10年、20年……と、自分の心のままに歩んできた人生。積み重ねてきたキャリア。その道のりを振り返り、「さて、次はどうしよう?」と立ち止まる時間も、ときには必要なのかもしれない。きっとその経験が、多様であればあるほど。海外の大学への留学、外資系企業での仕事、青年海外協力隊への参加――多彩な経験をもつ角田智恵子さんは今、大きなターニングポイントをむかえていた。まだまだ長い人生、“次への一歩”を踏み出すために。

はじめて立ち止まり、自分の人生を振り返っている真っ最中

「大学院に行くか、また以前と同じマーケティングの仕事をするか、はたまた起業するか……今まさに、次の選択に迷っている真っ最中ですね。今までの人生の中で、いちばん迷っているかもしれません」

そう話してくれた角田さん。さまざまな経験があるからこそ、悩むこともある。仕事の合間に大学院の説明会に出席したり、起業家向けのイベントに顔を出してみたり。いろいろな場所で情報を集めながら、現在進行形で次のキャリアを模索している。

「今までは目の前の仕事が忙しかったのと、週末はそのストレスを発散するために遊びまくっていて(笑)。自分の人生についてじっくりと考えてこなかったんですよね。でもそろそろ、ライフワークのようなことをはじめた方がいいかな、と思いはじめたんです。それこそ定年なんて関係なく、死ぬまで楽しくやっていけるような」

そんな彼女に、これまでのキャリアについてじっくり振り返ってもらった。

辛さも怒りもバネにして、マーケターとして走り続けた

子どもの頃から憧れていた海外の環境へ、はじめて飛び込んだのは大学時代。アメリカの大学を卒業した後に帰国し、角田さんは日本に進出したばかりの外資系電機メーカーで働くことに。

その会社は男女差も年齢差もなく、非常にフラットな社風だったそうだ。どんどん責任ある仕事を任され、実績とともに、仕事への自信がついていったという。

彼女はマーケターとして着実に実力をつけ、4年半後にステップアップを考えて転職した企業では、100億円単位の売上を左右するマーケティングのプロジェクトを手がけるまでになっていた。

「正直、辛かったこともたくさんあったんですよ。当時は理不尽なこともあって『何でだよー!』という怒りとともに仕事をしていました。でもがんばって成果を出して、社内表彰されたりもして。ただそこで6年半ほど働いたところで、どうにも燃え尽きちゃったんです。売上や利益に追われる毎日に、ちょっと疲れてしまって」

ビジネスとは違う世界で垣間見た、社会の大きな課題

お金と無縁の世界に行きたい。そう感じた角田さんは、インドにヨガを習いに行ってみたり、NGOでボランティアをしてみたりと、今までと違う世界に足を踏み入れはじめる。そして38歳のとき、思い切って青年海外協力隊に応募することにした。赴任先は、アフリカのガーナ共和国だ。

そこで角田さんは、海外支援のひとつの課題を目の当たりにする。

「善意の支援によって、一部の人たちの“依存”を生み出してしまっている現実がありました。私たちのことを、何かを恵んでくれる人だと思っている人たちがいる。その事実を突きつけられたんです」

本当に大切なのは、一方的な支援ではなく「自立」を促すことではないか?帰国してからも、そのことが頭の片隅に強く残された。

ゆるやかなペースで仕事をしながら、次の一歩を探す

日本に戻ってきた角田さんは、派遣スタッフとして現在の職場で働きはじめる。ちょうど1年前のことだ。しばらくはゆったりと、週4日くらいのペースで働こうと考えていた。

「内容にもお給料にもまったくこだわりはなかったのですが、ちょうど海外の方に向けた研修を企画・運営する仕事に出会うことができました。今までの経験を活かせますし、ここまでぴったりきてしまったら、やるしかないなと思って」

紹介予定派遣の期間を経て、4ヶ月後には契約社員へ。平日は自分のペースで働きながら、角田さんはこれまでの経験をじっくり振り返りながら、次への一歩を検討しはじめた。

マーケティング職で培ったスキルと、足を踏み入れた国際協力の世界。そして脳裏に焼き付いている課題。選択肢はさまざま考えられる。今はあちこちの勉強会やセミナーに出向いて、積極的に人に会う毎日を送っているそう。

「自分でビジネスを立ち上げてひとつのことを追求する……というイメージではなく、今までの経験をもとに、いくつかの軸を作っていけたらいいなと思っています」

新しい世界に飛び込み、そのたびに着実に結果につなげてきた角田さん。いま重ねている試行錯誤も、これからさまざまな活動につながっていきそうだ。

海外と日本をつなぐ、さまざまな活動がヒントをくれる

個性的なデザインが気に入っているという布は、青年海外協力隊としてガーナ共和国に滞在していたときに買ったもの。現地では既製服を買うよりも、布地を買ってテーラーで服を作ってもらうのが一般的なのだそう。

和柄の布地は、母親のコレクションから。退職して時間があった時期に、「これで何かできないかな?」と、自分自身もポーチなどの小物を作りはじめた。

こうしたハンドメイドの商品が海外と日本をつなぐビジネスのタネにならないか、模索中だという。

「例えば海外支援の一環として、商品を作ることだけではなく、ビジネスの仕方を教えるようなことができないかと思っているんです」

また角田さんは今、月に1回、東京都の観光ボランティアをしている。帽子とネームタグは、そのときに身につけるユニフォームの一部(※2017年11月10日取材時点)。担当エリアは上野と銀座だ。

「海外から来た方から、さまざまな質問を受けるんです。日本人とは違う視点を知ることができるから面白くて。2020年に備えて、という気持ちもありますしね」

ライター:大島 悠(おおしま ゆう)
カメラマン:刑部 友康(おさかべ ともやす)
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