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適応障害と私。履歴書の空白期間にしたこと、思ったこと

「人に嫌われるのが怖くて自分の意見を言えなかった」と、自身をふりかえる内海典子さん(28)。チャレンジしたい気持ちを持ちながら職場に馴染めず、強いストレスを抱え続けた。医師の診断は「適応障害」。
仕事が楽しいと言えるまでには時間がかかった。だが、人間関係を克服し、自分のリズムを取り戻す中で得た気づきも多いという。ここまでの道のりを包み隠さず、まっすぐな言葉で語ってくれた。

「今日は休みます」とメールを送信できなかった朝

「一人になりたい。家から出たくない。仕事をしたくない。なぜなら、がんばらなくてはいけないから。朝、目が覚めて仕事に行かなきゃいけないことが恐怖でした」
携帯を出して、仕事に行けませんとメールを書く。ところが、送信できない。
「上司に伝えたいけれど、休んだら何か言われるんじゃないか、がんばれなかったら嫌われるんじゃないか、という気持ちの間で、どんどん辛くなっていきました」

内海さんは大学卒業後、インターネット関連の会社でアシスタント職に就いた。学生時代から抱えていた摂食障害がようやく治ったばかり。入社時もまだ安定剤を服用していたため、体調は万全でなかった。
職場の同僚や上司はそんな内海さんの状況を理解し、時短やフレックスタイムを勧めてくれたという。ただ、内海さんにしてみると100%で働けない自分自身が許せず、大きなストレスになっていく。

「こんな姿を見せたくない、せっかく良くしてもらっているのに応えられない自分が嫌い。いい環境の働きやすい職場だったと思うのですが、うまく適応できませんでした」

冒頭のように出社できない日が続き、結果的に9ヶ月で退職。履歴書には、次の就職まで約1年9ヶ月のブランクがある。

小さな旅と、ノート。自分探しの先に思いがけない気づきが

「適応障害」とは、仕事や人間関係など特定の状況や出来事に大きなストレスを感じ、気分や体調、行動面に症状が現れるもの。憂うつな気分や不安感、不眠、めまいなど、原因も併発する症状も人によってさまざまだ。

会社を辞めた頃、内海さんが精神科の医師に薦められてしていたことがある。「日記」をつけることだ。

「まずイライラすることをノートに箇条書きにして、それからどうなりたいかを書きます。ネガティブからはじめてポジティブに持っていく、みたいな。うまく書こうとしなくてもありのままの気持ちを書いているうちに気持ちがすっきりして、だんだんと挑戦してみたいことについて、筆が進んでいくんです。
一つひとつは小さなことだけれど『私、こうだった』という積み重ねで、自分の好きなことや、本当はどうしたいのかという気持ちに気がつきました。コーヒー代ぐらいの小銭を持って散歩に出かけ、知らない街で発見をしていく『自分探しの旅』も、挑戦してみたり」

中でも一番の発見は、周囲と自分の価値観の違い。それは小学生の頃から感じ続けていた彼女の生きにくさと深く関係していた。

「私の完璧主義や人に嫌われたくないという根本は、周囲に認められたい気持ちや、周囲の期待にうまく添えずに自信を失っていたことにありました。でも、『周囲はあくまで他者』。日記を続けていくうちにそれがわかってきたんです」

ドラマのように劇的なきっかけではなく、こうした積み重ねで徐々に自分を取り戻していった内海さんは、再びスタートラインに立つ。

ミスも許せる自信。ありのままの自分を大切にする

仕事に復帰し、短時間勤務からフルタイムで働けるようになった。もちろん、別人のように変わるわけではない。人に意見を伝えることは相変わらず苦手。それでも、上司や同僚に刺激を受けながら、少しずつ改善されていった。服用し続けていた安定剤も飲まなくなり、精神科への通院も不要になった。

前職の契約が切れた後、仕事先を求めてリクルートスタッフィングに登録。今の就業先であるサイプレス セミコンダクタと出会う。
「うまくコミュニケーションが取れなかったらどうしよう…と不安で何度も相談する私に、営業担当の方がやわらかく、でも具体的な解決策を教えてくれました」

就業先の人間関係にも恵まれた。「社員の方がすごく場をなごませてくれて『自分が受け入れられている』という感覚を持てるようになったんです」

最初の職場で働いていた頃の自分との一番の違いは、周囲のサポートを自然に受けられるようになったこと。そして自分を苦しめていた完璧主義を、柔軟にコントロールできるようになったことだ。

「間違えてみる勇気、ミスして怒られることに慣れるのもあるなって。そういう感覚で仕事ができるようになりました。言葉遣いばかり気にしてなかなか送れなかったメールのテンポも上がるなど、少しずつ進歩しています」

やっぱり絵が好き。ずっと描いていきたい!

「仕事にもやりがいが生まれて、今は毎日が楽しい」と内海さん。同時に、子どもの頃から好きだった絵をもう一度描きたいと感じるようになった。あるときから、完璧に描けないからと遠ざけていたのだ。

「今、友人に頼まれて、散歩ツアーなどイベントのチラシのデザインを作っているんです。『絵は趣味でやればいいじゃない』とも言われましたが、お金を稼ぐことが目的でなくてもいいから、ライフワーク的にチャレンジしていきたい」
自分の没頭してしまう癖が、絵の場合プラスに働くという発見もあった。これからはデザインだけでなく絵も描いていきたいという。

仕事でもプライベートでも、一つひとつていねいにきちんと積み重ねていく。自分自身で心のバランスを取れるようになったことで輝き始めた内海さんの「らしさ」。今、その自分らしさを十分に楽しんでいるように見えた。

“最後まで頑張ろう”退職前のある行動が、習慣に

ウェットティッシュで毎朝デスクを拭いて、気持ちの切り替えをするという内海さん。これにはエピソードがある。
前職で、内海さんのいた部署が閉鎖することになり「みんなが次々転職していく中で、一緒に残っていた仲間とはじめたのが“掃除”でした」。誰もいないオフィスでデスクを磨き、整理整頓し、ピカピカに磨き上げた。
「私が退職をする日、すごく厳しくてメールを送るのも怖いほどだった上司が『よく頑張りました』というメールをくれたんです」。内海さんの仕事ぶりをちゃんと見ていたのだ。それが大きな自信になり、掃除が習慣になったという。

「フレーバードティーが好き」といつも何種類か持ち歩く。スモーキーグリーンのパッケージは、2月に行ったポーランド旅行で買ったハイビスカスティー。もうひとつはルピシアのルイボスティー「ピッコロ」。朝や15時ごろ、はちみつなどを入れ甘くしてリラックスする。

ハンドクリームも欠かせない。「指が乾燥するので、朝会社に来たらクリームを塗って、指のお手入れですね」。携帯にも便利な小さなものを持ち歩く。

ライター:有賀 薫(ありが かおる)
カメラマン:上澤 友香(うえさわ ゆか)
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