「興味を持った仕事が、たまたま派遣だった」という理由から、働きはじめた奥山美穂子さん(54)。20年以上のブランクを抱え、50歳を過ぎてからオフィス勤務に復帰したため、最初は不安でいっぱいだったが、徐々に自信と勇気を持てるようになったそう。そしていま、「また仕事を始めてよかった」と笑顔で話す。

頼れる人がいなくて躊躇した社会復帰

奥山さんは、ほんの3年前までパートタイムで働いていた。

趣味はバイオリン。高校のオーケストラ部から始めて、途中ブランクがあったもののずっと続けてきた。ここ16年くらいは、区内のアマチュアオーケストラに所属しており、毎週日曜夜に行なっている練習の成果を、定期演奏会などで披露している。

「子どもが生まれてからは専業主婦をしていたのですが、オーケストラを再開したくなって。実は、塾での模試採点のパートを始めたのは、その費用を稼ぐためだったんです」

一人で黙々とやるその仕事は性に合っていたので13年も続けたが、本当は長女が中学生になるころにはフルタイムで社会復帰する予定だった。しかしその当時、ご主人は単身赴任中。
「わたしには無理だって思い込んじゃったんですよね。もちろん、そういう状況でもバリバリ働いている人もいるんでしょうけど、わたしにはできないって」

狭い世界から抜け出したい

「よく子どもと言ってたんですけど、わたしのゴールデントライアングルっていうのがあって。家を中心にして、行きつけのスーパーと図書館とジム。ここでわたしの行動範囲が決まっちゃっているよねって」

20年以上も地元でパート主婦をしていたら仕方のないことかもしれないが、奥山さんはいつしかそこから脱出したいと思うようになった。そんなとき、大学を卒業する長女が、「大学の研究室の事務とかやってみたら?お母さんみたいな年代の人もいるよ」と教えてくれた。

「次女もその大学に行っていて、なんとなくその大学が好きだったので、じゃあわたしも働きたいなって。それでインターネットで大学名から検索したら、そのお仕事は派遣の案件だったんです」

いつしか働くことへの自信がついていた

正直、最初は20年以上ものブランクがあって、しかも50代の自分にオフィス業務ができるのかと不安でいっぱいだった奥山さん。思わず、「わたしでも大丈夫なんですか」と相談したという。

「『大丈夫です、自分がこれまで経験してきたことを書いてみてください。きちんと積み重ねられていますから』って励ましてくれたんです。登録後はちゃんとお仕事紹介の電話がきたので嬉しかったですね」

結局ご縁があって現在就業しているのはシステム系の会社。週5日午前のみという形態で働いている。見つけた仕事がたまたまそういう形態だったというだけだが、ひさしぶりのオフィス業務だから、最初は短いのがいいと思い決めた。

「でも、8時出社と朝が早いから、早い時間に帰れるのはいいのだけど、午後が暇だなって。娘たちも大きくなっているから家にいる必要もないですし。いまの職場にも仕事内容にも満足しているんですけどね」

派遣スタッフとして働き始めて3年目。最初こそ「わたしに務まるのだろうか」と怖気付いていた奥山さんだが、すっかりオフィス業務に慣れ、新たな目標ができた模様。

「次は無期雇用への転換を目指したいです。できればいまの就業先で!」

人生に遅すぎるなんてない。一歩。踏み出す勇気を

「思い返すと、新卒で勤めていた証券会社を妊娠をきっかけに辞めたことで、一旦社会人生活が途切れてしまったことに心残りがあったんですよね。もっと社会と接していたかった」加えて、何かあったときに頼れる親戚も、近所にはいなかった。

だからこそいま、「充実している」と奥山さんは笑う。

もっと早くチャレンジすればよかったっていう気持ちがないと言えば嘘になる。けれど、50歳を過ぎたいま、一歩踏み出してよかったと、心の底から思う。

人生に遅すぎるなんてことはない。大事なのは、一歩踏み出す勇気。奥山さんは、間違いなくその勇気で人生を輝かせている人だ。

娘さんとの仲の良さがうかがえるクリップとハンカチ

色合いが美しいストールは友人からもらった。「そんなに出番があるわけじゃないけど、持っていると安心する」とのことで、カバンに常備している。

2つのクリップには、2人の娘さんそれぞれが好きなキャラクターがデザインされている。これらをデスクに置き、その日忘れてはいけない事項を記したメモをとめている。

2枚のハンカチのうち1枚は、同じくオーケストラをやっている次女とのお揃い。小さい方はメガネやスマホがきれいに拭けて便利。

「午前勤務だからこのサイズで十分」という小さな水筒には、コーヒーを入れて持ち歩いている。

ポーチにはおせんべいや飴などのおやつを入れており、「昼時に帰るからお腹が空いているので、駅のホームでこそっと食べたり」と、小腹を満たす重要アイテムだ。

ライター:小山 典子(こやま のりこ)
カメラマン:坂脇 卓也(さかわき たくや)
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