現在、派遣スタッフとして通信業界で働く大東千恵さん(40)。留学経験なく英語を実務で使っていたこと、リーマンショックでリストラにあったこと、シンガポールで就職をしたことなど、これまでアップダウンのあるさまざまな経験をしてきた。昨年からの新型コロナウイルスの影響でリモートワークとなったが、自分なりに少しずつ快適な生活を模索。状況に合わせて適応していく大東さんの歩み方をうかがった。

*今回はオンラインで取材を行いました
*掲載しているお写真は、ご本人より提供いただきました

20代でリストラにあい、派遣の仕事をスタート

学生のころから英語が得意でグローバル志向があった大東さん。2社目に当たるオンラインゲーム会社で、海外の代理店とやり取りをする仕事は刺激的で貴重な体験だった。

「もともと英語が好きでしたが、高校の時に2週間だけアメリカに行ったことがすごく衝撃的でした。大学ではアジア経済学を勉強し、シンガポールの政治経済を専攻。その後は留学やワーキングホリデーも選択肢としてありましたが、費用対効果を考えて業務で英語を身につけたいと思ったんです。最初のころは英語での自己紹介もままならないほどでしたが、徐々に慣れていきました。韓国やインド、シンガポールに10回を超える出張も経験しましたね」

英語を使ってコミュニケーションができる仕事は充実していたが、突然のリーマンショック。そのとき、20代という若さでリストラにあってしまう。

「若干パニックになっていたと思います。自信喪失し、自己否定的にもなっていました。でも、落ち込んでいるだけでは生きていけません。『働こう』と思って登録したのが派遣会社でした」

派遣スタッフとして、システムを開発する企業で働いた。ところが、期待値とできることがアンマッチとなり、満足に貢献できなかったという。

東日本大震災を経験して「やらないと後悔すること」に挑戦

次に縁があったのは、海外の法人とやり取りする通信会社の法人営業だった。「未経験可」という言葉に惹かれてトライしてみることにした。この時に通信業界に飛び込んだことが、今の仕事にもつながっている。

「通信業の知識がないので最初は大変でしたが、社員の方たちがいい方ばかりでサポートいただきました。英語の経験も積めて充実していたんです。でも、そんなときに東日本大震災が起こって……。地震があった日に数時間歩いて自宅に帰る途中、真っ暗な東京の街を見ながら『死んでいたかもしれない』『やらなくて後悔することは?』と考えていました。それから、大学で学んでいたシンガポールに行ってみたいという思いが沸き起こってきたんです」

それを機にシンガポールの仕事情報を収集し始めた大東さん。現地の転職事情を聞くと日本とは異なり、次々と転職するのが当たり前。日本で就職先を決めてから訪問するのではスピードが遅いということもわかった。

先に仕事を辞め、就職先が決まらないうちからシンガポールに住み、現地で就職先を探すことに。派遣先の同僚の推薦もあり、現地法人で採用してもらうことができた。確かな行動力により、大東さんは夢を勝ち取ったのだった。

シンガポールでは文化の違いに戸惑いながらも、半年ほどかけて少しずつ自分を慣らしていった。マレーシア、ベトナムといった近隣諸国に頻繁に旅行し、大好きなローカルフードも楽しんだ。さまざまな価値観に触れ、自分の枠を広げていったのだ。

「英語に対する価値観も変化しました。シンガポールは英語が主な言語ではないので、きれいな英語を話す人は少ない。あくまでコミュニケーションの手段でしかなく、伝わることがもっとも重要なんです」

夢をかなえた現地採用だったが、仕事を頑張りすぎて体調を崩し、2年ほどで帰国を余儀なくされる。

年収アップしたバリキャリから、より自分らしい働き方へ

帰国後は、シンガポールでの経験を評価され、通信会社の正社員として働き始めた。海外の法人営業の課長職に就き、年収も大幅にアップ。仕事内容は充実していたものの、休日も携帯でメールチェック、休暇先でのリモートワーク、時差のある海外と夜中のビデオ会議など、高いプレッシャーと長い労働時間が負担になっていた。

「シンガポールでの経験があったので、このままでは体を壊すと感じました。役職を上げて年収をアップさせていくのは世間的には成功例と言われますが、私の場合、そのスタイルはやめたほうがいいと思った。そこでまた、派遣会社に登録することにしました。それが今の会社で、たまたま10年前に働いていた通信会社の別の部署。英語でのやり取りもあるし、いろいろなことがつながっているんだなと思いました」

たまたま入った通信業界で、10年以上働くことになった大東さん。縁やつながりを活かして、臨機応変に自分を対応させている。

「好きなことを思い描いてやり遂げる人もいますが、私のように変容させていくのも自分らしさだと思っています。タイミングによって心地いいものが違うし、やるべきことも変わるので、うまくフィットさせていくのが私のやり方です」

コロナによりリモートワークになってからも、上手に対応させてきている。

「旅行ができないので、オンライン英会話を毎日のおしゃべりのように使っています。相手の方はいろいろな国にいるので、現地の話を聞いたりするとエキサイティングです。ほかに、ラジオ体操や瞑想をオンラインで取り入れて、メリハリを付けつつメンタルの安定にも役立てています」

これからも、自分のできる範囲で工夫をしながら、さまざまなことにチャレンジしていきたいという。

移動可能なスタンディングデスクで気分転換

リモートワークに伴い、取り入れたのはスタンディングデスク。小さめで移動できるタイプを選択したことで、場所を変えて気分転換できる。高さも変えられるので、ベッドを椅子代わりにしてテーブルとして使い、休憩することもある。

プライベートではiPad miniを大いに愛用しており、Kindleアプリでの読書や、オンライン英会話にも活用。また、動画やラジオ、ポッドキャストなどのエンタメの視聴もこれひとつ。料理の際にレシピを見るにも便利なのだとか。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)

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