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自分が感じた“ときめき”を大切に。JAXAで宇宙開発の広報にたずさわる

世の中には、普通に生活していると接点のもちにくい業界の仕事もたくさんある。20年以上、派遣スタッフとして働いてきた野村かをりさん(45)は、ひょんなことから宇宙航空研究開発機構(JAXA)の広報部の仕事にたずさわることになった。未知の分野に対して、抵抗はなかったのだろうか。仕事を選ぶうえで大切にしていること、現在の働き方についてうかがった。

派遣スタッフとして20年、仕事選びも柔軟に

「仕事の選び方ですか?……うーん、自分がそのお仕事の話を聞いて、ときめけるかどうか、ですかね」

とてもやわらかい雰囲気が印象的な野村さん。20年以上、派遣スタッフとして働いてきた経験の持ち主である。秘書や事務アシスタント、広報など、サポート職を中心にさまざまな職場でキャリアを重ねてきた。

現在は都内で夫と、愛猫のスコティッシュフォールドと共に暮らしている。これまで、夫が転勤になったときは短期間の仕事に切り替えるなど、働き方を柔軟に変えてきたそうだ。

自分が“ときめける”かどうか――。求人内容をサイトで閲覧したとき、お仕事紹介担当から職場についての説明を受けるとき、企業訪問を行い、実際に社員の方と会話したとき。

どのタイミングでもいい。ちょっとでも「私はこの仕事をやってみたい」と思えること。その感覚を大事に、仕事を選んできたという。

そんな野村さんが最近“ときめいた”のが、現在就業中のJAXAの仕事だった。

はじめて触れた「宇宙開発」の仕事の奥深さ

JAXAのことは知っていたものの、宇宙に特別な興味があったわけではなかった。彼女が最初に就業を開始したのは、相模原にあるJAXAの宇宙科学研究所。仕事は研究者の秘書だった。しかしいざ応募し、就業先について詳しく知ったとき、「果たして自分に務まるのか」と不安になったという。

「宇宙なんて、自分とはかけ離れた世界だとずっと思っていたんです。何ひとつ知識はないけれど、大丈夫かな……と」

しかし野村さんは、その仕事に触れていくうち、少しずつ宇宙の奥深さに興味を持ちはじめる。

研究所での業務は一度終えたが、しばらくしてからまた、「もしかしたらJAXAの仕事かな」という求人を見つけ、応募することにした。今度は御茶ノ水にある東京事務所、広報部の仕事だった。

「一般の企業とは、ちょっと向いている方向が違うんですよね。利益を追求するのではなく、みなさんが一丸となって、宇宙開発という壮大なテーマに向かっているのを感じました。それが、今まで働いてきた会社とは違って新鮮だったんです」

もう一度、ここで働いてみたい。そう感じた野村さんは、再びJAXAで働きはじめた。

忙しくても、風通しがよい職場環境に満足している

野村さんは現在、広報部の一員として、メディア対応などの業務を担当している。広報の仕事は、彼女自身もはじめての経験だった。やはりロケットの打ち上げが重なる時期は、一気に仕事も忙しくなるという。

「働き出してからはじめて経験したのが、宇宙飛行士・大西卓哉さんが国際宇宙ステーションでの長期滞在にむけて搭乗した、ソユーズ宇宙船の打ち上げだったんです。でも忙しすぎてTV中継も見られませんでしたし、対応に追われていたらいつの間にか終わってしまっていて(笑)」

きっと中には大変なこともあったはずだが、仕事のことを話す野村さんはほがらかだ。その大きな理由は、どうやらJAXAの職場環境にあるらしい。

「ベテランと新人、正社員と派遣スタッフなど、全然垣根がないんですよね。新卒で入ってきた社員さんの意見を取り入れ、新たなプロジェクトがはじまったりすることもあるので驚きました。とても風通しがよく、気持ちよく働ける職場です。社員の方も、本当にステキな方が多いですね」

特に現在の事務所では、女性が多く活躍しているのだそう。正社員と派遣スタッフの分け隔てがなく、日々の仕事からも刺激を受けることができるため、今の仕事の満足度は120%だという。

仕事と趣味と、バランスを取りながら居心地のいい生活を

今の生活や仕事に満足しているという野村さん、実はサッカー観戦が趣味。彼女の雰囲気とはギャップがあるように思えるが、昔から海外リーグの試合をチェックするなど、筋金入りのサッカーファンである。

同じ職場で働く管理職の方は、野村さんと一緒にサッカー観戦をしたことがあるそう。「もう普段の雰囲気とは全然ちがうんですよ、はじけ方が(笑) ちょっと驚きましたね」

そんな彼女の姿を知っていたからか、あるとき、彼女が大ファンだという川崎フロンターレと、JAXAがコラボレーションしたイベントが行われたとき、管理職の方が野村さんに観戦しないかと声をかけてくれたこともあるのだとか。

和やかにそんな会話を楽しむ2人の間に、確かに派遣スタッフだから……という“区別”があるようには見えなかった。

「たぶん、仕事をしていないとつまらないと思うんですよね。いつまで続けられるかわからないですが、仕事をしていた方が自分の居心地がいいというか。できたらずっと、働くことは続けていきたいなと思っています」

身の回りのものはかわいらしいものを選んでいる

メモやふせん、ペン、指サックなど、可愛らしいステーショナリーをたくさん持っている野村さん。休日にショッピングに行き、ちょこちょこ買い集めるのが好きなのだそう。

「自分の身の回りのもの、毎日使うものはできるだけかわいくしておきたいんですよね。文房具なら、それほどお金もかからないですし(笑)メモをわたす相手の方にも、ちょっとほっこりしてもらえたらうれしいなと思って」

秘書や事務アシスタントなど、周囲の人をサポートする仕事が好きだという、野村さんらしい心遣いだ。

ライター:大島 悠(おおしま ゆう)
カメラマン:刑部 友康(おさかべ ともやす)