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ロッジを営んでいた両親のように、イキイキと過ごしたいから

大学生と高校生の息子がいる関口由紀子さん(49)。パートなどの仕事と子育てを並行しながら、ずっと新潟の実家にあるロッジを手伝っていたのだそう。ロッジを閉めることになったため、派遣スタッフとして登録。顧客に対してプレゼンテーションをする仕事には不安もあったが、徐々に楽しさを覚えるようになった。今は、感謝や励ましの言葉がやりがいだという。

両親が営んでいたロッジでさまざまな手伝いを

新潟の妙高高原にあった小さなロッジ。それは、関口さんの両親が、自分たちのやりたいことを求めて建てたものだった。

関口さんには姉がいたが、姉は早々に継がない意志を示しており、経営の行く先は関口さんにゆだねられていたという。

「家をもらえることにはなったし、夫も反対をしないタイプの人だったのですが、私に決心がつかなかったんです。自分がそこを経営していくというイメージが持てなかった。だから、ずっと申し訳なさがあったのだと思います。東京へ出て就職した後も、結婚して子どもができてからも、週末のたびに戻り、夏休みなども長期で手伝いをしに行っていました」

仕事の内容は、顧客の送り迎えから、調理補助、布団たたみなど、ありとあらゆる雑務。顧客のために、先に何をすれば喜んでもらえるか、常にそう考えて動くようにしていたという。

子どもが生まれてからは、子連れで1か月ほど帰省することもあった。自分のキャリアについてしっかりと考える余裕はなかったのだろう。

「子どもが小さい頃は、『これからは子育てに専念しよう』と思っていましたが、子どもも大きくなると手がかからなくなりました。また、両親が70歳過ぎまで現役で働いているのを見て、これからの時代は男女関係なく、イキイキと働くことが幸せなのではないかと考えるようになりました」

数年前に、ロッジを閉めることになった。関口さんは「キャリアはないけれど、私にも何かできるんじゃないか」という思いが生まれ、派遣スタッフとして働くことにした。

慣れないけど、楽しさが増えてきた

それまでも、近所でパート勤務などはしていたものの、派遣スタッフとして働くことは不安も大きかったという。

「パソコンもあまりできませんし、これまでの経験もない。でも、大口のお客様に料理の試食をしてもらうという営業やプレゼンテーションの仕事を担当することになったんです」

調理師免許を持っているため、食べ物に関する仕事なのもうれしかった。働く日数や時間も、シフト制で希望通り。最初はなかなかうまく話せなかったものの、原稿を作成して、失敗するたびに書き直していく。

「大勢の人の前でマイクを持って説明することもあります。最初は緊張していましたが、少しずつお客様の反応がわかってきて。『説明がわかりやすい』と言われたり、営業のアドバイスをもらうこともありました。何より、試食をしてもらって『おいしい』と言われるのがとても嬉しいんです」

人と関わる仕事がとても嬉しいし、自分らしいと感じている。人前で話すことに対して「徐々に慣れますか?」という質問には、首をかしげる。

「慣れてはだめだと思っているんです。慣れ過ぎたら、それ以上改善しません。毎回本番だし、毎回が練習だと思っていると、必ず改善点が見つかります」

ヨガとオンラインサロンが活力に

プライベートでは、ヨガを楽しんでいるという。

「就業が終わってからヨガのレッスンに行っています。自分を見つめなおすのに、とてもいい時間。心と体の状態がよくわかるようになりました。ヨガで汗をかいた後にシャワーを浴びて、何事もなかったかのように帰宅して家事をする。そういうメリハリが、とてもバランスが取れていると感じています」

それ以外には、近ごろ、オンラインサロン活動が楽しい。

「ビジネス系のオンラインサロンに3つほど入っています。SNSでやりとりをしたり、リアルなトークイベントなどにも参加。イベントがある日は、ご飯の用意をすべて終えてから、夜に六本木まで出かけます。とても学びがあるし、エネルギーをもらっています」

思えば幼い頃は活発な性格だったという。ところが、高卒であることのコンプレックスなどもあり、行動を控えめにしていたところがあった。家族の中で生きていく方が幸せだと思っていたものの、働きに出て、さまざまな価値観と出会って、見る世界が変わってきた。

息子たちは「お母さん、最近楽しそうだね」と好意的に見ているそう。仕事やその他の活動を話す関口さんは、とても明るいオーラを醸し出している。

今後も、いろいろな仕事にチャレンジしながら、語学やパソコン操作なども学んでいきたいという。

「お客様に失礼のないよう」心掛ける

関口さんの愛用品は、顧客を思ってのものばかり。話す仕事なので、エチケットとしての歯ブラシやミントタブレットはいつも携帯している。また、ハンドクリームも、人前で説明するときに手を差し出すからと、できるだけきれいに保とうとする気持ちから。ハンドクリームは、パッケージの可愛さから選んだ。

話す前に緊張した時には、ハッカ油を水で薄めたハッカ水をハンカチなどに吹きかけて深呼吸する際に吸い込む。食べ物を扱うので、自分に香りが残らないように工夫した。

手帳は3冊持っているが、プライベート用と仕事用のスケジュール帳を1冊ずつ。さらに、思ったことや気づいたことを書く自由なノート。プライベートと仕事用を分けるのは、仕事ばかりの生活にならないようにするため。それくらい、仕事が好きなのだそう。また、3冊目のノートを用意したのは、なんと「書くことが苦手だから」。書くことによって、自分の考えを見直すことができるようになりたいと思っている。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)
カメラマン:福永 仲秋(ふくなが なかあき)