小さな頃から海外への憧れがあったという河辺恵さん(33)。ずっと英語に携わりながら意欲的に働いていたものの、時間が足りず諦めていたことがあった。それは、翻訳の勉強をすること。ところが、派遣スタッフとしての仕事をスタートしてから、翻訳者への道が開け始めた。

留学していた頃は、睡眠時間を削って勉強

留学は、中学生の頃からの憧れ。「留学がしやすい」という理由で、関東の実家から遠い大阪の大学を選んだほど。大学3年から、交換留学生として1年間、オレゴン州のポートランドへ。

「留学先では睡眠時間を削って勉強していました。24時間空いている図書館にこもりっきりだったこともあります。もともと音楽も好きで、音楽が盛んなポートランドでライブに行ったりもしていました」

好きなことはとことん勉強する河辺さんは、留学から戻ってもひたむきに学び、大学院へ進学。3年間通い、うち1年間は研究にあてたのだとか。

新卒で正社員として入社した会社では調達を担当し、海外の取引先とのやりとりも多かった。ところが、人事異動などで願望が叶わないもどかしさも。その後転職し、英語の講師を経て、企業で海外人材の採用や通訳など、英語力を生かして活躍していた。

派遣スタッフだから、勉強時間ができた

毎日忙しく働く日々だったが、家庭の事情があり、仕事に全力投球できない状況になってしまう。

「仕事を休まなければならない日も多く、当時の心境はまさに『八方ふさがり』でした。社員のままでは会社に迷惑がかかるとわかっているので、考えた結果、派遣スタッフを選ぶことにしたのです。正直、最初は派遣に対してあまりよいイメージがなかったのですが、働いてみると時間の融通が利き、正社員よりも仕事の範囲がはっきりしているのでよい面もたくさんあるとわかりました」

正社員として思い通りに働けない状況になって初めて、「どこにいても働ける仕事」が魅力的に思えたという。過去、「翻訳」に興味を持って勉強をしていたこともあったが、忙しさにかまけて翻訳者の道は諦めていた。派遣として働き始めたことをきっかけに、以前の気持ちを思いだして勉強をスタート。家庭の状況が一段落し、勉強時間も取れるようになった。

「自分のスキルとして『手に職』を付けたい、と強く思いました。翻訳だったら、ずっと携わってきた英語の知識を生かせると考えたんです。今は過去に受講していた通信講座の復習のほか、好きな音楽アーティストの動画サイトを見て翻訳しています。毎日欠かさず勉強するようにしていますが、楽しくないと続かないので」

正社員に戻るのではなく、今のまま勉強を続けたい

正社員に戻る道もあったが、そうなれば今のように時間の融通が利かなくなる可能性がある。しばらくは派遣スタッフとしての働き方を選び、勉強を続けていきたいという。

「正社員だった頃に勉強を続けられなかったのは、『翻訳で食べていくのは難しそう』と思ったからでした。でも、今は難しくてもチャレンジしたいと考えています。半年後くらいには、土日を使って翻訳学校に通いたい。今の状態ではおそらく入学試験をクリアできないので、それまでにスキルを上げていきたいと思っています」

現在の職場である株式会社共同通信社では、日本語のプレスリリースを英語に訳した原稿などのチェックも担当している。プロの翻訳者が作成した原稿、プロの校閲者が直した箇所などを目にしながら、毎日現場で学んでいる。

「学校でも勉強できない第一線の原稿に触れられてすごくラッキーだと思っています。こんな表現をするんだ、と勉強になります」

「勉強が好き」という河辺さんだが、好きな音楽の活動も続けている。2週間に1度通っているのは、エレクトーンのレッスン。先生に相談して、好きなブリティッシュロックを練習曲にしているのだとか。半年以上続けて耳がよくなったのか、英語が聞き取りやすくなったと言う。

「ゆくゆくは海外で暮らしたいんです。そのためには、翻訳者としてどこでも働けるようになりたい。どこでも働けるためには、心身ともにうまくバランスを取ることが大切だと思っています」

明確な目標にがむしゃらになるのではなく、しっかりとバランスを取り、続けられるように楽しみながら勉強する。大きく羽ばたくために、選んだ働き方。今は無理せず少しずつ、前に進んでいる。

電子辞書はいつもバッグの中に

仕事でも家庭での学習でも、辞書は欠かせない。毎日バッグに入れて、電子辞書を持ち運んでいるという。「本当は、スクロールしなくても全体が見渡せる紙の辞書がいい」と言うが、手軽に持ち運びできるのが電子辞書のよさだ。ノートに勉強した内容を書いておき、通勤中に電車の中で見直したりもする。

鉛筆は備品として職場に用意されていたことがきっかけで愛用している。「大人になってからあまり使っていませんでしたが、意外とかわいいし、書きやすい」のだそう。読んでいる英文の場所を定規で押さえながら、鉛筆でチェックしていく。

仕事中のリフレッシュには、ペパーミント、ローズマリー、レモンがブレンドされたエッセンシャルオイルを活用。こめかみに塗って気持ちをスッキリさせる。

お茶や紅茶を入れるボトルは、都内で購入。留学していたポートランドのフェアがあると知って訪れ、懐かしくて購入した。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)
カメラマン:坂脇 卓也(さかわき たくや)

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