子どもを持つと、仕事・子育て・プライベート3つのバランスを考えていく必要がある。時として「親ならプライベートやキャリアを犠牲にして子育てを優先するべき」と周囲からのプレッシャーもかかるが、決してそれが正解ではない。前田郁さん(32)がたどりついた「家族みんなが笑顔でいるため」の最適バランスとは?

*オンラインで取材を行いました
*掲載している写真は、ご本人からご提供いただいたものです

フルタイムで働くことが、自分や子どもの生活にもプラスに

現在、6歳と4歳の男の子を育てる前田さん。出産・育児を機に退職したが、2年半前に「社会に出ることで、自分の母親以外の存在意義を見出したいと思った」ことから社会復帰を決意。9時~14時半のパートタイムという形で製造業の事務職の仕事を始めた。当初はブランクもあり、数年ぶりのパソコン操作に戸惑いも。

「“ショートカットキーってどれだっけ”“Excelの数式ってどうやって使うんだっけ”と慌ててしまいました。ブランクを取り戻すために、業務をしっかりこなすとともに、夜、子どもを寝かしつけたあとにExcelの使い方についてのウェビナーを3ヶ月受講しました。しばらくすると仕事のカンも戻ってきて、もう少し長時間働きたいなという気持ちが芽生えてきたんです。というのも、14時半に子どもたちを迎えに行ったあとの時間が有効に使えていなくて。パートタイムとはいえ仕事で疲れてはいるので、お迎えのあとに公園に行く体力もなかったんですね。だったら私はフルタイムで仕事をして、子どもたちは園でしっかり遊ばせてもらったほうがお互いにいいのではと思ったんです」

仕事再開から1年後、勤務時間を9時~17時に変更して、これまでよりも規模が大きい製造業の事務職の派遣スタッフに働き方を変えた。

「子どもたちを迎えに行って、帰宅したあとの時間は当然今までよりバタバタですが、できる限りの工夫はしています。例えば夕飯は1週間分のメニューを先に決めておいて、週末に必要な食材を買っておきます。そうすると平日に余分なものを買わないので節約にもなっていて。私にとってはフルタイムで働くほうが生活にもメリハリも出て、いいみたいです」

男性が多い就業先でも、子育てに理解のある環境がありがたい

勤務時間のことだけではなく、仕事の環境変化も前田さんにとってはありがたい面が大きかった。現在、従業員数30名中女性は前田さんひとりだが、同世代の子育て中の男性が多く「児童手当の制度が変わったね」「今、手足口病流行ってるよね」など共通の話題で盛り上がれるそう。

「パートタイムで仕事をしていたときは、子どもが立て続けに熱を出す“洗礼”がやってきて、毎回“子どもが熱を出したので早退します”と頭を下げるのが苦しかったのですが、今の就業先では男性も同じようにお子さんの急病で早退する方がいるので。私が早退するときも共感してもらえる雰囲気があって助かっています」

急な早退やお休みに備えて、仕事でどのような対策が必要なのかもわかってきた。

「出社しないとできない作業は、午前中の早い時間にやるようになりました。リモートワークも可能なので、園からお迎え要請があった場合も持ち帰れる仕事しか残っていなければ自宅で対応できます。何日もお休みしないといけないときには、夫とも協力しながら対応しています。お互いの仕事の様子も伝えながら、私が繁忙期なら夫に休んでもらうこともあります。きょうだいがいると、弟が元気になったと思ったら兄が熱を出すとか感染症リレーもあるので」

「やりたいこと」を書き留めることで自分時間が充実

予想外の事態が発生するのが子育て。そんなときに余裕を持って対応するためにも、前田さんが心がけているのが「仕事・子育て・自分時間」のバランスをとること。

「月に1、2日は、推し活だったり、友達との食事だったりで、朝から夕方まで単身で出かける時間を持つようにしています。もちろん家族で出かけることもありますし、電車とか昆虫とか私が子どもの趣味につきあうこともありますけど、“それとは別にママには好きなものがあって、ママだけの世界がある”ということは子どもたちにも伝えています」

「子どもが小さいうちは子どもを何より優先するべき」という声もまだまだ聞こえてくる。それでも前田さんが「自分時間」を大切にするのは、結果的に子どもや家族のことを考えているから。

「“自分の人生は、自分のもの。子どもの人生は、子どものもの。それぞれの人生が交わるのが家族。人格もそれぞれなので、どうしてもわかり合えないところもあるけど、なんとか仲良くやっていこう!”というのがわが家の約束なんです。そのためにも、それぞれの好きなものを大事にしていくことを心がけています。家族ごとのスタイルがあって、子どもと長く一緒にいるほうが幸せという方もいると思うので、これはあくまでわが家のスタイルですけど、親である自分の幸せや満足感が子どもや子育てに影響すると私は考えています」

とはいえ、多忙な日々をすごしていると「自分が何をやりたいのか」「何が好きなのか」を忘れがちになり、いざ時間ができても何をしていいのかわからなくなることも。そこで前田さんは「やりたいことメモ」をつけるようにしている(一番上の写真)。

「フルタイムの仕事を始めたときから続けているんですが、“あそこに行きたいな”“これやってみたいな”と思ったことを書き留めているんです。疲れたときに見返すと“今度の自分時間にこれができるから頑張ろう!”と日常生活のモチベーションにもなります」

自分時間を持つことは、仕事でもプラスに働いている。

「自分時間で新しい世界に触れることで、広い視野が保てている気がします。趣味つながりで新しい人との出会いも多いので、コミュニケーションスキルも磨かれているのは、仕事での人間関係にもつながっていますね。新しい世界にワクワクできる気持ちはさまざまな面で活かされていて、来年上の子が小学生になるのですが、“小1の壁”を心配するよりも、子どもと一緒に新たな世界に踏み出せることが楽しみで仕方ないんです!」

鍵盤を触るだけで癒される電子ピアノ

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中学生までピアノを習っていた前田さんが、大学時代にバイト代を貯めて購入した電子ピアノ。「もともとはクラシックを弾いていましたが、最近は子どものリクエストでアニメソングを弾くほうが多いです。疲れたときに鍵盤を触るだけでも気持ちが落ち着くんですよね。子どもがおもちゃの自動車を走らせていることもありますけど(笑)、“お母さんの大事なものなんだよ”と伝えています」

ライター:古川 はる香(ふるかわ はるか)

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