
Excelの困りごとを解決するこのコラム。
今回のテーマ:IF関数の基本
「Excelを基礎から学びたい」といった声を多くいただきます。そこで今回は、押さえておきたい関数の一つ【IF関数】について。どのようなときに使えるのか。式には何が書かれているのか。一つずつ、わかりやすく解説します。
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「Aなら○、それ以外は×」を毎回手で分けている…
次のようなご質問をいただくことがあります。
顧客区分がAのときは割引率を20%、それ以外のときは割引率を10%にしています。今は手作業で入力し分けていて面倒です。これはどうにかならないでしょうか。
という内容です。
このように、
・~のときは
・~だったら
・~の場合は
という言い回しで説明される作業はすべて、「IF関数」を使うことで楽に済ませることができます。
「IF関数」とは?
たとえば、以下の図のように、「C2セルの値がAのときはD2セルに20%、そうではないときはD2セルに10%を表示させたい」という場合。

次の式をD2セルに入力。
=IF(C2=”A”,20%,10%)
そうすることで、C2セルの値が条件に一致するかどうかを判定して自動で割引率を表示してくれるとても便利な関数が「IF関数」です。

IFは「もし」という仮定を意味する英単語ですね。
その名の通り、「~だったら」というこのような条件によって処理を分けることを「条件分岐」などと呼びます。
ではこの式を「割引率を表示したいセルに入力する式」として意識しながら、日本語訳してみましょう。

『もしC2セルがAだったら、20%を返す。そうじゃなかったら、10%を返す』
Check!
「返す」とは?
大事な基本として、「式」や「関数」は「何かの答えを出すもの」です。この「式が答えを出す」ことを、答えを「返す」と呼ぶことが多いので、覚えておいてください。
IF関数の基本を押さえるためには、まず「論理式(ろんりしき)」と呼ばれる式を理解する必要があります。
「論理式」とは?
Excelでは、セルの先頭に半角でイコールを入力するとそれは「式」になります。そして、「式」は必ず「答え」を返します。
たとえば、

と入力したセルには、この式の計算の答えとして「2」という値が表示されます。このように、式の答えは普通、1つに決まります。
ところが、「論理式」と呼ばれる式は、「条件によって答えが2つに分岐する」という式なのです。どういうことなのでしょうか。
この論理式というものを理解するために、まずは、この論理式を入力するための「比較演算子(ひかくえんざんし)」について説明します。
「比較演算子」とは?
そもそも「演算子」とは、式を作るときに使われる記号のことです。たとえば、Excelで四則演算の式を入力するには、次の4つの演算子を使います。
演算子
【1】+
足し算をするための演算子
【2】-
引き算をするための演算子
【3】*
掛け算をするための演算子
【4】/
割り算をするための演算子
一方、論理式という種類の式に使う演算子は「比較演算子」といって、次の6種類があります。
比較演算子
【1】=
左辺が右辺と等しい
【2】>
左辺が右辺より大きい
【3】<
左辺が右辺より小さい
【4】>=
左辺が右辺以上
【5】<=
左辺が右辺以下
【6】<>
左辺が右辺と等しくない
このように、論理式では、算数でいうところの等号、不等号が使われます。
ではこの比較演算子を使った論理式の実例と、その論理式がどのような答えを返すのかを見ていきましょう。
「比較演算子を使った論理式」とは?
たとえば次の式。

この式を日本語訳すると『C2セルの値はAである』ということになります。
続いて次の式。

この式であれば、『A2セルの値は80以上である』ということになります。
そして、論理式は、「その式が言ってることが正しいかどうか」を判定した結果を出してくれるものなのです。
たとえば以下の式の結果は、

『C2セルに入っている値がAであれば、この式の言ってることは正しい』ということになります。
一方、『C2セルに入っている値がAでなければ、この式の言っていることは間違っている』ということになります。
この式の言っていることは「正しい」「間違っている」とき
「言っていることが正しい」ときは、論理式はセルに「TRUE」という値を返します。一方、間違っているときは「FALSE」という値を返します。
このように、論理式が出す答えは、状況によって「TRUE」と「FALSE」のいずれかに分かれるという特徴があります。

そしてこの「TRUE」という答えは日本語では「真」(しん)と呼びます。一方の「FALSE」という答えは日本語では「偽」(ぎ)と呼びます。
なぜわざわざこのような日本語訳を紹介したかというと、IF関数の説明において「真の場合」「偽の場合」という表現が出てくるためです。
Check!
「真」=「TRUE」、「偽」=「FALSE」
ではいよいよIF関数の構造を理解していきましょう。
「IF関数の構造」を理解する
冒頭に紹介した次の式

括弧の中では、カンマで区切られて3つの引数(ひきすう)がありますね。
Check!
引数とは?
関数の括弧の中に指定する情報のこと。複数ある場合はカンマで区切って指定していき、1つ目から順に第一引数、第二引数…と呼ぶ。
これは実は次のような構造になっています。

この構造を理解いただくために、ここまで論理式と、その答えである「真」(TRUE)と「偽」(FALSE)について説明してきたわけです。
まず文章でこの構造を説明します。これは次のような挙動を示しています。
・第一引数の論理式の結果がTRUEになる場合(真の場合)は、第二引数に指定した処理を実行する
・第一引数の論理式の結果がFALSEになる場合(偽の場合)は、第三引数に指定した処理を実行する
図にすると以下のイメージです。

第一引数の論理式は「C2=”A”」となっています。この論理式の結果がTRUEになる場合、つまりC2セルにAが入力されている場合は、IF関数の第二引数である「20%」という値がこのIF関数の結果としてセルに返ります。
一方で、この論理式の結果がFALSEになる場合、つまりC2セルの値がAではない場合は、このIF関数の第三引数である「10%」という値がこのIF関数の結果としてセルに出てきます。
IF関数の基本 まとめ
このように、条件によって処理を分けることを「条件分岐」と言います。
この条件分岐の最も基本になるのが今回ご紹介したIF関数で、Excelで実務を行ううえで頻繁に使われる、基礎的な関数のひとつです。
このIF関数のおかげで、条件ごとの割引率を自動で出す、など今回ご紹介したような事務処理を効率化できるとても便利な関数です。
やりたいことを自分で言語化したときに
・~のときは
・~だったら
・~の場合は
といった言い回しが出てきたら、これはIF関数でできるはず…と思い出して、活用してみていただきたいと思います。
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