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プログラマの「作業」をAIで効率化:Amazon Q

プログラマのメインの仕事は「プログラムを作る」ですが、それ以外にもさまざまな「作業」が伴うもの。今回は、その「作業」の効率化を支援する【Amazon Q】をご紹介します。何が便利で、今話題になっているのか。特徴を見ていきましょう。

プログラマがやりたいことと細かな「作業」

プログラマにとって、メインの仕事は「プログラムを作ること」でしょう。当たり前のことだと思われるかもしれませんが、実際には「プログラムを作ること」が占める時間はあまり多くありません。

実際には、仕様を考えて設計書を作成したり、開発したプログラムをテストしたり、といった仕事も含まれます。もちろん、新しい技術を学んだり、会議に参加したり、といったこともあるでしょう。

上記は比較的長い時間がかかるものですが、短時間で終わるような細かな「作業」といえる仕事もたくさんあります。

細かな「作業」の例

・他人が読みやすいようにソースコードにコメントを追加する
・テストした結果をドキュメントとしてまとめる
・関数の使い方を調べる
・書いたソースコードをリファクタリングする など

一つひとつの作業はそれほど時間がかからなくても、これらが積み重なることで、細かな「作業」が長い時間を占めてしまうことも。

「プログラムを作る」というメインの仕事があり、それを実現するためにソースコードをどんどん書きたいにも関わらず、その周辺の作業でそれなりに時間を取られてしまうのです。しかも、メインの仕事のようにクリエイティブなものではなく、あまり頭を使わずに作業のように進めている、という人も多いかもしれません。このような仕事は自動化したいものですが、それほど規則性があるわけでもなく、自動化は難しいものでした。

そんな中、さまざまなAIサービスが登場し、楽をできるようになりました。その代表例が今回紹介する「Amazon Q」です。

Amazon Qとは?

Amazon Qは2023年に発表され、2024年4月末に一般提供された生成AIアシスタントです。「Amazon Q Business」「Amazon Q Developer」「Amazon Q in QuickSight」「Amazon Q in Connect」など複数のサービスで構成されており、さまざまな作業を簡単に実行できます。

これらのサービスの中から、今回はプログラマなどの開発者向けのサービスである「Amazon Q Developer」を取り上げます。以下、この記事内では「Amazon Q」と書いた場合はこの「Amazon Q Developer」を指すものとします。

Amazon QはWebブラウザでも使えますが、JetBrainsのようなIDE(統合開発環境)やコマンドラインでも使えます。また、Slackのようなチャットから呼び出すこともできます。

Amazon Qのメリットとデメリット

■メリット

Amazon Qが便利なのは、IDEやVS Codeのようなソフトウェアにプラグインという形で統合できることです。専用のソフトウェアを導入すると、これまでの開発環境と切り替えて使わなければなりませんが、プラグインとして統合されていることで、1つのソフトウェアとして使えます。

さらに、開発に特化したメニューが用意されていることが特徴です。ChatGPTをはじめとした生成AIを使うと便利ですが、毎回プロンプトを入力しなければならないのは面倒です。決められた指示を出すのであれば、それをマウスなどで操作できると便利です。

詳しくは、7月下旬に掲載する別記事「Amazon QをVS Codeにインストール。手順や操作画面は?」で解説しますが、ソースコードの修正や最適化、ソースコードの入力の自動サジェスト、セキュリティスキャンなどさまざまな便利な機能を、手間をかけずに実行できます。

Amazon QをVS Codeにインストール。手順や操作画面は?

 

■デメリット

現時点でのデメリットもあります。それは、日本語への対応状況です。チャットを使ってソースコードを自動的に生成するなど、さまざまなやり取りが可能なものの、英語での指示が必要です。これは今後の日本語対応によって解消されるはずです。

まとめ

Amazon Qは、プログラマの作業効率を大幅に向上させる生成AIアシスタントです。VS Codeなどの開発環境に統合することで、日常の繰り返し作業を自動化し、よりクリエイティブな作業に集中できるようになります。今後の日本語対応にも期待が持てるため、プログラマにとって必見のツールと言えるでしょう。

*Amazon Qについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。

【筆者】増井 敏克さん
増井技術士事務所代表。技術士(情報工学部門)。情報処理技術者試験にも多数合格。ビジネス数学検定1級。「ビジネス」×「数学」×「IT」を組み合わせ、コンピュータを「正しく」「効率よく」使うためのスキルアップ支援や、各種ソフトウェアの開発、データ分析などを行う。著書に『Pythonではじめるアルゴリズム入門』『図解まるわかり プログラミングのしくみ』『「技術書」の読書術 達人が教える選び方・読み方・情報発信&共有のコツとテクニック』(翔泳社)、最新刊の『データ分析に強くなるSQLレシピ 小規模データの前処理・分析の書き方&テクニック』(インプレス)がある。

※本記事に記載されている会社名、製品名はそれぞれ各社の商標および登録商標です。
※本稿に記載されている情報は2024年6月時点のものです。

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