子どもが生まれた後に復職したものの、「母とはこうあるべき」という理想の姿にとらわれてしまったという川崎ひとみさん(40)。理想通りにできない自分にイライラしてしまうこともあったという。ところが、「べき」を手放して、やりたくないことをやらないようにしたところ、仕事との両立にも余裕が出てきた。自ら「こらえ性がなかった」という20代のころからのキャリアと、家事・育児への考え方をうかがった。

転職ばかりしていたが、「このままではいけない」と……

社会人として働き始めてから、職場を転々としていた川崎さん。20代後半まで、数か月で転職することもあったという。

「やろうと思ったことはそれなりに熱心にやるのですが、大きな目標があるわけでもなく、職場でいやなことがあるとすぐに『辞めたい』と思ってしまうタイプでした。例えば、私はさんざん調べてどうしてもわからなかったら先輩に聞く、というプロセスを踏んでいるのに、コミュニケーションの上手な人はすぐに先輩に聞いてうまくいってしまう。そういうのを『甘えている』『ずるい』と考えて、いやになってしまって……。今ならその人の強みだとわかるのですが、当時はわからなかったんです」

正社員だけでなく、派遣スタッフや契約社員なども含め転職を繰り返していたが、30歳を目前に後悔することになる。

「何かきっかけがあったわけではなく、少しずつ感じていたものに、やっと気づいたという感じ。そこで、何かひとつでも好きなものに携わろうと思い、化粧品メーカーに勤めました。これまでのように『辞めたい』と思うこともありましたが、化粧品に携わっているという喜びが大きかった。派遣スタッフとして2年11カ月の満了まで働くことができました」

「するべき」に捕らわれていた

契約の満了後、第一子が生まれる。その後、子どもを保育園へ預けて復職することを考えた。

「当時は仕事がなかなか見つからず、苦労しました。やっと見つかって働きだした後も、家事や育児に対して『2日に1度は掃除機をかけるべき』『夕飯は手作りであるべき』など、勝手に自分で制約をつけていました。でもそんなに自分に厳しくしていると、頑張りたくても頑張れないんです」

うまくできずにイライラして、子どもにあたってしまうこともあったのだとか。

「主人とも話して、やりたくないことをやらないようにしていきました。例えば、片付けや掃除は好きじゃないので主人にお願いしたり……。そうしたら精神的に楽になったし、頼むことにも抵抗がなくなりました」

そうした割り切りは、仕事にも良い影響があったという。

「もともと承認欲求が強くて面倒くさいんです、私(笑)。だから、仕事も『大変だなあ』って言いながら自分でやりたい。そうして認められたいんだと思います。でも、それでは仕事がうまく回っていかないですよね。育児で人に頼めるようになってから、職場でも人に頼んだり、情報共有したりできるようになりました」

今でも承認欲求は強めだと自らを冷静に分析するが、こだわりすぎて自分の首を絞めることはなくなった。

自分らしさを再認識。責任ある仕事に就きたい

現在は、少しずつ自分の好きなことがわかってきたという川崎さん。

「若いころは、おしゃれなものに詳しくないといけない、といった変なプレッシャーがありましたが、今はマニアックなものを追求してもいいのかなと思っています。子どもと一緒に図書館へ本を探しにいきますが、最近読んでいるのはラム肉の歴史とか、餃子の本など、自分の興味の赴くままに。それをご近所の飲み会で披露しても、それはそれで盛り上がるんですよね」

子どもと接するなかでも、「お祭りの宝石すくいや水あめのキラキラした色が好きだった」などと思い出すことがある。これまでないがしろにしていた自分の感性や興味を再認識している最中だという。

「将来的には責任のある仕事がしたいです。やはり、承認欲求は強いので……(笑)。今は育児のことを優先して職種・職場を選んでいますが、人に頼られるような仕事をしていきたいですね」

自分を器用なタイプではないという川崎さんは、実はコツコツ積み上げていく方が向いていると思っている。自らを制限していた「こうするべき」という思いは、育児をきっかけに手放した。これからは、もっと自由に仕事にも向き合っていけることだろう。

働き方のアドバイスもくれる義母からの手作り品

職場で休憩時間などに使っているのは、義母の手作りのバッグ。義母は働きながら子育てをしてきた人で、川崎さんが2回目の出産後に職場復帰する際も、「完璧にやろうとしなくてもいいんじゃない」といったアドバイスをくれたのだそう。

手作りの得意な義母は、バッグにいつも入れているポーチも作ってくれた。もともと子どものお出かけ用にともらったものだが、口が大きく開いて使い勝手がいいことから、自分で使うように。

「センスがとてもいい方なので、おまかせした柄もかわいくて気に入っています。以前、娘とおそろいの洋服も作ってくれたことがあるんです」

もうひとつ愛用しているのは、水筒。冷たいものも熱いものも苦手なため、ぬるめのお茶か水を入れている。お茶はルイボスティーやハーブティがお気に入り。水色と迷ったものの息子に「お母さんはピンクがいいよ」と言われてこの色にしたのだとか。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)
カメラマン:福永 仲秋(ふくなが なかあき)

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