1. トップ
  2. らしく働く
  3. アメリカで結婚、出産、離婚。いろいろあったけど、落ち込む時間がもったいなかった

アメリカで結婚、出産、離婚。いろいろあったけど、落ち込む時間がもったいなかった

これまでに、どれだけの苦労があったことだろう。池田愛さん(44)は、20代のころ単身アメリカに渡り、結婚し、出産。その後、夫と別居したことで子どもと離れて暮らしながら、異国の地で独り働き続ける。その後子どもと日本へ戻るも、これまでの経験を生かせる仕事はなかなかない。それなのに、暗い雰囲気は少しもなく、明るく楽しそうに働いている。「しなやか」とは池田さんのような人を言うのだろう。

アメリカで結婚し子どもにも恵まれたが、別居後、離婚

もともと海外に興味があった池田さん。21歳の時に、働いていた会社を辞め、フラワーコーディネーターを目指そうとアメリカへ渡った。ロサンゼルスで語学学校に通いながらフラワーコーディネートを学んだものの、卒業しても資格が取れるものではなかった。

進む道に疑問を感じて、途中から短大に変更。ところが、学費が高くて払いきれなくなってしまう。

「学校で知り合ってお付き合いしていた男性と結婚することになり、学校は辞めました。子どもも生まれたのですが、文化の違う夫と生活するのが難しくなり、別居することに……。アメリカは医療費も高いし、子どもを一人で留守番させてはいけないので、高額なベビーシッター代がかかってしまう。シングルマザーとして育てられる環境ではありませんでした」

働きに出ながら、週末だけ子どもと一緒に過ごすことになった。

手に職が欲しいと思っていたところ、勤めていた会社に美容部があり「美容師の資格を取ったら?」と勧められた。アメリカでは、ヘアスタイルに加え、メイクやネイルなども美容師の仕事に含まれる。平日は夜間の学校に通い、やっとの思いで資格を取ったら、会社が通勤の難しい場所へ移転することになってしまった。

子どもと一緒に住みたい、と日本へ帰国

同じころ、子どもが大きな病気にかかっている可能性があると知る。離れて暮らすことに限界を感じていたこともあり、医療費の負担が少ない日本へ帰国しようと思い始めた。

「日本にいる母の後押しもあり、会社を辞めて日本へ帰ろうと思いました。すると、同じ会社で同僚だった日本人の男性から『結婚したい』と言われたんです。友人だったので驚きましたが、とても頼れる人だったので、一緒に日本に帰って結婚することにしました」

もともと、夫は実家が家業をしており、いずれは継ぐ予定だった。その前に10年ほどアメリカで働いていたのだ。

日本に戻ると、夫の家業を手伝いながら、子育てをする毎日。息子はハーフなのもあり、学校などで苦労が多かったという。その後、2人の子どもに恵まれ、長い母業は続く。「1日があっという間に過ぎていく」日々だった。

母ではない、ひとりの人間として

子育てをしながら、英語力を活かそうと小学校英語指導資格を取得した。ここでも大変苦労をして、土日は夫に子どもを任せ、毎週学校へ通う。英語が流ちょうな受講生を横目に自信を無くしながらも、1年間通い、何とか資格を取得した。

「ところが、ふたを開けてみると、『小学校教諭の免許がなければ就職は難しい』と言われました。いくつかの学校で面接をしましたが、採用されることはなかったんです」

アメリカで取得した美容師の資格は、日本では効力がなく、努力して取得した小学校英語指導資格は、活かす仕事に就けそうもない。それでも、長男が大学へ進学するころ、やはり働きたいと思うようになった。資格や英語力を活かすことはできなくても、近所で手軽にアルバイトをするのではない働き方がしたかった。

「派遣会社に登録してみようと思ったんです。妹には『絶対に仕事は見つからないよ』と言われました(笑)。でも、やってみなければわからないからと、通える範囲で探したら、すぐに見つかったんです。とても、嬉しかったですね。10年近くもブランクがあっても、素敵な方に囲まれて、すごく気持ちよく働けています。残業することもありますが、しっかりやり遂げたいと希望して残っています。私でも働けたのだから、働きたい世間のママたち、勇気を出して、自分に自信を持って欲しいです」

働き始めの慣れないうちは、疲れることもあったが、池田さんのそんな姿を見て長男が以前にも増して手伝いをしてくれるようになったという。今では、毎日の食器洗いは長男の担当になっている。

まさに波乱万丈と言える人生だが「私は楽観的なんだと思います。落ち込んでいる時間がもったいない」と言う。

「これからも、世界はどんどん変わっていくと思います。それを見てみたいし、子どもたちの将来もみたい。楽しいこともたくさんしたい。考え方次第で、いつでも幸せになれます。私は今とても幸せです」

楽しげに語る池田さん。自分らしくあり幸せになるのは、捉え方次第なのだと気づかせてくれる。

いただいた手作りのペンケースがぴったり

会社内で移動するときに使っている手提げは、やや大きめでお気に入り。会議に行く際の資料を入れたりもする。出社してすぐ、化粧ポーチや財布などを入れておくのだそう。

仕事中のお供はPCメガネとペンケース。肩こりがひどかったが、夫にもらったPCメガネのおかげで軽減した。ペンケースは、幼稚園でアルバムづくりをした際に、同じ係の人が作ってくれたもの。ディスプレイとキーボードの間にぴったりおさまり、出し入れしやすく便利だ。

愛用するふせんは、異なる大きさや色がそろったもの。「こんなにたくさん入っていて、すごく便利じゃないですか!?」と嬉しそうに言う池田さん。小さなことにも喜ぶ姿に人柄が現れる。机の横に置いておく水筒にはアイスコーヒーを入れておき、置くときにうるさくないようコースターを利用。冬でもアイスコーヒーを飲むのだとか。

通勤時にはヘッドフォンを。自宅で家事をするときにも、音楽を聴いたり通話したりする。ヒップホップが好きで、英語の復習にもなっている。

ライター: 栃尾 江美(とちお えみ)
カメラマン:福永 仲秋(ふくなが なかあき)