「曲げわっぱの弁当箱なら、冷めてもご飯がフワフワなんです」そう語るのは小松千絵さん(46)。曲げわっぱの弁当箱とは、スギなどの薄い木板を曲げて作る円筒形の弁当箱のこと。美しい木目や独特の手触りで、食にこだわる人にも人気が高い。小松さんは、働きながら家事をこなし、毎朝息子の弁当を作ることが日課。しかし子どもが進級して次のステージに上がるのを見たとき、自分はこのままで良いのか、趣味くらい持ったほうがいいのでは、と不安になったという。

朝は 4 時半起きで弁当と朝食作り

小松さんが曲げわっぱの弁当箱を使い始めたのは、息子が中学生になりお弁当が必要になったのがきっかけだ。せっかく作るなら、美味しい状態で食べて欲しいと思っていたところ、店頭にならぶ、曲げわっぱの弁当箱が目に留まった。

「今まで使ったことがないけれど、試しに一つ買ってみることに。早速使ってみたら、ご飯が冷めてもふっくらしていてびっくり!余分な水分を吸収しているのかベチャっとならないし、通気性もいいんですよね」と、使うたびに好きになったそうだ。

弁当作りにともない、小松さんの朝は早い。毎日4時半に起きて、夫と息子と小松さんの3人分の朝食と弁当作りを同時進行する。1回の弁当におかずは5種類以上、肉、魚、野菜を必ず入れて、彩の美しさにもこだわりを持つ。鮭に含まれる栄養には美容や健康、精神の安定作用があると聞けば、お弁当にも取り入れるなど、食材選びもぬかりない。これを朝食と弁当作り合わせて1時間で全てこなすという。かなりのスピード感と技術が求められそうだ。

「お弁当を作り始めたころは4時起きだったのですが、今は30分多く寝られるようになりましたね。平日は仕事をしているので、週末にある程度作り置きするんです。すぐに解凍できるように小分けしたり、ある程度野菜を切っておく。週末は、買い物も合わせて6時間くらいかけて食材の準備をしています。以前は翌週の献立まで考えて食材を買っていましたが、このやり方は結構疲れちゃって」

今は、ひき肉ならハンバーグや麻婆豆腐が作れるとか、ある程度イメージしながら買い物するが、具体的に何を作るかは当日楽しみながら決める。普段から料理をしているからこそ、すぐに献立のイメージが湧くのだろう。

インスタグラムで弁当を披露してみると

毎日続く弁当作り。小学校のころから料理が好きだったというが、以前はストレスに感じたこともあったという。「毎日作らないといけない義務感や、なんで私ばっかりって思う時期もありましたね」

しかし、毎日投稿していたブログを閉鎖し、始めたインスタグラムに投稿したところ、少しずつ気持ちが変わった。日々、お弁当をインスタにアップするのが日課になり、“#曲げわっぱ弁当”のくくりで繋がったフォロワーの方や友人の写真や反応を見るのが楽しみになった。

息子さんも、「美味しかったよ」とか「友達から彩がきれいって言われたよ」と報告してくれるそう。ただモクモクと食べてご馳走さまではなく、どんな反応でもきちんと感想をもらえるのは嬉しい。

「親が色々抱えこまず、一生懸命愛情込めて作ればどんなものでもいいかなと思うようになりました」と気持ちにも変化が出てきたようだ。

また、夜ご飯もさぞかし豪華なのだろうと思ったら、意外な答えだった。

「昼ご飯にガッツリ作るので、夜は少し手を抜きますよ。チルド食品のこともありますし。すべての料理に100%力を入れていたらもちませんからね」

この、良い意味で頑張り過ぎないことも、楽しみながら続けられるコツなのかもしれない。

相手を立たせるように意識

小松さんは現在派遣スタッフとして働いている。名刺作成などの事務的なことから、WEB関係のことまでと、携わる仕事は幅広い。仕事をするうえで、以前塾で働いていた経験も役立っているのだとか。

「感情的になっている親御さんだったり、泣きじゃくるお子さんの相手をすることも多くて、自然と人の気持ちを汲み取ることが得意になったような気がします。今は、業務内容こそ違いますが、相手のプライドを傷つけるようなことは避けますし、自分自身を全面に出さない。相手の気分を害さないよう、常に心掛けています」

話をするときも、甲高い声ではなく、低くてゆっくりとした話し方をするなど、相手にきちんと伝わるように心がける。

“いい顔”の自分でいたい

今後について聞くと、いい顔でいたい、という答えがかえってきた。

「生き方って顔に出ると思うんです。たとえば卑屈な気持ちは暗い顔になるし、笑顔でいたらやはり穏やかな顔になる。私は年齢を重ねても自分らしい、“いい顔”でいたい。そのためには、程よい緊張感がある場として、家ではなく、外に出て仕事をすることも必要。職場で英語に触れる機会もあるのですが、わからないときは息子の辞書を借りて調べたり。これも小さいことかもしれないですが、新鮮で楽しいですね」

インタビュー冒頭では、これと言った趣味がないと言っていた小松さん。趣味があれば日々充実するかもしれないが、無理に“趣味”を求めなくても、好きなことや自分が得意なことを続けていると、思いがけない場面で良い反応を得られたり、相手とスムーズなやり取りができたりと、ささやかな幸せは日常にたくさん転がっている。小松さんの笑顔を見ていたらそう感じた。

相手への気遣いを忘れないよう、付箋も選んで

曲げわっぱの弁当箱は使い込まれつつも、丁寧に扱われているのがよくわかる。思ったより深く、ご飯の上に煮物を乗せたりと、かなりの量が入るそう。

仕事でもプライベートでも付箋を使う。青りんごや、鳥、くまの形をしたものなど、形や大きさが違うものをいくつか用意している。「そのときの気分や内容によって使いわけています。可愛い付箋に一言添えられていたら、貰った方も嬉しいかなと」

また、大学生のころからつけているピアスもお気に入り。シンプルな洋服が多いので、その分ピアスで気分を変えている。

ライター:松永 怜(まつなが れい)
カメラマン:坂脇 卓也(さかわき たくや)

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