンITIL(R) 2011ではマネジメントを次のように考えるのだそうです。

さらに最新バージョンのITIL 4では、プロセスという考え方を少し広げ、プラクティス(事例)を包含し、段階別ではなく、次のような3つのカテゴリに分けてまとめているそうです。

最後に、ITIL(R)の価値について、次のように締めくくってくださいました。

ITサービスマネジメントと言われても、具体的に何をするのか、あまり考えたことがない方もいらっしゃるかと思います。今回の動画をキッカケにして、基本的なことや、エンジニアをはじめ、どのような仕事でもITIL(R)の考え方の重要性について理解できたのはないでしょうか。
まだ動画を見られていない方は、ぜひ「ITIL(R)の基本。技術者であってもサービスを理解しよう」をご視聴ください。
▼動画「ITIL(R)の基本。技術者であってもサービスを理解しよう」
https://www.r-staffing.co.jp/engineer/entry/20201211_1
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