日中は働きながら、夕方や土曜日に大学院へ通っている仲美紗代さん(40)。もともとは短大卒だったが、通信制の大学を卒業し、大学院にチャレンジ。そのために派遣スタッフという働き方を選んだ。ほがらかな雰囲気とは裏腹に、強く芯の通った生き方。そのキャリアや思いを聞いた。

メーカーでの仕事は激務だった

歯科衛生士としてメーカーに勤務していたころ、多忙を極めていた仲さん。大阪を拠点に、全国各地の大学病院を回り営業や啓発活動。出張が半月ほど続いたこともあるのだとか。

「同時に、私が中心となって商品開発も進めており、残業時間がどんどん増えていきました。休みがあっても疲れて寝ているだけという状態に……。プライベートもほとんどなく、体調を崩してしまったのです」

約8年間務めていた会社を退職することになったが、学んだことはたくさんある。特に、仲さんが感じたのは四年制大学を卒業した人の能力の高さだったという。

「個人的な考えになりますが、四年制大学を卒業している方は、幅広い知識があり、話している時のボキャブラリーが豊富だと感じました。また、話が論理的で説得力があるんです」

そんな思いから、通信制の大学にチャンレンジすることに。

通信制の大学を卒業して大学院へ。自分の世界が広がった

多忙な生活を抜け出して自分の時間ができたことで、働きながらも通信制の大学を卒業した。専攻はこれまでやってきた歯科衛生士の仕事とはまったく違うジャンル。卒業してほどなくすると、メーカー勤務の際に取引先として出会った看護師の友人から、大学院を薦められる。

「『もっと成長してみたら』と背中を押されて、友人が修了したという大阪教育大学の大学院にチャレンジしようと思いました。正社員との両立は難しいと考え、派遣スタッフとして働きながら受験対策をしたのです」

無事合格し、今年の春から大学院へ通っている。平日の日中は派遣スタッフとして働き、水曜日以外は18時から21時過ぎまで授業。土曜日は14時から18時まで授業、という過密スケジュールだ。

「父と二人暮らしをしており、食事は私が担当しているので、その部分が思ったよりも大変でした。時間の空いたときに大量に作って冷蔵庫に保存し、温めるだけで食べられるようにしておきます。メーカー勤務で忙しかったときには父も自分で買ってくるなどできたのですが、今は高齢なので……」

徐々に学校の課題やレポートも増え、大変ではあるが、毎日充実しているという。

「新しい知識を学べることに大きな喜びを感じます。これまで自分は『歯科衛生士』という肩書きで、狭い世界で生きてきたのだと気づきました。教養や心理学、教育学といった新しい学問を学ぶことで、目の前が明るくなってきたと実感しています」

大学院の仲間や職場の人にも感謝。大事なのは「ぶれない」こと

大学院では仲間にも恵まれ、授業の後に飲みに行くことも多いという。新しい学びと共に、仲間ができたのは大きな喜びだ。さらには、職場の人間関係にも感謝の気持ちでいっぱいだという。

「派遣スタッフとして働くのは初めてでしたが、営業の方や、職場の上司、スタッフの方がとても気を使ってくださいます。例えば、数分でも残業をしていると、作業内容や残業の必要性を確認してくれるのです。こんなに居心地がよいからこそ、大学院と両立できているのだと思って、とても感謝しています」

新しいことを知るのが楽しい性分なのか、初めての一般事務も「向いているし、楽しい」と語る。やさしい雰囲気で、大阪人ならではの「人なつっこさ」を備えながらも、自分らしさは「ぶれないこと」にあるのだとか。

「メーカーで商品開発をしていたときは、自分の思いがよい方向に現れず、それでも意見を貫こうとしたことがありました。それは『頑固』だったんだと思います。でも今は、頑固ではなく『信念』を持って、柔軟ながらもぶれずに進みたい。例えば、大学院は絶対に2年で修了する、と決めています。そこにはぶれない気持ちを持ちたいです」

さらには「女性らしさ」も大切にしており、身だしなみやネイル、ヘアスタイルにも気を使う。「きれいで清潔にしていると、イキイキと仕事ができる」のだとか。

そんな仲さんにあるのはきっと「しなやかさ」。花のような笑顔とともに、まるでしなやかに曲がる植物のように決して折れず、上に向かって成長していくに違いない。

「ギンギラ」のポーチが象徴する責任感と緊張感

職場を出入りする際に必要なIDカードは、仲さんがとても緊張して持ち歩くアイテム。特に、所属している部署は社員でも特定の人しか入れない強固なセキュリティを施されている。IDカードを「ちゃんと持ってきた」「紛失していない」を常に確認するために、バッグの中でも目立つ「ギンギラのポーチ」を購入した。

同じポーチの中に入れているのは、ハンドクリーム。書類を扱うことが多いため、油分が奪われて荒れやすいのだとか。オリーブオイルの香りがするタイプと、保湿力の高いタイプを使い分けている。

ほっと一息つきたいときにはコーヒーを。小川珈琲店のものなど、「すこしだけいいもの」を頑張った自分へのご褒美になるものを選ぶようにしているのだとか。

プライベートでは安室奈美恵さんの大ファン。貯金をして安室さんが付けていた時計を購入し、それに合わせて指輪も。仲さんの雰囲気にぴったり。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)
カメラマン:上澤 友香(うえさわ ゆか)
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