結婚してから夫と共に、テニスを始めたという石井真由美さん。想像以上にテニスにはまり、息子には、漫画 の主人公から名前をとって「リョーマ」と名付けた。現在はプロテニスプレーヤーを目指す息子のサポートを続けながら、自らも仕事と両立してテニスで全国大会を目指す。順風満帆と思いきや、サポートの仕方での試行錯誤や、子宮がんを乗り越えるなかで、たくさんの葛藤もあったという。

結婚してから始めたテニスに家族でどっぷり

「テニスは旦那と一緒にできるスポーツだからと、軽い気持ちで始めてみたんです。でも、二人で試合に出たら楽しくて、もっと強くなりたい…!と思うようになりました。はじめは区民大会、市民大会と進むにつれ、ついには全国大会まで目指すように。勝負がかかると燃えちゃうタイプなんですよ。気づけば休日はほぼテニス漬け。生まれ変わったら国際大会でも活躍できるプレーヤー になれるんじゃないか?(笑)と思うくらい練習していましたね」

そんな最中に、石井さんの妊娠が発覚。「子どもの名前を考えたときに『テニスの王子様』という漫画の主人公が『越前リョーマ』という名前だった ので、そこから息子の名前を『リョーマ』と名付けました」

その後、息子も幼稚園でテニスデビュー。小学校に上がると、趣味や遊びの延長ではなく、本人がその気になれば世界に出ていける環境で習わせてあげたいと思うようになった。色々探した結果、元プロテニスプレーヤーが運営するスクールの、選手育成チームに入会を決めた。

育成チームに入ってからは練習が本格化し、入会してからこれまで7年間、3日以上続けて練習を休んだことがないとか。

「正月も元旦から試合があるし、基本的にテニスってオフシーズンがないんですよ。休みは水曜日のみ、平日は17時15分から21時過ぎまで、土日は試合というスタイルですね」

1日3回の食事をアプリで報告

プロを目指すレベルになると、親のサポートも欠かせない。とくに意識しているのが食事だという。

「トレーナーから一人ひとりの体にあったメニューが作られます。試合の一週間前は糖質が多い食事にしたりと、そのときの体の状態によって指導してもらいます。息子が小学校を卒業するまでは、毎食写真に撮って、アプリからトレーナーへ報告していましたね」

栄養バランスや量に気を遣いながら毎日きちんと作りつづけるのは、想像以上に大変なものだろう。また、週5日のテニススクールの送迎も石井さんの役目。さらに土日は遠征も加わる。

「週末は日本中を試合で遠征するので夫も参加します。大阪や九州まで行ったりと、家族一丸となって息子のテニスに向き合っていますね。たまに試合帰りに温泉に立ち寄り、つかの間の休息を楽しみます。でも、納得のいかない負け方をしたときの車中は、お葬式のようになることも 」

息子のテニスを全力でサポートすることについて、石井さん自身はどう捉えているのだろうか。

「私自身もテニスをしているので、つい、何かと言いたくなる場面もありますが、親が口出しし過ぎて子どもを親の色に染めたくないんです。基本的にはプロである監督やコーチにお任せしています。とはいえ、親として言うべきこともあると思っています。以前、息子が試合でコート内にドリンクを持っていくのを忘れたときは、親である私の役目として言うべきか、息子の自立のために言わないか、迷ったこともありました」

全力で息子のサポートをしていても、それだけにはなりたくない。自分自身もテニスを楽しんだり、仕事も家事も充実した状態であることを心がけている。

40歳で子宮がんを発症

テニスを軸とした幸せな家族。しかし、思いもよらない出来事も経験している。

「40歳のときに子宮がんを発症したんです。元々出産のときに、医者から怪しい細胞があると言われて定期的に受診をしていましたが、息子が小学校に上がりやっと手が空いたと思ったときに発覚して…」

転移はすでにリンパにも及んでいた。手術で子宮とリンパを摘出し、抗がん剤治療は半年間続いた。髪の毛が抜け、抗がん剤のタイミングによっては白湯しか飲めず、寝込むこともあったという。

「治らないがんと戦っている人もたくさんいます。私の場合、抗がん剤治療は辛かったですが、がんをとってしまえば少しずつ前に進む気がして乗り越えられました。手術する前にステージがわからない不安な時期が一番辛かった。私はもう生きられないのか?とまで気持ちが落ち込んだこともありましたが、手術が終わって全部とりましたよと医者に言われてから、気持ちが楽になりましたね」

抗がん剤治療後には、友人が企画してくれたハワイ旅行にも行った。食べ物が美味しいってこんなに幸せなんだ!と実感したという。

相手が喜ぶことを意識して働く

現在の仕事は週2、3日、派遣スタッフとして広告アシスタント業務を行う。仕事をはじめて、人をサポートする仕事が好きだということに改めて気づいた。また、マニュアルこそないが、“こういうことをすると相手が喜ぶ”という気持ちを意識しながら、社内のサポート をしている そうだ。

また、派遣という働き方を選んだのは、息子のテニスの試合を見に行くためだという。

「全ての試合とは言いませんが、大事な試合はちゃんと観たいので、週2、3日の勤務が可能な派遣を選びました。テニスも大事だし、仕事をすることによって自分の視野も広げたい。自分がやりたいことが全てできている今の環境はとてもありがたいなと思っています」

今後は、60歳、70歳になっても、夫婦でテニスができていたらいいなと笑顔で語る。テニスも仕事も、掲げた目標に向かって全力で取り組める場所を選び、実践する石井さん。これからの活躍が楽しみだ。

自分が気分よくいられるものを取り入れる

目薬をさす習慣は20歳から。朝起きたとき、電車に乗る前、仕事中など目薬は欠かせない。疲れている顔を見せたくないので、一日数回さしているそう。

ハンドクリームは自分が気分よくいるための必須アイテム。「仕事中にいい香りがするとホッとします。毎回そのときの気分で香りを選びますが、花の香りが多いでしょうか」

さらにテニスボールも就業先におく。がんでリンパを摘出してから足がむくみやすくなったので、就業中はブーツを脱いで、足裏でコロコロ転がしてマッサージする。

ライター:ライター:松永 怜(まつなが れい)
カメラマン:上澤 友香(うえさわ ゆか)

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