平日日中は派遣スタッフとして役員秘書と監査の事務補佐を担い、夜や週末は原稿執筆(ライティング)をしているという田盛稚佳子さん(46)。秘書の仕事は初めてだが、過去に経験してきた仕事が活きているという。また、ライティングゼミからスタートした執筆活動では、毎週のように原稿を書き、スキルを磨き続けている。これまでのキャリアと、これからの展望などをうかがった。

*今回はオンラインで取材を行いました
*掲載しているお写真は、ご本人より提供いただきました

派遣会社で経験したコーディネーターの業務が自らの成長に

今の仕事につながっているのは、人材派遣会社のコーディネーターを長くしていた経験だという田盛さん。社会人になり3年ほど経ったころに未経験からスタートしたが、最初はなかなかうまくいかなかった。

「紹介する仕事内容や社会保険の知識が不足していたので、派遣スタッフさんから質問されてもうまく答えられなかったことも……。まったく自信がありませんでした」

忙しくて体調を崩したこともあり、その後は知人の社会保険労務士事務所へ。社会保険の仕組みや、人事労務関係の書類作成などを学び、働きながら簿記3級の資格も取得した。

その後、約5年働いた地元の小さな人材派遣会社が、大きな成長の場に。技術的なことはもとより、コミュニケーションスキルも丁寧に教えてもらえたのだそう。

「『電話での伝え方はきつく聞こえてしまいがちだから、こうした方がいいよ』と社長さんが教えてくださいました。みんなの前でなく、別室で丁寧に指導してくださるので、とてもありがたかったです。仕事の心も話してくださる方でした」

注意されても嫌な気持ちになることがないため、反省して次に活かし、自分の殻を破っていく実感があった。

社内のコミュニケーションで課題があっても、同じようにひとつずつ解決していったそう。

「コミュニケーション不足で、営業の方からの情報が私たちコーディネーターに伝わっておらず、スタッフさんからクレームをいただくことがありました。スタッフさんには真摯にお詫びして、営業の方には『見える形で残してほしい』と依頼を。『言った、言わない』のやり取りになるのはよくないので、スタッフさんのために力を合わせましょう、とやり取りしていましたね」

衝突したこともあったが、徐々にコミュニケーションが円滑になっていったという。

秘書の仕事では、これまでの仕事を活かして

いくつかの派遣会社でコーディネーターとして働いたのち、現在の秘書の仕事へ。初めての秘書には不安もあったが、これまでの経験が活きている。

「コーディネーターは、初対面の方と話して『その人が輝くところ』を短時間で見つけ出す仕事。その経験は、秘書として、相手が求めているものを探り当てることに活かせています。また、スタッフさんや営業の方とのやり取りで磨いたコミュニケーションスキルは、周囲の方にお力添えをいただくのに役立っています」

とはいえ、最初のころは苦労も多かった。秘書経験のあった前任者と比較されたり、配慮や知識が足りないことで注意されることもあったという。悩みつつの業務は3ヶ月ほど続いたものの、何とか乗り越えてきた。

その後、担当する役員が交代することになったが、周囲のフォローが心強く感じられ、今ではスムーズに業務を遂行できているという。

ほかに、監査部の社員の補佐的な業務も兼務している。基本的な事務作業だが、会計の用語などが普段の会話には出てくることも多い。過去に市役所の会計課で働いた経験や、以前取得した簿記3級の資格が役立っている。

職歴が多いことをマイナスと捉えず、さまざまな経験を今につないでいる。共通しているのは、表に立つよりも裏方として支援していくこと。そこに田盛さんなりの軸があるのだ。

今夢中で取り組んでいるのはライティング

仕事のほかに、ランニングやスポーツ観戦などさまざまな趣味を持つ田盛さん。その一つにオーケストラがある。大学時代から続けていたが、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言などから練習が難しくなると、それまで練習していた土日が空くように。加えて、仕事が変わるタイミングで時間ができたため、ライティングゼミに通うことにした。

「もともと、雑誌やコラムを読むのが好きで、自分もエッセイのようなものを書いてみたい、とうっすらとした願望があったんです。オーケストラ仲間に相談したら背中を押してくれ、あるきっかけで天狼院書店が開催している『ライティングゼミ』を知りました。やらないで後悔するより、やってみて後悔したほうがいいと思って」

田盛さんが挑戦したのは、通常4ヶ月で行うカリキュラムを、年末の4日間でやる超短期集中講座。講義のほかに、毎日2000文字の原稿を書き、次の日にフィードバックされるというハードなものだった。

その後、仕事がスタートしても毎週2,000~5,000文字の原稿を、1年数ヶ月もの間書き続けている。

「私が住む福岡のある食品店を取材して紹介するという企画を出したところ、天狼院書店のホームページに連載を持てることになったんです。歴史のあるお店で、その商品を広めたい、という思いからでした。記事は思いのほか反響が大きく、書店のカフェメニューにも採用してもらえることに。地元の方がさらに注目を浴びるきっかけになれたのが喜びです」

将来仕事にしたいというより、趣味と社会貢献を兼ねた活動だというが、自然と仕事にも役立っている。ライティングスキルを知った上司から、議事録などの社内文書のチェックを頼まれるようにもなった。

今後は、「ライティング力を上げて相手に伝わる文章を作成し、秘書としては今よりも先回りして、役員が求めているものを素早く察知できるようになりたい」とのこと。今取り組んでいる秘書とライティングのスキルを、今後ますます磨いて洗練させていくのだろう。

手帳に書いたワクワクリストが具現化していく

毎日持ち歩いている手帳には、叶うとワクワクすることを羅列していくページがある。それを書いて日々目にしていることで、書いたものが具現化するようになってきたのだそう。

筆記具は書きやすさ重視で選び、上司からの書類チェック用に赤ペンも。小さな字も書けるよう、細めのものを選んだ。

社内外の来客もあるため、できるだけ緊張せずにお迎えできるようリラックス効果のあるラベンダーのアロマスティックを使う。ポーチに入れているローズクォーツのパワーストーンは、ころんとしたハートの形がお気に入り。

下に敷いてあるクリアファイルは、長崎の作家さんがデザインした、稲佐山のグッズ。自宅で猫を飼っていることもあり(2つ上の写真)、猫のグッズは遊び心としてバッグにそっと忍ばせている。

ライター:栃尾 江美(とちお えみ)

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