好きなことを仕事にしたい。好きな会社で働きたい。そうはいっても、叶えるのはムリだよね――。多くの人は、そう思っているかもしれない。しかし、本当にそうなのだろうか?自分の気持ちに素直に、ときにはワガママになったっていい。高橋真理子さんは、社会に出てから長年にわたり、自分自身が大事にしたいことを軸にして仕事を選んできた。

「自分が提供できるもの」を探し、大事に育ててきた

シェル・シルヴァスタイン作の『おおきな木』(訳:ほんだきんいちろう, 篠崎書林)という絵本をご存じだろうか。主役である1本の木が、出会った一人の少年に次々と「自分が提供できるもの」を渡し続け、自身が深い幸福を味わう姿を描いた有名な作品である。

「この木のような人になりたい」――高橋さんは小学生のときにこの絵本に出会い、そう思ったそうだ。

彼女が現在派遣スタッフとして就業する株式会社東発は、築地から日本全国の地方市場に生鮮食品などを配送している老舗物流企業。その管理部で事務の仕事に奮闘するかたわら、さまざまな個人の活動を行っている。ときには産業カウンセラー・キャリアカウンセラーとして個人カウンセリングを提供したり、ときにはオリジナルブレンドのハーブティーを販売したり……。

「自分が周りの人たちに提供できるものは何か」。そう考え続け、高橋さんが多様なキャリアの中で育ててきた“芽”は、今「パラレルキャリア」という形で実現しようとしている。

自分が好きなもの、好きな会社で働きたかった

大学を卒業し、最初の就職先を決めたときから、高橋さんの仕事・会社選びの軸は明確だった。

「とにかく自分の好きなことしか仕事にしたくなかったんです。雇用スタイルにこだわりはありませんでした。私にとっては、どこで働くか、どんな人たちと働くかの方が重要で。自分が好きなものを仕事にしている人たちと、日々一緒に過ごしたいなと思っていました」

大好きな映画や本をつくっている映画関係の会社や出版社にはじまり、食品関係の会社、カラーセラピストやハーブショップなどまで。その中には派遣スタッフとして働いた職場も、たくさんあった。

これまで重ねてきたキャリアは、高橋さんが自分自身の好奇心や、好きなものに対して素直に行動してきた軌跡でもある。

ターニングポイントとなった「ハーブ」との出会い

そんな高橋さんにとって一つの転機になったのは、子どもの頃から興味をもっていた「ハーブ」の仕事だった。2010年、アロマやハーブを扱うショップで働きはじめたのをきっかけに、高橋さんはより一層、ハーブの魅力に引き寄せられていく。

「一つひとつのハーブに、とにかくいろいろなストーリーがあるんです。特徴や効能だけじゃなくて、この国の神話のこんなシーンに登場する、とか。それをお客様にお伝えできることが楽しいと感じるようになりました」

派遣の仕事と個人の活動、パラレルキャリアを実践

高橋さんがその後、産業カウンセラーの勉強をはじめたのも、ハーブショップでの経験がきっかけだった。ハーブティーはノンカフェインのため、妊娠をきっかけにショップを訪れる女性が多いという。そして彼女たちの多くが、キャリアやライフステージに対して深い悩みを抱いているのだそうだ。

「多くの女性からそうした話を打ち明けられるうちに、もっとお客様の悩みに寄り添い、受け止められるようになりたいと思いました。そうしたカウンセリングを通して、一人ひとりに合ったハーブを提供していきたいなと」

何より高橋さん自身も、派遣スタッフとして働く中で、営業担当の手厚いサポートに対し、感謝の気持ちを抱いた経験が何度もあった。働くことそのものを支えてくれる人の存在が、とても心強かったという。

「派遣スタッフとして働いていると、多くの方に支えられているのを感じるんです。だからこそ私も、今後は働く人を応援していきたいと思っていて。そのために自分ができること――ハーブのブレンド・販売やカウンセリングを、今度は私からみなさんに提供していきたいんですよね」

折しもいま、新たな働き方として「パラレルキャリア」が社会的に注目されるようになっている。ハーブにまつわる活動、個人でのカウンセリング、そして派遣スタッフとしての仕事————。それなら今の自分にもできるかもしれない。そう感じている。

かつて憧れた『おおきな木』の物語のように。高橋さんが長年積み重ねてきた想いとともに踏み出した“一歩”は、この先、きっとまた新たな道につながっていくはずだ。

書き込みがびっしり! 手帳やクロッキー帳は必須アイテム

「私、とにかく“メモ魔”なんですよ!」と笑う高橋さん。毎年、カバーを自作しているという手帳やクロッキー帳には、どのページにもすみからすみまで、びっしりとカラフルな書き込みが。

「手帳には予定の他、その日にあったことや読んだ本の感想、こまごまとしたメモを書いています。クロッキー帳は考えをまとめたいときや、商品のアイディア出しをするときなどに使っていますね。手帳のカバーは、私自身の今年の目標とつながりのあるカラーや、模様を取り入れて作るようにしています」

また、メモ帳やクロッキー帳の表紙を彩るイラストは、高橋さんの仕事や働き方を応援してくれているご友人が好きなものなのだそう。

「なかなか会えないのですが、イラストがパッと目に入ると、友人たちの言葉を思い出してがんばれるんです。だからいつも、欠かさずに持ち歩いて勇気をもらっています」

ライター:大島 悠(おおしま ゆう)
カメラマン:刑部 友康(おさかべ ともやす)

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