SQLは、関連データベース(リレーショナルデータベース)を操作するときに使われる言語です。
初心者のうちは、「頑張って全部覚えないといけない!」と、張り切りってしまいがちです。しかし、基本情報の試験はデータベース以外のジャンルもボリュームがあり、経験のない人や、データベースにさほど興味のない人が正攻法で学ぶには、少し大変な部分でしょう。
実際の試験内容に関する勉強は、専門書にお任せするとして、今回もSQL学習の「トッカカリ」となるようなお話をすることにします。

SQL攻略の準備体操。
SQLとは
SQL(Structured Query Language)とは、関係データベース(リレーショナルデータベース)を操作するための言語です。DBMSは、その命令を受けて、データベースを操作します。
SQLでは、基本的に4つのことしかできません。①新しく増やすこと(CREATE/INSERT)、②消すこと(DROP/DELETE) ③変更すること(ALTER/UPDATE) ④取り出すこと(SELECT)です。それぞれ、一つずつ見ていきましょう。
①新しく増やす(CREATE/INSERT)
CREATE DATABASE…データベースを作る
CREATE TABLE…表(テーブル)を作る
INSERT…行(レコード)を追加するデータベースや表(テーブル)を作ったり、行(レコード)を新しく増やすことができます。データベースや表のときは「CREATE」、行のときは「INSERT」というコマンドを使います。
②消す(DROP/DELETE)
DROP DATABASE…データベースを消す
DROP TABLE…表(テーブル)を消す
INSERT…行(レコード)を消す消す場合は、「DROP」と、「DELETE」を使います。
③変更する(ALTER/UPDATE)
ALTER DATABASE…データベースを変更する(名前や権限などを変更)
ALTER TABLE…表(テーブル)を変更する(カラムや名前などを変更)
UPDATE…行(レコード)を上書きするデータベースや、表の名前などを変更したい場合は、ALTERを使います。データベースの中身はテーブルであり、テーブルの中身はレコードなので、「データの内容を上書き」することはできません。変えられるのはあくまで「スキーマ(構造)」です。テーブルの中身を丸ごと上書きできたら便利なような気がしますが、そうした場合は削除して作り直します。
データ自体の中身を変えたいときは、レコードに対する命令としてUPDATEを使う必要があります。
④取り出す(SELECT)
SELECTで、さまざまな取り出し方ができます。関係データベースにおいて、SELECTできることは、最もメリットが感じられるコマンドでしょう。
取り出しと対象となるのは、行(レコード)です。データベースや、表を取り出しはしません。また、実際は、列(カラム)単位で抜き出したり、表を合体させることもありますが、それは、対象となるレコードの該当する列を抜き出しているので、やはり行に対してしか命令できないのです。
SELECT文の基本
SELECT文の基本は「〇〇テーブルから、××列を取り出す」です。一番シンプルな形式は、以下のように書きます。
SELECT ×× FROM ○○
以下のような「住所録テーブル」から「社名」の列を取り出したいのであれば、このようになります。
SELECT 社名 FROM 住所録
これを基本として、条件をいろいろと付け足していきます。
たとえば、特定のレコードだけを取り出したい場合もあるでしょう。「住所録テーブルから、社名がフンボルト社と合致する行を取り出す」場合は、以下のように書きます。
SELECT * FROM 住所録 WHERE 社名='フンボルト社'
SELECTのところが「*(アスタリスク)」となっているのは、「全部取り出す」ことを意味しています。そして、社名がフンボルト社であることを指定するために「WHERE 社名='フンボルト社'」という条件を加えています。
試験によく出るのはSELECT文
説明の順番として、作る、消す、変更する、取り出しの順番で説明しましたが、じつは、一番試験で登場するのは、「SELECT」です。いろいろな取り出し方をするので、コマンドも多くなっています。
データベースでは、このほか、並び替えたり、表と表を合体させたりしますが、すべてSELECT文の一種です。日本の動物園や水族館で飼育されているペンギンのうち、大半は「フンボルトペンギン」という種類なのですが、SELECT文の問題もフンボルトペンギンと同じくらい多いのです!
ニャゴロウ先生のまとめ
データベースの基礎について、全3回で説明してきました。データベースとはどのようなものなのか、掴めてきたでしょうか。
データベースは、現在、システム構築をするうえで、なくてはならない知識です。実際にSQL文を書くプログラマや、設計する人はもちろんのこと、マネジメントをする人や、運用する人も知っておかねばなりません。
試験で問われる内容は、SQL文が中心ですが、試験を機に「データベースとはどういった役割なのか」を押さえることが、実務のスキルアップにも
繋がります。

技術ライター、イラストレーター。システム開発のかたわら、雑誌や書籍などで、データベースやサーバー、マネジメントについて執筆。図を多く用いた易しい解説に定評がある。主な著書に『なぜ?がわかるデータベース』(翔泳社)、『図解即戦力 Amazon Web Serviceのしくみと技術がこれ1冊でしっかりわかる教科書』『ゼロからわかるLinuxサーバー超入門 Ubuntu対応版』(技術評論社)、『仕組みと使い方がわかる Docker&Kubernetesのきほんのきほん』(マイナビ出版)がある。
※本記事に記載されている会社名、製品名はそれぞれ各社の商標および登録商標です。