仕事も家庭も、さらに家業や趣味もすべて満足のいくまで……。そう聞くと、私たちは疲れ知らずのスーパーウーマンを想像してしまう。力まずに成果を手にしているように見える人は、どういう考えを持っているのだろうか。週3日の勤務で会社に貢献する大きなプロジェクトをクリアしたばかりの梶原佐奈美さん(34)に話を聞いた。

子どもの入学を機に、フルタイムから週3日勤務へ

娘が小学校に入学した2年前、梶原さんは仕事の量を減らす方向へと生活をシフトした。 「仕事は細く長く。家のことにも、自分の趣味にも、もっと時間を使いたい」。フルタイムの仕事を辞め、2社目で出会ったのが、今の就業先の株式会社ジャパンビジネスラボだ。

出勤が11時と聞いたときには「子供が忘れものをしても持っていってあげられる時間だなって(笑)」。自宅から表参道までは銀座線で1本。理想の環境だった。

プライベートの時間をしっかり確保している梶原さん。この日も「朝6時に起きて都内のホテルで同僚と朝食、派遣先へ11時に出勤。17時に仕事が終わって帰宅したら、舅を神戸から呼び寄せるために自宅リフォームの打ち合わせ……。今日はフル回転ですね」。

夫が経営する会社の事務関係をサポートし、数年前にはじめた趣味の着物は今や先生について反物から縫うまでに。体がいくつあっても足りないのでは?と心配してしまうが「私は好きなことをやっているだけ。ごはん作りは主人がやっていますし、娘の世話もメインは主人。熱を出したと連絡を受けて娘を迎えに行ったら『パパがよかった』と言われちゃいました(笑)」と、無理がない。

仕事のせいで家事や育児が十分できないことにストレスを感じてしまう人も多いものだが「私の母が看護師で忙しかったせいか、子どもでもやれることは自分でやる、という感覚が身についているのかもしれません。だから夫や娘に対しての罪悪感は全くないですね。そのかわり、何かを頼まれたときは120%で応えます!」

自分の意志で仕事を勝ち取るというフリー気質

「もともとフリーランス気質なんです」という梶原さん。確かに、勤務時間や家事の分担に対する割り切り方がドライではっきりしているのも、成果が最重要というフリーランスの考え方に近いのかもしれない。
転職経験が多く、職種は営業事務、受付、秘書業務、総務、労務など、実にさまざま。出産のブランクを挟んで8社で働き、その間にはフリーランスのイベントコンパニオンとしての時代もある。サラリーマンが社内で出世するのとは違うやり方で、自分なりにキャリア・デザインをしてきた。

「たとえばイベントの仕事なら、オーディションを自分の力で勝ち取らなくてはいけないし、もらった仕事は次につなげなきゃいけない。小さな仕事を雪だるまみたいに大きくしていくような感覚が身につきました」

事務員が自分一人の小さな会社では、アウトソーシング先から経理補助の仕事の仕方や労務書類の作り方などを覚えた。秘書の仕事に就いたときには、前の職場での人脈をしっかり生かす。勉強と成果を重ねることで「求められる人材」としての実力をつければ、派遣先でもスムーズに自分の居場所を作れるようになる。

その成果が形になって表れたのが、今の仕事だ。

自分の考え方を認めてくれる会社と出会えた

現在の就業先の管理部門で働き始めてすぐ、梶原さんは社長からあるプロジェクトのメイン担当に任命された。
「会社が加入している健康保険組合の切り換えです。うまくいけば社員たちの保険料が大きく変わりますし、会社の信用性も高まります。社労士の人選から任され、一年間かけてやってきました」

そしてこの5月、就業先の健康保険を協会健保から某総合健保へ移行させるというミッションを成し遂げる。梶原さんが「細く長く」つなげてきた総務・労務の仕事が形になったのだ。

「これまで、フリーだからと自分本位で動いてきたけれど、ここにきて“ありがとう”と言われる仕事を新鮮に感じています。私がこれまでやってきた秘書や労務などの仕事経験やキャリアに対する考え方に共感してくれて、力を発揮させてくれている社長に出会えたことは本当にラッキーでした」。あらためて労務という、縁の下の力持ち的な仕事の楽しさを感じているそうだ。

「仕事も家庭も趣味もすべてに満足したい。だから決して無理はしない。でもただバランスをとるだけではなく、自分の環境に合わせて自主的にキャリアを選び、積み上げていく“ワークライフ・デザイン”の考え方でやっています」

“ワークライフ・デザイン”という考え方は、社長が提言しているものでもあり、まさに梶原さん自身がこれまでのキャリアを繋ぐ中で大切にしてきた思いそのものだという。

未来につながるベストな道を「自分で選びとる」こと。決して無理はしなくても、その小さな積み重ねがキャリアとなり、梶原さんを輝かせている。

“うちに来てくれてありがとう”その言葉が新鮮でした

今の就業先にスタッフとして派遣された日に、一枚の色紙をもらった。社員全員からのメッセージ色紙だ。「これまでいろいろな会社で働いてきたけれど、一緒に働いてくれてありがとうって言われたのは初めて。驚いただけでなく本当に嬉しく、頑張ろうという気持ちになれました」
誕生日のときにももらったメッセージ色紙と合わせ、梶原さんの宝物。

また、ファッショナブルなスカルキャンディーのヘッドフォンは、通勤途中に音楽を聴くため。「何を聞いているかはナイショ。同じアルバムばかりずーっと繰り返し聞いています」

娘さんの写真は七五三のときのもの。「成長した娘にも着物を着せられるよう、着付けの技術もレベルアップさせたいですね」。家族三人で着物を着て浅草の街を歩くこともあるそうだ。

ライター:有賀 薫(ありが かおる)
カメラマン:福永 仲秋(ふくなが なかあき)

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