そこにいるだけでぱっと空気を華やかにする。インタビュー中も、おおらかに笑い転げたかと思えば、神妙な面持ちで考え込んだり。森戸亜弥子さん(40) は、とても表情豊かな女性だ。今回、そんな森戸さんにたっぷり聞いたのは、週4日のペースで教室に通っているという「フラダンス」のこと。フラのどこに森戸さんは惹かれたのか。フラは森戸さんの人生にとって、どんな存在なのか――。

「バリキャリ」を目指していた20代

新宿の高層ビルにオフィスを構えるWEB関連企業、株式会社ミツエーリンクスで派遣スタッフとして働く森戸さん。週3日、人事アシスタント業務と採用に関するオペレーション業務 を担当している。

20代は、バリバリのキャリア志向だった。なかでも、伸び盛りのベンチャー企業の人事部に在籍していた時期は、深夜まで残業しタクシーで帰宅することも。仕事漬けの日々だったが、見るもの聞くものすべてが刺激的で少しも苦ではなかったという。

漠然と「仕事に生きる」と思っていた森戸さんの気持ちが変化したのは、結婚が決まった28歳のとき。夫になる人は森戸さん以上のハードワーカーで、二人してこれまでのような働き方をしていたのでは家庭は成り立たないと考えたという。

「ちょっと古いかもしれませんが、いざ結婚となったとき、家庭を守る生き方もあるんじゃないかと思えたんです。無我夢中で働いて、自分なりにやりきったという達成感があったので、悔いもありませんでした」

結婚を機に、正社員から派遣スタッフへ。フラと出会ったのは、週5日だった契約を週3日に減らし、時間に余裕ができたときだ。

最初は、スポーツにトライする感覚で

料理教室、ポーセラーツ、水墨画、書道……手当たり次第お稽古事を始めた森戸さん。その中のひとつがフラだった。

「子どもの頃からスポーツは好きだったのですが、じつは音痴でリズム感もないので、ダンス系はちょっと…。でも、『振付で歌詞を表現する』というフラのキャッチコピーを見て、面白そうだなって思ったんです」

ふたを開けてみたら、一見優雅に見えるフラは、全身の筋肉を使うハードな踊りだった。

「スカートで見えないのですが、ずっと中腰なんです。最初は筋肉痛がひどいし汗だくだくだし、ダンスというよりスポーツにトライするって感覚でしたね。でも、それが逆に私の性分には合っていました」

他のお稽古事は長続きしなかったが、見ているだけで癒されるような先生の踊りにも魅了され、すっかりフラにはまった森戸さん。

ただその頃はまだ、ふつうのお稽古事の域を超えていなかった。

踊りを超えて、「文化」を学ぶ

森戸さんが、どっぷりと「フラ漬け」の日々を送るようになったのは、いま通っているハラウ(フラの教室)との出合いがきっかけだ。

「これも偶然のめぐり合わせなんです。最初についた先生が辞められたので、しばらくフラから遠ざかっていたときに、たまたま夫の叔母の同級生がフラの先生だとわかって……」

これまでの延長のつもりで気軽に訪ねていった森戸さん。ところが、そこは歴史が古く、単に踊りだけではなく、ポリネシアの伝統文化をトータルで教えることに重きを置いているハラウだった。

「踊りが生まれた背景とか、これはどういう場面で踊られてきたダンスなのかとか、歴史や文化、ハワイ語についても熱心に教えてくださるんです。スポーツのようなものだと思っていたフラに対する概念が、見事に覆されましたね」と森戸さん。

知れば知るほど奥が深く、知識欲が刺激された。スピリチュアルな部分にも興味をひかれた。ダンスを超え、ひとつの文化をリスペクトして学ぶという点が、森戸さんの琴線にぴたっと触れたのだという。

「人生で、いまが一番充実しています」

いまのハラウに通い始めて3年目。流派が違うため、改めて基礎から学び直し、さらにいくつものクラスを掛け持ちで受講している。

仕事からハラウに直行するのが日課。休日も家で自主練を欠かさない。「この歳で、こんなに打ち込めるものに出会えるとは思っていませんでした。まるで学生時代の部活のようなノリです」と笑う森戸さん。

「何を目指しているの?って思いますよね(笑)。リアルに考えて、今からプロのダンサーになるのはむずかしいでしょう。でも、ハワイで開催されるコンペへの出場を目指す“専科”クラスまでは、何とか上り詰めたいですね。いつか、競技者として舞台に立ちたいんです」とほおを紅潮させる。

昔は、何事も完璧を目指さないと気が済まない性分で、0か100かの選択しかなかった。「年齢や経験を重ねる中で、うまくバランスをとるコツが身についたのかもしれません。仕事をする自分、家事をする自分、森戸亜弥子という個人としての自分の3つがうまく共存できていて、たぶん人生で、いまが一番充実していると思います」

瞳を輝かせながらうれしそうに語る森戸さん。ひたむきに夢に向かうその姿を、一番近くで見ている人はどう感じているのだろう。

「夫ですか? はい、全面的に応援してくれています。夫には、いくら感謝しても感謝し足りないですね。ホント、ありがたいです」

締めの照れ笑いまで、チャーミングな森戸さんだった。

パフュームオイルを夫にフワリ。「そろそろハワイ……」

一番の愛用品は、教室オリジナルのパウスカート。発表会ではフルオーダーでドレスを作るが、練習着は、このパウスカートとTシャツの組み合わせが定番だ。
「コカ・コーラ」のロゴ入りTシャツは、森戸さんのコカ・コーラ好きを知っている友人からの誕生日プレゼント。

ミントタブレットとピカケ(ジャスミン)の香りのパフュームオイルは、去年、夫とのハワイ旅行で買ったもの。意外にも「初」ハワイだったとか。
「ハワイは天国すぎて、見るもの見るものに興奮して寝る間も惜しいほど。いまはこの香りでハワイを感じています。たまに主人にもかがせて、『そろそろハワイ……』なんて暗示をかけています(笑)」 

フラミンゴピンクカラーの「ハイドロフラスク」は、行列のできるレモネード店「ワウワウハワイアンレモネード」とのコラボ商品。ネットでもすぐ完売になるほどの人気で、パソコンにしがみついてようやく手に入れた。

リップは、名前入り。キャリアカウンセラーとして働いていた職場でいっしょになった学生インターンが、韓国旅行のお土産で買ってきてくれた。
「すごくうれしかったですね。鏡付きなんですよ。大事に使っています」

ライター:高山 ゆみこ(たかやま ゆみこ)
カメラマン:福永 仲秋(ふくなが なかあき)
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