事務職の多くは、誰かの業務を「サポートする」仕事。表には出ない黒子の役割は決して楽ではない。それは、華やかに見える社長秘書でも同じ。転職して間もない斧しず香さんに、長年の社長秘書としての仕事を振りかえってもらった。自然に備わっているように見えるサポート力は、プライベートにその秘密がありそうだ。

入社1年で派遣から正社員へ。11年間で4名の社長秘書を務めた

社長秘書。一見華やかに聞こえるが、日々細かな仕事を大量にこなすだけでなく、担当した上司にぴったりついて走るような、気遣いとタフさが求められる。

ビジネス系の専門学校を卒業した斧さんは、銀行の後方事務や空港売店での庶務、住宅メーカーのお客様対応など、多くの大手企業でオールマイティーに一般事務をこなしてきた。雇用形態も正社員、契約社員、派遣社員とさまざまだ。

そんな彼女が秘書職に就いたのは、社会に出て8年目。

派遣スタッフとして採用支援サービスの会社に秘書として就業した。産休をとった社長秘書のピンチヒッターとして、秘書検定準1級を持っていたことから白羽の矢が立ったのだ。

「秘書業務は初めてでしたが、特に難しさは感じませんでした。基本となるお茶出し、来客応対、電話でのやりとりなどは、専門学校で秘書業務を学んだことが役に立ちました」
とはいえ、わずか1年で派遣から正社員に採用され、今年2月に退職するまで4人の社長秘書を務めただけでなく、業務に活かすべく、忙しい合間を縫って秘書検定1級も取得したところに、斧さんの実力を感じる。

着物と神社仏閣めぐり。和の趣味が優雅なものごしに

企業のトップの仕事をサポートする秘書は、スキルはもちろん、立ち居振る舞いや言葉づかいなど、日常全般にわたって洗練されていることを要求される。斧さんも、歩き方や座り方、話し方などがとてもエレガントだ。そのバックボーンになっているのが彼女のプライベート。

着物の着付けは19歳のときから始め、今では着付けの学校で実技発表のモデルを務めたり、成人式には、着付けをしたりもしているそう。
「祖母が奄美大島出身で、着物に親しんでいました。母もそれを受け継いでいて、着物をしまった和箪笥がいつも身近にありましたね」
奄美といえば奄美大島の特産である大島紬を思い浮かべる。着物姿の祖母や母たちを小さなころから目にしていれば、歩き方や身のこなしも自然に身につくのだろう。

また、趣味は神社仏閣めぐり。
「出雲大社や伊勢神宮、高千穂や出羽三山など、地方の神社に出かけ、宿坊に泊まったりもしました。最近行った神社では、大神神社が印象に残っています。
実は夫も同じ趣味なんです。だから仕事がお休みの土日は、二人で神社巡りもします。先日も氷川神社などに行きましたね」

これも母親ゆずりの趣味という。斧さんが持つ柔らかいものごしは、日常とは少し離れた和の趣味を幼いころから触れてきたことで、自然に形成されたものなのかもしれない。

相手の仕事に深入りしないのも、重要な仕事

そんな彼女が仕事で大事にしてきたのは、明るく場をなごませる雰囲気づくり。「秘書としてのスタンスは、ついている方の負担をできるだけ軽くするということでした。仕事内容には深入りせず、気持ちが軽くなるような空気を部署内に作ることを心掛けていました」
話をしていても、意見や考えをはっきりとは言葉にはしない。考えがない、というよりは口にしない、というイメージだ。

もともと人が好きで人の観察は得意。「社長がご自分でも気づかないうちに張りつめていることが続いているようなときには、お茶などをいれてちょっと息抜きしてさしあげることも」
控えめだが、常に場の空気を読み、細やかな心配りをしていることがうかがえる。

社長を支えて11年。長年のハードな仕事からか、持病の喘息が出てしまったこともあり、十分な実績を積んだところで斧さんは会社を辞めた。今年から派遣スタッフとして、株式会社クラレに就業。新しい道へと進んだ。

「今の仕事は部門長秘書と総務事務を半々。総務のなかには数字をまとめたりと、経理的な仕事もあります。MOSの資格も生かせるし、クラレの雰囲気もとても好きで、働く環境としても、とても満足しています。
家庭を最優先させながらキャリアアップしたいという気持ちもありました。前職より勤務時間も短くなり、好きな料理も十分できます。長い間いろいろな働き方をしてきて、今は少し落ち着いて次のことを考える時期にいると思います」

タイプは違っても、経営者には「先を見る視座」が例外なく備わっていたという。そんな社長たちの側にいた斧さんも、先を見ながら今を大切に過ごしているように感じられた。

スケジュールは全部メモ!仕事のすべてが詰まった手帳

きれいな字でぎっしりとスケジュールが書き込まれた斧さんの手帳は、書き直しのきくフリクションの3色ボールペンとセットで仕事に不可欠なツール。

「秘書時代、最も長くサポートした社長はとてもバイタリティにあふれる方で、予定もどんどん入ってきます。あまりに多くて忘れてしまうので、手帳にすべてのスケジュールやメールで誰とやりとりしたかなどを書き込むという習慣がつきました。後から見返したとき、こんな仕事をしたなという記録にもなっており、日記みたいですね。でもプライベートのことは一切書かず、仕事だけの手帳です」

「前出の着物の写真は実技発表で十二単や大振袖を着たもの。十二単は15キロぐらいあって、重いんです。いい体験になりました」和の柄にひかれて、手ぬぐいも集めている。

ル・クルーゼのマグカップとポンパドールのルイボスティー、ネスカフェ ドルチェ グストのコーヒーは、会社で一息つくときのお気に入り。華やかなオレンジのマグカップで元気をチャージする。

ライター:有賀 薫(ありが かおる)
カメラマン:上澤 友香(うえさわ ゆか)
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