日々働いていると、人間関係や業務内容などでストレスを感じることは誰にでもあるはず。「ストレス発散法」を持っている人は多いかもしれないが、ストレスに対処する「技術」を身に着けている人はどれくらいいるだろうか? 産業医で心療内科医でもある山田洋太さんは、「ストレスは技術と習慣でほぼ完結する」と言う。ストレス・マネジメントの中でも、知っておくべき「技術」について、らしさオフラインで解説した。

講師:山田 洋太さん
株式会社iCARE 代表取締役CEO(産業医・労働衛生コンサルタント・総合内科専門医・心療内科医)
金沢大学医学部卒。沖縄県立中部病院、久米島の離島医療を経て2012年3月慶應義塾大学大学院経営管理研究科(MBA)修了。心療内科ではすでに2万名以上のメンタル患者と関わり、現在は産業医としても活動しながら株式会社iCAREの代表取締役CEOも務める。ビジネスと医療を繋ぐメンタルヘルスのスペシャリスト。

ストレスと、その時の感情を紙に書きだす

「ストレスに対処する技術は、知っているようで知らないことが多い」という山田さん。今回は、技術として次の内容を伝えていく。

・リフレーミング
・筋弛緩法
・呼吸法
・認知行動療法
情報を伝えるだけでなく、参加者に自分ごととしてとらえてほしいと、自分がストレスに感じていることを紙に書きだしてもらった。

「まず、あなたにとって、ストレスがどんなイメージなのか、『良い』『悪い』『普通』のどれかに丸をつけてみてください。その下に、『私のストレス』と題して3つほど内容を書きます。その横に、それが全体の何パーセントを占めているのか数字で書いてください。さらに、それぞれに対しての感情を隣に書いていきます」

ストレスに対する悪いイメージは本当?

先ほど紙に書いた「あなたにとって『ストレス』は……」で丸を付けた個所を参加者に聞いてみると、多くの人が「悪い」を選んでいた。それほど、ストレスには次のような悪いイメージがある。

・死亡リスクを高める
・うつ状態になるリスクを高める
・無力感をもたらす
・心と身体を弱らせる
・人を自己中心的にする

「これらは、限定的な状況下においては正しいのですが、前提が合っていないと間違った情報になります。ストレスに対する正しい知識があれば、『ストレスはよいものかもしれない』と思えたり、『技術があれば対処できる』とわかります」

2010年に発表された論文によると、ストレスは適度にある方が望ましいのだそう。スライドに表示されたのは、ストレスの高さによる「健康障害度」と「人生満足度」を表したグラフで、ストレスが低すぎても高すぎても人生の満足度が低く、中間程度のストレスのときに人生満足度が高くなることがわかる。ある程度はストレスのかかるチャレンジや未知のことに取り組むほうが、満足度が高まるのだろう。

具体的な技術「リフレーミング」や「筋弛緩法」を伝授

山田さんは、日記をつけることで、がんの苦痛や介護によるうつ症状が改善した事例を紹介したあと、「ストレスに意味づけをする」レッスンとして、社長部下ゲームをワークとして参加者にやってもらった。2人1組になり、片方を相談する役、もう片方を相談される役として、仕事や人間関係のことを相談するというもの。

いったん試したあとに、次は「あるルール」を設けて同じことをする。

「あるルールとは、相談を受けた側が、第一声で『それはよかったね』と言うだけ。その後に『なぜなら……』などと続けてください」

相談された側は「それはよかったね」と言ってしまうことで、その理由を考えなくてはならない。終わった後に聞いた感想は次のようなものだった。

 

「1回目は『受け止めなくちゃ』と思いましたが、2回目はポジティブなことを言わなきゃ、って……。仕事が増えて困るという相談だったので、『乗り越えたらスキルが上がるね』『みんなから頼りにされてつながりができるんじゃないか』と話しました」

捉え方や枠組みを変える「リフレーミング」により、ストレスに対してもポジティブな意見が引き出されたことになる。

「普段の会話ではくれぐれも、相談された後に突然『それはよかったね』とは言わないでくださいね(笑)。ポイントは、最初の一言で枠組みが変わる、ということです」

また、知識として知っておきたいのは、「職場の環境変化」「仕事量や業務内容の変化」「プライベートの環境変化など仕事外の要因」の3つが揃うと、どんな人でもかなり高ストレスな状態になるということ。これらが重ならないように予定を立てていくのも、ストレスに対処する技術のひとつだ。

さらに、ストレスが発生したら、お腹を使ってゆっくり呼吸する「腹式呼吸」や、筋肉を数秒緊張させてからパッと力を抜く「筋弛緩法(リラクゼーション法)」で、緩和させる方法を紹介。参加者みんなで実際に体験することで、いざというときに使えるようにとアドバイスした。

最後に、書き込みをしたワークシートを取り出し、書き込んだストレスと感情に対して「自分にとって良いことだとしたら」という解釈をして、意味づけを促した。

「大事なのは、そう思わなくていいということです。解釈のトレーニングをするだけでいい」

例えば、夫に対する怒りや嫌悪なら「夫との将来の過ごし方について気づかせてくれたのかもしれない」と、ストレスに意味づけをする。さらに、それをもとに今日からできる行動を書き込む。例えば「週に一度、1時間の話し合いの時間を取る」といったことだ。

「これが認知行動療法で、多くのクリニックで使われており、うつ病の薬とほぼ同じ効果があると言われています。今日は1時間をかけて体験してもらったということになります」

ストレスに対して悪いイメージを持つだけでなく、ある程度のストレスはよいととらえること、また、ストレスに対処する技術を知り、習得することが大切なのだ。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)
カメラマン:坂脇 卓也(さかわき たくや)
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