世の中に少しずつ浸透しつつある多様で柔軟な働き方。その流れを一気に加速させたのが昨年来のコロナ禍だ。吉澤佳奈さん(32)も、コロナ禍をひとつのきっかけに、「派遣スタッフ」×「アロマカウンセラー」という“パラレルキャリア”をスタートさせたひとり。「私は特別じゃない。小さなやりたいことを積み重ねていっただけ」と軽やかに話す吉澤さんに、ここに至る道のりを聞いた。

*今回はオンラインで取材を行いました
*掲載しているお写真は、ご本人より提供いただきました

大好きなハワイアンテイストで、アロマブランドをスタート

今年の1月から、派遣スタッフとしてIT企業で営業アシスタントの業務をこなす傍ら、出勤前の時間や週末を、自ら立ち上げたアロマブランド「Lana Moani」で、カウンセリングやオーダーアロマのブレンドに費やす吉澤さん。

「Lana Moani」のネーミングは、大好きなハワイの言葉から。“Lana”は、「穏やかに」「ゆったり」を、“Moani”は、「漂う香り」「香りを運んでくる風」を意味する。「慌ただしい日々の中、ほんのわずかでも、自分のことだけに意識を向ける時間をもちたいもの。香りによってそんな空間づくりのお手伝いができたらと思っています」

当初SNSなどで友人を中心に開業を知らせたところ、一週間に30人もの予約が入り慌てたと苦笑い。徐々にペースがつかめてきて、平日はカウンセリングを入れない、ブレンドは朝だけなど、自分なりのルールも編み出し、「ちょうどいい感じに落ち着いてきた」そうだ。

「やりたい」ことを実現するコツは…

これまで吉澤さんは、レコード会社、芸能プロダクション、広告代理店、ベンチャーなど10社以上で働いてきた。いずれにも共通するのは、「興味がある」あるいは「ワクワクできる」職場だったこと。

ときには思いが強すぎて現実とのギャップに戸惑ったり、寝る時間さえないようなスケジュールで体調を崩したりすることもあったが、「とりあえずやりたいと思ったことは全部トライしてきました」ときっぱり言い切る。

「なりたい自分の姿を思い描き、その自分だったらどう行動するかを想像し、その通りに行動するのが夢をかなえるコツ」と吉澤さん。最近は「クリエイティブな仕事をしている自分」をイメージし、休日にはお気に入りのホテルのラウンジに出かけ、パソコンを開いて過ごしているという。

「とくにタスクがあるわけじゃないんですよ。これを話すと笑われちゃうんですが」と照れ笑い。「でもそういう時間のなかで、次のアイディアが生まれることもある。実際に私はそうやって、やりたいことをひとつずつ達成してきたんです」

パニック障害に苦しんだとき出合った「アロマ」

夢や希望が明確で、それに向かってまっすぐに行動する。言葉の端々から気持ちよいほどのポジティブさが伝わってくる吉澤さん。それだけに、「アロマ」と出合ったきっかけを聞いて、少し驚いた。

「学生時代、パニック障害を発症し、外に出たり電車に乗ったりすることが怖くなってしまったんです。中学生の頃から芸能マネージャーを目指していたのに、これじゃマネージャーどころかふつうの就職もできないじゃないと、毎日が生きづらかったですね」

心療内科に通院しながら、症状の緩和をめざし、自分なりに対処法を模索した吉澤さん。そのとき巡り合い、回復を助けてくれたもののひとつが「アロマ」だったという。

「『電車に乗るときに嗅ぐと落ち着く』みたいな香りが見つかって、一筋の光が見えたようでした。知識を深めたいとアロマテラピー1級の資格も取って、漠然とですが、いつか同じような症状に悩む人の役に立てたらいいなと思ったんです」

「本業」があるから、思い切って踏み出せた

どこかで気になりながらも、仕事として明確には意識してこなかったアロマ。一歩踏み出せたのは、「いくつものきっかけが重なったから」。

ひとつは、昨年春、激務で体調を崩し、正社員の仕事を退職したこと。休職中に、偶然通りかかったアロマショップから漂う香りに癒され、かつてアロマに救われたことを思い出したという。復職後、テレワーク主体で余力が生まれたことも大きく、派遣スタッフという“本業”がある心強さにも背中を押された。「パラレルキャリアを始めるには絶好のタイミングでした」

実際に始めてみると、パラレルの働き方は「想像以上に心地よい」そうだ。「ずっと香りをかいだり相手の話を聞いたりしているのも、一日中パソコンに向き合っているのも、どちらもしんどいもの。ひとつだけだと逃げ場がないけれど、両方あるからバランスがとれて、お互いにいい刺激になっていますね」

「稼ぐ」のは本業と割り切っているから、アロマに関しては「商売抜き」で一切妥協しない。ラベルもボトルも、素材にもデザインにもこだわり抜いて作ったし、オイルも本当に納得できるものを選んだ。そうしたら、不思議と顧客が増えてきたのだという。

「『パラレルキャリアを始めた』『アロマカウンセラーとして開業した』というとみんなびっくりするんですが、そんなにおおげさなことじゃないんです」と淡々と語る吉澤さん。

「フリードリンクのあるところで働きたいとかおしゃれなオフィスで働きたいとか、そういう夢ってありますよね。ちょっと恥ずかしいけれど、私はそんな小さな目標、小さな夢をその都度大切にしてきた。その延長線にいまがあるという感じです。でもこれだけは言いたい。チャレンジしたもの勝ち、ですよ」

香りを変えることで、“おうち時間”にメリハリを

商売道具でもあり、吉澤さん自身の生活にも欠かせないのがアロマオイル。「テレワークは通勤がなくて楽ですが、リズムがくずれがち。朝、昼、夜と香りを時間帯で使い分けるようにしたら気持ちの切り替えがスムーズになり、メリハリがつくようになりました。香りをうまく活かせればテレワークもはかどる。これはおすすめです」

ライター:高山 ゆみこ(たかやま ゆみこ)

SPECIAL SITE
ABOUT

あなた「らしさ」を応援したいWorkstyle Makerリクルートスタッフィングが運営する
オンラインマガジンです。

JOB PICKUPお仕事ピックアップ

リクルートスタッフィングでは高時給・時短・紹介予定派遣など様々なスタイルの派遣求人をあつかっています

Workstyle Maker

『「らしさ」の数だけ、働き方がある社会』をつくるため、「Workstyle Maker」として働き方そのものを生み出せる企業になることを目指しています。