キャリアが浅い若者にとって「自分の目指す道が見えるか」ということは大きな問題だ。本多佑里恵さん(25)も、より自分らしく働ける環境を求めて仕事を変えたひとり。独立の道を目指す彼女に、仕事への価値観や憧れの働き方について聞いてみた。

多くの「働き方」と出会えたインターンシップ経験

「想いのある人とつながりたいんです」インタビュー中、本多さんは何度もくり返した。その言葉通り、彼女の仕事は常に「想いを持つ人」によってもたらされている。

高知で育ち、大学時代を兵庫で過ごした本多さんは、経営者の考えがダイレクトに伝わってくるベンチャー企業に憧れ、東京で就活。採用コンサルティングの企業に内定をもらう。人事の仕事を裏側で支え、企業と就活生をマッチングする仕事。人の可能性を引き出して、自分に素直に生きる人を増やしたいという思いで就職を決めた。

就活のために上京した大学四年の夏、彼女は『another life』というWebサイトの運営者と知り合った。“何かに情熱を捧げる24歳以上の人を紹介する”インタビュー記事を載せるそのサイトで、大学を卒業するまでインターンシップとして取材・記事執筆をやってみないかというオファーを受ける。

「半年間、画家やサロンの経営者、僧侶、女優からとうがらし農家に転身した人、多くの人を取材させてもらいました。それまで仕事は会社でやるもの、という概念しかなかったので、こんな働き方もあるんだ!という驚きの連続でした」

こうした経験を通して「自分らしく働きたい」という気持ちが、本多さんの中に芽生えた。

飛び込み営業もセミナー企画も。多忙な日々の先に

卒業して就職したのは、若手にもどんどん重要な仕事がまかされる小さな会社。最初は大手企業の採用コンサルティングの部署、8カ月後には新規事業の部署に配属された。

「企業と新卒学生をつなげる仕事で、部署は私と先輩社員の二人でした。中小企業に求人を求めて一日30件もの飛び込み営業をしたことも。面接対策セミナーでは学生の悩みを聞いたりしていました」

決して仕事が嫌いだったわけではない。体当たりの新規開拓営業やセミナー企画も、自分に向いていなかったとは思っていなかった。

ただ、仕事が忙しくなればなるほど、インターンシップ時代に取材をした、さまざまな働き方をしていた人々のことを思い浮かべる時間が多くなった。彼らのような「想いを持つ人」を、より近くで応援するような仕事に就きたいという想いが日に日に強くなっていく。悩み抜いた末、本多さんは会社を辞める。就職して1年3カ月だった。

キャリアもなく、何をしたいのかもわからない。それでも正社員での再就職は選ばなかった。自分がかつて出会った人々のように、私も前向きに輝いていたい。人の生き方に影響を与え、誰かが一歩前に踏み出そうとするとき、その背中を押せるような自分になりたい!

「正社員として就職して、同じ繰り返しになることが怖かったんです。派遣で働きながらフリーランスや起業を目指す人がいると知り、時間と収入を確保したうえで、独立のための勉強や準備をしようと思いました」

時間と収入を確保しつつ、ライター業やイベント運営

多忙だった正社員時代も、本多さんは出会いを外に求める努力を怠らなかった。時間を作って同郷の四国出身の人たちが主催するイベントに出向き、運営側のボランティアにも参加した。ヨガのインストラクターとファイナンシャルプランナーを両立させる女性など、ユニークな人たちが多かった。頼れる人のいなかった東京で、少しずつ人の輪が広がりはじめる。

「もともと誰とでもすぐ打ちとけられる性格。会社での飛び込み営業でも、訪問した会社の経営者に応援してもらったりしていました。関西で鍛えられた、いじられキャラです(笑)」

自ら起こす行動は、道を照らす光に変わる。今、本多さんは派遣先である食品メーカーの事務スタッフとして月曜から金曜まで働くかたわら、PRライター業務やイベントプロジェクトのリーダーとして活動している。いずれも、これまでに関わってきた人たちからの仕事だ。

インタビューの数日前、25歳の誕生日を迎えた本多さん。
「実は今年の誕生日、自分を導いてくれた人たちへの感謝祭のつもりで、セルフバースデーイベントを企画したんです。場所を借りてケータリングを頼んでドキドキしながら待っていたら、大好きな人たちが駆けつけてくれて。そのとき、仕事ではまだ何もできていない、でも想いのある人たちに囲まれてすごく恵まれていると感じられました」

道を探し当て、形にするまでの目標は3年。「自分らしい働き方」への一歩を踏み出すための土壌がようやく整った。

毎日のお茶も自分らしい感覚で選びたい!

サーモスの水筒は、500mL入りと大きめ。中身はお湯で、持参した紅茶やコーヒーをいれて飲んでいる。

「コンビニのペットボトルより、自分でいれたほうがおいしいですよね。あまりカフェインをとりたくないときはお湯をそのまま飲んでいます」

この日のお茶はピーチのフレーバーティー、そしてクッキー。「甘いものはあまり食べない方がいいと思いながら、好きなのでつい(笑)」午後のお腹がすく時間に食べているそうだ。

メガネはPC用のもの。度は入っていない。黒縁のはっきりしたフレームは、かけるときりっとした仕事の顔になる。

ライター:有賀 薫(ありが かおる)
カメラマン:刑部 友康(おさかべ ともやす)

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