データ管理のためにAccessを使うことになったけど、なんだか難しそう。Excelのほうが、わかりやすいし使いなれているから、効率よく作業できるような…。このコラムでは、このようなAccessの疑問や困りごとにお答えします。

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Access使うことになったけど、Excelじゃダメ?

使いなれているのはExcelだから…。

ExcelとAccess、この2つは、そもそもソフトウェアの「目的」がまったく異なります。Excelは、表計算ソフト。Accessは、データベース管理ソフトです。

目的が違うはずなのに、Excelが選択肢に挙がってしまうことがあります。

それはExcelがたいへん優秀なソフトで、「表計算」という目的を超えて、できることが多すぎるからです。とても自由度が高いので、がんばれば何でもできてしまいがちですよね。

たとえば、Wordは文書作成を目的としたソフトウェアで、印刷や体裁を整える機能が豊富なのに、Excelで文書作成している場面、見たことありませんか?Excelでも、それらしいものが作れてしまうからですよね。

Point

データベースも、ざっくり言えば「データの管理」なので、Excelにもできそうに思えてしまいます。

しかし、データ管理とは、かんたんなように見えて、実はとっても難しいものです。なんでもできそうなExcelでも、実は大量のデータ管理には、向いていないことのほうが多いんです。

「データ管理」って、具体的にはどういうこと?

大量のデータ管理に適しているデータベース。それは、「整理整頓されたデータが大量に集まったもの」のことを指します。具体的には、

・利用しやすいシンプルな形で
・整然と
・長期的に
・大量に

このような形でデータを蓄積させて、そのデータを活用することが目的です。

しかし、これが非常に難しく、きれいな土地でも放っておくと雑草だらけになってしまうみたいに、データはすぐに散らかってしまうのです。そのため、データベースの管理には、入力するデータの場所、データの種類などルールを設定して監視する機能が求められます。そこで、ルールを3つご紹介します。

ルール1
データは決まった場所に入れる

データベースは、まず管理者が「テーブル」と呼ばれるデータを収納する建物を作ります。テーブルは表の形をしているのでExcelのシートと見た目が似ていますが、性質が全く異なります。

管理者が「この列(フィールド)には、このデータが入ります」というルールを設定し、利用する側はそこにしかデータを入力することができません。場所が決まっているので、データが「散らかる」ことを防ぐことができます。

・・・

Excelのシートは、誰でも作れて、増やせて、好きなセルに好きなデータを入力できます。自由度は高いですが、人それぞれの使い方に依存するので、時間が経つほどにデータは散らばって、探す・集める作業が発生してしまいます。

ルール2
データの種類を統一する

テーブルのフィールドには、入力するデータの種類を設定します。たとえば、「数値」と決めたフィールドには数値と判定できないデータはエラーとなり、入れることができません。

このため、日付のフィールドには必ず日付が、数値のフィールドには必ず数値が入っているというデータの信頼性が上がり、計算や並び替えの効率が向上します。

・・・

Excelでは、セルに入れるデータの形式は自由です。数値にしておきたいセルに誤って数値ではないデータを入れてしまうことができるため、計算や集計に不具合をきたす可能性があります。

(もちろんExcelでもセルに入力規則を設定することはできますが、規則を解除するのも容易なため、信頼性は高くありません)

ルール3
データを大量に蓄積する

データベースのテーブルは、色やフォントの種類・大きさといった書式の設定が存在しません。最低限の容量で、データを大量に蓄積することが目的だからです。そのため検索も得意で、非常に速く処理できます。

・・・

Excelはセルの1つ1つに便利な機能をたくさん持っているため、大量のデータを蓄積するのには向いていません。PCのスペックにもよりますが、数万行を超えると、動作が遅くなったり、フリーズしたり、といった問題も多くなってしまいます。

それぞれの得意分野

以上のように、データベースでのデータ管理は、大量に、長期的に、整然と蓄積していく設計になっています。ルールが厳格で融通が効かないように感じられるかもしれませんが、ルールが徹底されているからこそ、誰が入力しても、決められた形を維持していくことができるんです。

Excelは自由度が高すぎてルールの厳守が苦手です。データベースとしてデータを蓄積していくのには向いていません。しかし、自由なレイアウトで、好きなセルに好きなデータを入力できる特徴こそがExcelの最大の魅力でもあります。

この2つはお互いの得意分野が違って、Accessの得意分野はデータの管理、検索、集計です。Excelの得意分野はデータの計算、視覚的な活用です。

まるで、数字に強くて几帳面だけど絵が苦手なオペレーターと、プレゼン上手だけど整理整頓が苦手な営業スタッフみたいですよね。

それぞれの特徴を理解して、データの管理はAccessで行い、必要なデータを検索して取り出したものをExcelで活用する、といった使い方をすると、お互いの「いいとこどり」ができるのです。

データベース管理に向かないデータ群もある

さて、ここまでデータベースの有用さについて書きましたが、なんでもデータベースを利用すれば便利になるわけではありません。

Point

データベースは、大量のデータを長期的に整然と管理していくためのものなので、逆に言えば、以下のようなケースでは無理にデータベース化する必要はありません。

・データの量が少ない
・データの増える頻度が少ない
・データを利用する人数が少ない

Excelでの管理は、データの活用度はデータベースより低くても、誰でも使えてわかりやすい、というメリットがあります。

今の管理で困っていなければ、無理にデータベース化するとかえって大変になることも十分ありえます。「データベース化に向いてない業務もある!」ということも、留意しておきましょう。

・・・

いかがでしたか? 「わからない」を「そうなんだ!」に変えて、ちょっとでもAccessへの苦手意識を軽減できたら幸いです。

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コラム執筆とイラスト:今村 ゆうこさん
Excel、 Accessなどの書籍を執筆し、事務系プログラマー・ブロガー・ライターとして活動するワーキングマザー。著書のイラストや図解も手掛けている。著書には、『業務アプリ作成のための Access VBA 実践サンプル集~仕事の現場で即使える』『Excel & Access 連携実践ガイド ~仕事の現場で即使える』『Access 実践マスターガイド~仕事の現場で即使える』(以上、技術評論社)など多数。

ブログ
https://ateitexe.com/
YouTubeチャンネル
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