「何度も同じことを言っているのに、ちっともやってくれない」「わかった、と言ったのにまだ動いてくれない」――仕事相手に対して、そんなことを思った経験があるのでは? 相手が悪いように思いがちだが、もしかしたら自分の「伝え方」に改善の余地があるのかも。今回のらしさオフラインでは、『1分で話せ』 の著者である伊藤羊一さんが、コンパクトに伝わる秘訣を紹介した。

講師:伊藤 羊一さん
ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト Yahoo!アカデミア学長。株式会社ウェイウェイ代表取締役。 かつてソフトバンクアカデミア(孫正義氏の後継者を見出し、育てる学校)に所属。孫正義氏へプレゼンし続け、国内CEOコースで年間1位の成績を修めた経験を持つ。 2015年4月にヤフー株式会社に転じ、次世代リーダー育成を行う。グロービス経営大学院客員教授としてリーダーシップ科目の教壇に立つほか、多くの大手企業やスタートアップ育成プログラムでメンター、アドバイザーを務める

伝わるまでにはプロセスがある

「そもそも、私たちは何のために伝えるのでしょう」と、伊藤さんは参加者に問いかける。伊藤さんは、「どうやったらうまく話せますか?」「正しいやり方を教えてください」と質問されることが多いそうだが、そもそも、上手に話すことが目的ではないという。

朝礼やミーティングなどで誰かに話をするとき、それは「聞き手に聞いてもらうこと」が目的となる。さらに言えば、自分が「ゴール」だと思っているところまで動いてもらいたいのだ。例えば、ゴールとして「わかってほしいこと」があるとして、相手がすでにわかっている、つまりゴールに到達しているのなら伝える必要はないことになる。

また、「コミュニケーションは聞き手が決める」という事実を忘れてはいけない、と伊藤さん。『経営者になる経営者を育てる』(菅野寛著) より、次の5か条を引用した。

・こっちが言った ≠ 聞いてもらえた
・聞いてもらえた ≠ 聴いてもらえた
・聴いてもらえた ≠ 理解してもらえた
・理解してもらえた ≠ 賛成してもらえた
・賛成してもらえた ≠ 腑に落ちて行動しようと思ってもらえた

「みなさんは最後を目指さなくてはならないので、1行目の『こっちが言った』でとどまっていてはダメなのです。聞き手の興味関心に合わせたり、ポイントを絞ったりと、相手が腑に落ちて行動しようと思ってもらうまで、どう動かすかを考えていかなくてはなりません」

AIDMAを意識すると、聞き手を動かせる

マーケティングなどで使われる「AIDMA(アイドマ)」という考え方がある。「Attention」「Interest」「Desire」「Memory」「Action」の5つの英単語の頭文字でなり、商品を見てから購入に至るまでのプロセスを表したものだ。伝えるときにも、AIDMAを意識することで、聞き手を動かしやすくなる。

「Attentionは、聞き手に注目してもらうこと。一瞬だけなら大声を出すなど驚かせればいいのですが、話している間中、興味を持ち続けてもらうには、内容がわからない迷子の状態にしてはいけません。そのためには『スッキリ、カンタンに』がポイント。字数は少なく、文章は短く、中学生でもわかるような簡単さにしましょう」

スッキリ話すには「政治家の小泉進次郎 さんの話し方を真似すればいい」と伊藤さん。小泉さんは、話し方がわかりにくいと言われたことがあり、懸命に練習をしたのだそう。また、「中学生でもわかるような簡単さ」は、テレビのニュースでも心掛けているのだとか。ビジネス的な内容だからといって、難しい言葉や言い回しを使わないようにするのだ。

「Interestは、面白いことを話すのとは違います。簡単に言うと、仕事では『結論』を伝えなくてはなりません。また、意味がつながっているように『ロジカル』に話す。そのためには『~だから、~である』と話して意味が通じればいい」

「~だから」の部分は根拠を表しており、1つの結論に対して3つほどあるといいそう。1つでは覆されるかもしれず、4つ以上だとすんなり覚えられない。結論があり、3つ程度の根拠があるのがベストなのだ。

また、相手に伝える場合には、根拠それぞれに2つくらいの具体的事例があるといい。

「例えば、『とある牛丼屋が最高』と伝えたいとき、『早い』『うまい』『安い』が根拠だとすると、『早い』の具体例は『注文してから平均30秒で料理が出てくる』といったことになります」

ここで、事前に配ってあった3段で考えるシートに、参加者にそれぞれ書いてもらうワークを実施した。お題は「あなたの欲しいものは何ですか」。欲しいものを書いてから、その根拠と具体例を書いていく。さらにそれをテーブルごとにシェアしてもらった。

イメージを想像させるためには「例えば」が有効

これまでに説明した「ロジカルに考える」という点は、いわば論理的な部分。もう少し、感情の部分で伝えていくには、次のステップとして別のアプローチが必要だ。

「Desireは、『いいね!』と思ってもらうこと。写真や絵などを活用して、『感じ』や『イメージ』をつかんでもらうといいでしょう。そのためには『例えば』を使います。正しく、かつワクワクするイメージを持たせたいところです。

その次は、記憶に残してもらう『Memory』。『覚えてください!』といくら言っても仕方がない。ポイントをキーワードで表現するのが効果的です。覚えやすい単語で、主張したいポイントを一言で表現しましょう

最後はAction。『情熱』を表現して、心の底から伝えます。また、とことん準備したという『自信』が大切。根拠をしっかり準備し、意味をつなげて、さまざまな質問をシミュレーションする。それを繰り返すことが大切です」

伝えるためにも、マーケティングで使われるAIDMAを活用できるとわかった。プレゼンテーションだけでなく、ミーティングなどでも、しっかりと準備して相手が行動してくれるよう伝えていこう。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)
カメラマン:坂脇 卓也(さかわき たくや)
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