派遣スタッフとして経理事務の仕事に従事する横山弘子さん(49)。週末はセラピスト・カウンセラーとして活動している。転機を迎える度に何かやり残したことがあるような気がして、ある日、学生のころの夢を思い出したという。「目指す生き方にたどり着いた」と話す横山さんに、その道のりを聞いた。

*オンラインで取材を行いました
*掲載しているお写真は、ご本人よりご提供いただきました

経理という予想外の選択で社会に出ることを決意

専門学校を卒業後、会計事務所に就職した横山さん。それからずっと経理事務の仕事を続けてきたが、元々は経理の道に進む予定ではなかった。

「学生のころ、手に職をつけたかったことと、人の役に立つ仕事がしたくて歯科衛生士や栄養士を目指していたんです。その道につながる短大や専門学校を受験したのですが、残念ながら夢が破れてしまいました」

そこで、周囲の勧めもあり、経理の専門学校を受験して合格。どちらかといえば進みたくない分野だったというが、もしかしたら苦手な勉強の中にも何か収穫があるかもしれない、という気持ちで、まずは経理を学んでから一度社会に出ようと決めた。

「経理のことを何も知らずに入学したところ、難しくて、最初から挫折しそうになってしまいました。悔しくて、そこから一念発起。2年後に卒業するまでに、簿記を初めとしたいくつかの資格を取得しました」

経理のキャリアを活かして自分らしい働き方へ

専門学校の卒業後、会計事務所に就職。学校の勉強とは違い、実務には会計や税金の深い知識が求められ、苦労した。自分なりに学びを深めていったものの、その後、違う会計事務所に勤務しているとき、期限に間に合わせるために休日出勤を繰り返し、40代前半の頃には体を壊してしまった。

「そのとき、私はこのままハードに働いて、将来は税理士としてやっていきたいのかと自分に問いかけてみたら、そうじゃない、と答えが出たんです。そこで、会計事務所で働くのはこれでやめようと決意しました」

選んだのは、派遣スタッフとして一般企業の経理事務の業務を行うという道。「自分で働き方を選択したいと思ったんです。苦手から始まった経理の仕事でしたが、ここまで続けてきて、それなりにキャリアを積んできたという自信もついていました」

悔しい思いをしても、それをバネにするのが横山さんのモチベーションだ。現在の就業先は美容業界の企業。会計事務所で培ってきた経験が生かせており、働きやすく、日々充実しているという。


▲有休休暇の日。用事を済ませたあと、思い立って登山

夢へのやり残し感から整体学校で新たな挑戦

仕事と並行して、自分が本当にやりたかったことについての模索も続けてきた。大きな転機は34歳のとき。それまでは日々の業務に夢中で取り組んでいたが、「何かやり残しがあったような気がする」と、モヤモヤする気持ちが生まれてきた。

「最初は答えが出なかったんです。けれど、学生時代に歯科衛生士への道を諦めたことを思い出し、人の体に関われることは他にもあるんじゃないかという考えが急に浮かんできました。調べているうちに整体の学校を見つけて、これだ、と体験講座を申し込みました」

整体学校で初級の講座を受け、このままでは終わりたくないと、次の段階へ進むことに。仕事を続けながら夜に学校へ週3、4回通う生活が始まった。整体の座学と手技を学ぶのは大変だったが、経理の専門学校で学んでいたときとは「ワクワク感」が違ったという。

1年後に認定資格を取り卒業し、整体師として整骨院に転職した。ただ、平日9時から20時までに加え、土曜日も9時から14時までの勤務があり、そのころの横山さんにはハードすぎた。自分のやりたい働き方とは違うと感じ、いったん、人の体に関わる仕事は封印することにした。

心と体をほぐす、次のステップへのチャレンジ

派遣スタッフとして一般企業で経理事務の業務を行うのにも慣れてきた2019年、40代の半ばごろにまたモヤモヤした気持ちが生まれてきた。

「せっかく整体師の資格を取ったのに、10年近く活用できていないのはもったいない。でも整骨院やマッサージサロンに就職したいわけじゃない、と考え始めました。そんなとき、とある癒しイベントの出店者募集を見て、連絡してみたんです」

結果、そのイベントに整体師として初めて出店。ベッドを使わず椅子に座ったままで人の体をほぐす方法を考案したオリジナルメニュー「椅子に座ったほぐしシリーズ」が誕生した瞬間だった。「楽になった」「気持ちがよかった」という、お客様の声も励みになった。

「私が体をほぐして差し上げることで、お客様に喜んでもらえるということが本当にうれしかった。そして、フリーランスでボディケアをすれば良いんじゃないかと気がつきました」

それからあいにくコロナ禍になり、3年間はイベントへの出店を休止しなくてはならなかったが、2023年の4月に再び、イベントで整体師としての活動を再開することが叶った。現在も、平日は経理事務の仕事を続けながら、週末には整体師として活動している。

「やっぱり私は、人の体をほぐすのが特技だし、楽しい。私のステージはきっとここなんだと思っています」


▲イベント出店時に、必ず着るピンクのユニフォーム。出店する頻度を高くしたいため、ユニフォームの数を増やす予定だそう

今後は、傍らで学んだカラーセラピーで心を、ボディケアで体をほぐす「心と体を軽くするセラピスト、カウンセラー」として活動していこうと計画を練っている。

「近い将来、経理事務の仕事は週4日にして、1日はボディケアをしたいなと、新しい働き方について考えている真っ最中です」

色にもキャラクターにも「自分のカラー」がお守りに

経理事務の仕事をする上で必要不可欠な電卓。この電卓は、普段の仕事で使っているものとは別のプライベート用だ。「数秘術で紫が自分の色なんです。たまたま通りかかった文房具店で見つけて、このカラーは珍しいと思って買いました。私にとってはお守りみたいな存在です」

奥のハンドタオルには大好きなキャラクターがプリントされており、ボディケアの際にお客様の洋服の上にかけて体をほぐす。「リラクゼーションの際に使うハンドタオルは無地が多いのですが、私は遊び心を取り入れたくてこれを愛用しています」

ライター:池田 美樹(いけだ みき)

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